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ベーシック・ペンション導入が望まれる社会|生活保護・教育格差・少子化から考える

NOTE, 過去記事ノート

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はじめに

当サイトの主要課題の一つ「BI実現の壁超克シリーズ」。
8つの壁の3つ目と4つ目の壁が「社会制度問題の壁」と「労働・社会観の壁」。
その両方の取り組みに備えることも兼ねて、当サイトの前身であるサイト・https://basicpension.jp の記事の中から、<社会保障制度>などの関連シリーズの記事を、それぞれ一つの記事にまとめる作業を行っています。

今回は、その中から、2022年5月以降に投稿した、「ベーシックペンション(以降BP)導入が望まれる社会」と題したシリーズの10の記事を一つにまとめました。

なお、この2022シリーズ-2に先立って、「ベーシック・ペンション実現へのヒント」というテーマでのシリーズー1を、以下の記事にまとめて、当サイトで公開しています。
関連させてお読み頂ければと思います。

本シリーズは2022年当時の社会保障、雇用、貧困、少子化、インフレ等に関する社会的議論を題材に、日本独自のベーシックインカム構想であるベーシック・ペンション(BP)の必要性と課題を考察した記録です。
現在進めている「BI実現の壁超克シリーズ」の原型ともいえる内容を含むため、当時の問題意識を残したまま統合集約し公開することにしました。


現在(2022年5月)は、6月に考察・提案を予定しているテーマに関するいくつかの書を読み始め、その準備をしている状況です。
こうした中、日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金があれば良いのに、と思わせられる新聞記事をよく見かけます。
そこで、今月は、そうした思いを強く抱かせられているいくつかの記事を取り上げてみることにしました。

2022/5/15付日経に「生活保護、現役世代も増加 コロナ禍に高水準続く 2月164万世帯、就労支援の強化急務」と題した記事が掲載されました。
⇒ 生活保護、現役世代も増加 コロナ禍に高水準続く 2月164万世帯、就労支援の強化急務 :日本経済新聞 (nikkei.com)

これは、5月11日厚生労働省公表の、今年2月時点の生活保護受給世帯数・速報値に基づくもの。
その世帯数は、前年同月比4499世帯(0.3%増)の164万1640世帯。受給者数が200万人超で過去最多水準が続く。
(参考)⇒ 被保護者調査(令和4年2月分概数)

・生活保護受給世帯は2005年度に初めて月平均で100万世帯を超える。
・2008年のリーマン・ショック以降急増し、2010年度140万世帯、2014年度160万世帯、2017年度月平均で過去最多の164万854世帯に。
・2018、2019年度は数万世帯減少。
・2020年度はコロナの感染拡大による緊急事態宣言の影響が大きく、申請件数が前年度比2.3%増の約22万8000世帯となり、受給者増加は11年ぶり。
・2021年度は2月までに21万世帯を超える。
・一方、生活保護対象外(廃止)となった世帯は、2020年4月~22年2月の間、月平均約1万6400世帯。保護開始数をやや下回る状態が続き、過去最多水準で高止まっている。

その内訳の特徴が、新型コロナウイルス禍で現役世代の受給者が増えていること。
現役世代を含む「その他世帯」は2月時点で約25万世帯で、全体の15%を占める。
無論、コロナによる失業・雇用機会の喪失に原因があるとみられ、第1波の後の2020年6月に前年同月比0.5%増と増加に転じ、2回目の緊急事態宣言が出た後の2021年3月には2.7%増、そして2022年2月まで21カ月連続で増え続けている。
当然、65歳以上の高齢者世帯が最も多く約90万世帯で、ほとんどが年金で生活できない一人暮らしの高齢者が55%を占めている。

コロナによる緊急事態宣言やまん延防止法などにより、多くの中小・零細事業所が倒産・廃業、営業時間短縮に追い込まれたことで、失業・雇い止め、労働機会の減少が発生。
そのために、「稼働世帯」の受給世帯数は、コロナ前の約25万世帯から23万世帯前後に減少し、反対に「非稼働世帯」の受給世帯数が、137万世帯前後からほぼ140万世帯に増えたとされる。

しかし、率直なところ、「その他の世帯」が、「現役世帯」であることを証明する事項は示されておらず、
加えて、よくよく見ると、2020年、2021年、2022年のそれぞれ2月の世帯類型別の受給世帯数の変化で目立つのが、母子家庭受給世帯数の減少であり、高齢者のそれの変化がほとんど見られないことです。

こうした状況を踏まえ、日経は、
「支え手側となるはずの現役世代の受給が長引くと、社会に対する影響は深刻に。コロナ禍で変化した需要に合わせ現役世代が新たな職種で就労できるようにするなど受給世帯への支援強化が重要。」
と結んでいます。
いわゆる「ワークフェア」主義の社会福祉・社会保障を堅く守ろうといういうものです。

記事中用いられた数字では、当然ですが、現行生活保護制度において問題視されている捕捉率の低さや、受給要件を満たしていても、ミーンズテストなどを嫌って申請しない世帯・人々について触れることはありません。
長引くコロナ禍と、求められる人材・能力の変化、エセンシャル・ワークの低賃金等雇用・労働環境の変化等により、希望する仕事に出会う機会が限られてきている状況などは、この厚労省調査からは、何も見えてきません。
そうしたなかでの、紋切り型の「就労支援」政策の「喫緊」での要求が、現実的で有効な政策を導き出すとは思えません。

「ワークフェア」を前提とせず、基本的人権に根ざした、無条件・無拠出のベーシックインカム。
問題多き生活保護制度を廃止し、高齢者も、低所得者も、種々の事情で働くことができない人々も、すべて安心して生活できる、「生活基礎年金」ベーシック・ペンション。
これがあれば、とつくづく思います。
こうした基本的な考えに基づく提案は、以下で行ってきています。

ベーシック・ペンションによる貧困問題改善と生活保護制度廃止(2021/2/6)
ベーシック・ペンションによる年金制度改革:国民年金廃止と厚生年金保険の賦課方式から積立方式への改正(2021/2/8)
生活保護制度を超克するベーシック・ペンション:BP法の意義・背景を法前文から読む-2(2021/6/15)
困窮者生活保護制度から全国民生活保障制度ベーシック・ペンションへ:2022年ベーシック・ペンション案-4(2022/2/19)

なお、生活保護制度を解体して、関連する社会保障制度・社会福祉制度との編み直しによる「生活保護の解体」を提案した岩田正美氏著生活保護解体論 セーフティネットを編みなおす(2021/11/5刊:岩波書店)を元にして、生活保護制度とベーシック・ペンションを論じた記事集もあり、当サイトでは、以下の1記事にまとめました。



今回は、2022/5/8付中日新聞の
◆ 進学率、地域差4倍 生活保護世帯、阻まれる教育:中日新聞Web (chunichi.co.jp)
という記事からのブログです。
こちらも、前回同様「生活保護」制度と関連した記事ですが、少し趣が違います。
同じ生活保護受給者であっても、進学率が地域によって異なる傾向が示されていることに焦点を当てています。

「生活保護情報グループ」が、生活保護世帯の子どもの大学等進学率を調査

 生活保護世帯の子どもの大学・短大、専門学校への進学率についての調査を、研究者やケースワーカーでつくる「生活保護情報グループ」が行った。

厚労省調査によると、2020年度の進学率の全国平均は、全世帯の73.4%に対し、生活保護世帯は37.3%
しかし、同省は都道府県ごとの数値を個別には公表していなかった。
これに対して、このグループが「現状を分析し、自治体ごとの実効性ある貧困対策につなげる必要がある」と情報公開を請求。
その公開情報から、2020年度の全世帯及び生活保護世帯の進学率をそれぞれ都道府県別に算出したもの。 

⇒ 生活保護情報グループ – 【生活保護世帯の都道府県別大学等進学率を公表します】 生活保護世帯の大学等進学率について、全国平均は… | Facebook

これによると、2019年、2020年の調査では、全世帯の中に占める生活保護世帯の進学率は。 
・上位の東京都や大阪府が両年度とも40%超
・最下位は2019年度が山形県の16.7%、2020年度が長野県の11.1%。
・首位と最下位の格差は、前者は2.8倍、後者が4.1倍に至った。
・全世帯進学率は、2020年度首位の京都府が83.1%、最下位の沖縄県60.4%の差が1.4倍。
 生活保護世帯の格差がより大きい傾向として表れていた。 

全世帯進学率に比べ、生活保護世帯進学率は低い傾向にあるが、中でも大きな地域差が生じている。
進学率の低さは、親から子への「貧困の連鎖」を助長することから、対策を求めるとともに、地域間格差の是正も必要とされている。

生活保護制度では、原則大学生への生活保護が認められておらず、世帯分離をする取り扱いになっており、自立して生活する必要があります。
この事自体が、生活保護制度の矛盾・限界を示す大きな問題です。
またこれにより、親元の世帯も対象家族の減少で保護費を減額されるという、二重の困難に見舞われることになります。

進学率の低い地域には、自宅から通える大学などが少ないことも要因と考えられ、仮に離れて生活すると家賃負担も強いられ、生活保護世帯の負担は一層重くなるわけです。
そうした地域的・経済的条件から進学を諦めるケースも十分あると考えられます。

これは、実質的に生活保護世帯の子どもの、大学等への進学を認めていないことを意味するものです。生活保護制度の見直しが必然と思われるのですが・・・。

当サイトが提案するベーシック・ペンションは、無拠出・無条件ですべての国民に一生涯、月額15万円の年金を、デジタル通貨で支給するもの。
(その完全実施・導入に至るまでには、後述記事にあるように他の支給方法を用い、段階的に行うことを提案しています。)
義務教育を終了するまでは児童基礎年金、学齢18歳までは学生等基礎年金、65歳以上には高齢者基礎年金、それ以外の全世代には生活基礎年金と名称と支給額金額を変えますが、支給されます。
大学進学する人、している人個人に対して支給される生活基礎年金は、受験料・入学金・受講料・教材費等の学費、家賃・食費・生活費等に用いることができます。
生活保護制度は廃止され、世帯単位ではなく、個人一人ひとりを対象として、等しく基本的人権を守る、真の平等を実現することになります。


今回は、3回目で、2022/5/8付け日経の以下の記事を取り上げます。
⇒ 子どもの受診、コロナ前より2割減 低所得世帯で顕著: 日本経済新聞 (nikkei.com)

この記事は、新型コロナウィルス感染症発生前と発生後の健康保険を用いての受診状況の違いを、日経が、厚労省の診療報酬明細書情報のまとめデータを独自集計・分析したものとしています。

その結果は
・10歳未満の子どもの2021年の外来受診はコロナ発生前の2019年比で23.8%減。
・全世代平均は7.4%減、65歳以上70歳未満のは15.0%減
・特に子どもの減少幅の大きさが際立つ。

問題は、子どもの減少には、感染者の減少も含まれるが、受診が必要だが行動を起こしていない人がいること。
他の調査だが、全国保険医団体連合会によると、「要受診」と診断された後に受診しない子どもが、内科関連では2018年の50.5%が2020年には53.6%に。
眼科・耳鼻科・歯科でも未受診率が高まっているといいます。

その状況を考察すると
1.フルタイムで働く高収入の親、子どもを保育所などに預けて働く共働き夫婦が、仕事上の評価や昇進への影響を考え、受診を見送るケース
2.これより深刻なケースが、低収入世帯が仕事を休むことで起こる生活費不足への不安
が考えられる。
場合によっては、子どもが病院でコロナに感染した場合や検査で感染が判明した場合濃厚接触者の親が出社・就労できなくなり、収入が止まることから、受診やPCR検査をためらうこともありうる。
としています。

健保には、大企業の社員などが入る組合健保、公務員などの共済組合、自営業者や非正規労働者らの市町村国保などの種別がある。
ここでも、未就学児の受診日数に違いがあり、市町村国保の受診は2021年以後、組合健保などより減少幅が月4~10ポイントほど大きいことが分かっている。
健保加入者の平均所得は組合健保222万円、共済組合245万円。
年金生活者やひとり親やアルバイト、非正規雇用者で収入が不安定であったり、組合健保に加入できない低所得者も加入している市町村国保は88万円と非常にその差が大きい。

子どもの医療費が、自治体の助成により無償の場合も多いのだが、親自身が受診に付きそうための時間・労力を負担し、仕事と収入に影響することを懸念することが現実的にあると想像できる。

また、保険別データから、少子化問題を関連付けています。
未就学児数の減少率が組合健保で2017~2019年の約4%に対して市町村国保は約15%に。
組合健保などへの加入移動もあると思われるが、総じて子育て費用等経済的不安による出生数の減少も想定できるとしています。

しかし、少子化を抑制するための政策提案がここでなされているわけではなく、その要因であり、現象でもあるというレベルでの微視的な記述にとどまるにすぎません。

もちろん、最も問題視すべきは、親の経済状況によって子どもの健康管理に差が出、加えて保育や教育にその影響が及ぶことです。
一応、同記事において日経氏は、「本当は必要な診察を受けない子どもが増えれば健康面の懸念は強まる」とは指摘していますが、最後にはやはり、紋切り型で、無機的な論調のこの言で締めくくっています。曰く、
「政府にはバラマキ型になりがちな一律の対策ではなく、本当に必要な家庭に的を絞った支援策が求められる。」

バラマキを一律に、真に平等に行うことは決してムダなことではなく、本当に必要な家庭に的を絞る支援策は、必要なケースを丹念に拾い上げ、適用していくと、結局、すべての人々にベーシック・ペンションを支給することの合理性・有効性を確認するに至ります。
義務教育修了までのすべての子どもには、児童基礎年金が支給され、こどもの医療費や保育・教育費、生活費を賄うことができます。
ベーシック・ペンション導入は、すべての社会保障制度の改革と一体化・総合化して行うため、現状無償化された保育の年長コースの義務保育化や、子育て支援制度の拡充も伴い、他の子育て支援政策とも相まって、子どもの貧困問題の改善・改革に大きく寄与します。

何よりも、子育て不安の大きな要因となっている低所得の就労と生活を強いられているすべての両親・片親にも、生活基礎年金が支給されるのですから、異常時・非常時にあっても子どもに受診させることをためらうことはなくなるわけです。


今回は、4回目で、2022/5/2付け中日新聞の以下の記事を取り上げます。
⇒ 生活困窮者救済のはずが… コロナ対策貸付金、相次ぐ返済不能:中日新聞Web (chunichi.co.jp)

 この制度は2020年3月にスタートした、無子・保証人不要の貸付金制度で、元来あった「緊急小口資金」と「総合支援資金」の貸し付け条件を大幅に緩和。
 社会福祉協議会(社協)職員が面談して収入や返済計画を確認していたものが、この特例により、原則、コロナ禍で収入が減ったと自己申告すれば借りることが可能になった。
 借り入れなので、当然返済が必要になる。
 「緊急小口資金」は、一時的な生活費確保のために最大20万円を融資。
 「総合支援資金」は、減収が比較的長期に及びそうな場合に最大60万円を融資。
 前制度の後者では、「延長」と「再貸し付け」両方で最大計200万円利用できた。

既に、2019年には、一人当り特別定額給付金10万円が支給されましたが、それ移行は、所得制限・年齢制限がある給付金に支給されるにとどまっています。

長引くコロナ禍、生活に困窮する人々の多くが、改善する見通しを持つことなく、返済が必要なこの特例貸付制度を利用したと思われます。
一昨年3月に制度施行と同時に、窓口となった全国の市町村社協に申請が殺到。
集計では、2年後の今年2022年4月2日現在、緊急小口資金は153万件、総合支援資金は167万件、貸し付け(含、再貸し付け)、総額1兆3726億円の貸付が行われています。

愛知県での貸付金利用者の現状

実際に利用に伴う返済開始時期は来年1月以降。
愛知県全体の今年2月末時点の貸付件数は両資金で約14万7千件、計約456億75百万円)。
そのうち、社協に利用者側からの「自己破産」通知のあった貸付が、3月末時点で約400件に。
双方の資金を利用した人もおり、実際に自己破産したのは200人以上とみられる。 
カードローンでも借り入れし、持ちこたえられず、自己破産に至ったという理由が目立つという。
周辺の各県の市町村でも同様の事例が報告されています。

まさに、「生活困窮者救済のはずが・・・」です。
同記事では、現状の一端をレポートしています。

素早い資金供給が優先された一方、コロナ禍が長引く中で借金が適切な生活再建策になっているのか。 
国は、所得減が続く住民税非課税の世帯には返済を免除する方針。
しかし、苦境から抜け出したり、自立できないまま返済期間が始まれば、困窮者がさらに増える。 
社協担当者の言として「窓口職員が貸し付け業務に追われ、利用者への本来のきめ細かな相談事業が行えず、別の方法で支援するべきなのに借りる必要のない人にまで貸している」と伝えている。

また、ある研究者の以下の発言も紹介しています。

生活福祉資金の特例貸付は、迅速な資金提供が必要だったコロナ禍初期の対応としては妥当な方法だったが、本来は一時的な生活費の不足を補う制度。
収入が回復する見通しのない低所得者が多額の借金を背負っており、強硬に返済を迫ればさらに困窮し、地域経済にも悪影響を及ぼす。
生活保護の改革を含め別の制度での対応をもっと早く検討するべきだった。

では、この研究者は、適切な方法としてどんな案があったか、できたか?

加えて、同制度を利用し、無利息で計200万円の借金を背負った50歳代のシングルマザーをレポート。
年収は150万円程度で、借りた金は、当時娘と2人で暮らしていたアパートの家賃や食費などに費消。 
月々1万数千円の返済計画で、完済予定は10年後の60代。
「余裕はないが、働くしかない」 
女性が新型コロナの影響で正社員の仕事を失ったのは2020年春。パートとして昼は事業所、夜は居酒屋で働くことになったが、居酒屋は休業に追い込まれ、同年末に特例貸付を申請した。
ただ、という。
自己破産などはせず、返済を続けながら何とか自立していこうと考えている。だが、複雑な思いもある。現在より年収が数十万円減れば住民税の非課税世帯となり、返済は免除される可能性がある。
まじめに働けば損をする。福祉としてどうなのかなと思う。」

実は、この特例貸付制度施行よりも5年前に遡って、2015年4月に「生活困窮者自立支援法」が施行されています。

その<基本理念>は、
1.生活困窮者に対する自立の支援は、生活困窮者の尊厳の保持を図りつつ、生活困窮者の就労の状況、心身の状況、地域社会からの孤立の状況その他の状況に応じて、包括的かつ早期に行われなければならない。
2 生活困窮者に対する自立の支援は、地域における福祉、就労、教育、住宅その他の生活困窮者に対する支援に関する業務を行う関係機関
(以下単に「関係機関」という。)及び民間団体との緊密な連携その他必要な支援体制の整備に配慮して行われなければならない。
とあります。
そしてそこでは「生活困窮者自立相談支援事業」、「認定生活困窮者就労訓練事業」、「生活困窮者住居確保給付金」、「生活困窮者就労準備支援事業」、「生活困窮者家計改善支援事業」、「生活困窮者一時生活支援事業」、「子どもの学習・生活支援事業」などの事業を自治体が担うことを規定しています。

この列記された種々の事業の延長線上に「生活福祉資金の特例貸付」事業があると思われるのですが、それは、この「生活困窮者支援法」に基づく事業が、有効に機能してこなかったことを示していると考えています。

コロナ禍で多くが生活困窮状態に至ったわけで、それは、宮本太郎氏が曰く「新しい生活困難層」にあたるわけです。
同氏が提起している社会保障、困窮者支援について、その著『貧困・介護・育児の政治 ベーシックアセットの福祉国家へ』(2021/4/9刊)を題材にして、同氏が提案する「ベーシックアセット」の評価を含めて、これまで種々考察してきています。
貧困政治での生活保護制度と困窮者自立支援制度の取り扱いに疑問:宮本太郎氏『貧困・介護・育児の政治』からー3(2021/9/7)
貧困政治とベーシックインカム、ベーシックアセット:ベーシックアセット提案の宮本太郎氏のベーシックインカム論-3(2021/9/8)

宮本氏の考えについては、以下のシリーズ記事集約版を当サイトで公開しました。
参考になればと思います。

また宮本氏の最近の論述からは、
真のユニバーサル型セーフティネットとは:日経経済教室「社会保障 次のビジョン」から-3(2022/4/1)
で取り上げています。
※この記事に関しては、追って公開する、日経経済教室「社会保障 次のビジョン」という3回シリーズの集約版の中で、取りあげています。確認ください。

宮本氏は、こうした「困窮者生活支援制度」を有効に活用することで、問題に対応できる、すべき、としているのですが、一方で、市独自の「ベーシックアセット」も必要としているのです。
その記事から一部紹介したのが、上記の<基本理念>以降の記述です。

しかし、その事業も、今回の特例貸付制度も、基本的には「ワークフェア」、働いて返すことを基本とする制度には、より大きな問題・苦難が持ち越されることを示しているわけです。
先述書ではまたこのように付言しています。

 誤解のないように予め強調しておけば生活保護費の削減とこの制度は連動しているのではなく、むしろ逆方向を向いている。
 本制度は、保護受給者の就労を強要するワークフェアではない。
 保護を受けていない「新しい生活困窮者層」を主な対象として、多様な支援を行う仕組みである。
 必要な場合は生活保護につなぐこともこの制度の役割である

結局、ミーンズテストやスティグマ等問題の多い生活保護に委ねることになることも示しています。

こうした状況・事態がいつどんなことで発生するか予測不能な状況下、いつでも安心して対処・対応できるのが、無条件・無拠出の、働いて返済する必要のない生活基礎年金、ベーシック・ペンションが導入されているべき、と一層強く感じるのです。


次の記事は、当初「全世代共通に広がるベーシック・ペンション早期導入ニーズ」というテーマで、その1回目の記事として2023年1月12日に投稿したものです。
これを、2022年5月16日から開始した「ベーシック・ペンション導入が望まれる社会」というテーマのシリーズに、今回の記事統合作業で組み入れました。

1月課題新書。すべてがベーシック・ペンションに繋がるこの3冊:『年収443万円』『世界インフレと戦争』『未来の年表 業界大変化』(2023/1/4)

今年初めに、当サイトで上記記事で紹介した3冊のうち、まず
中野剛志氏著『世界インフレと戦争 恒久戦時経済への道』(2022/12/15刊・幻冬舎新書) 
を読み終え、同書を参考に新しいシリーズを始めることを、次の記事に記した。
『世界インフレと戦争』から考える2050年安保とベーシック・ペンション:シリーズ開始にあたって(2023/1/9)

※中野氏のこの書を参考にしたシリーズ記事も、いずれ、当サイトで1記事に統合して投稿する予定です。
 投稿次第、ここで報告し、同記事を紹介します。

次に読み始めたのが、
小林美希氏著『年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活』(2022/11/20刊・講談社現代新書)
第1部の一部を読んだ後、跳んで「第3部 この30年、日本社会に何が起きたのか?」を先に読んだ。
今回、先のシリーズに入る前に、予定を変更して、同書の主テーマから考えたことを投稿することにしました。
以下、少々脈絡のまとまりを欠きますが、寄り道しながら取り組んでみます。

(参考):『年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活』目次

はじめに
第1部 平均年収でもつらいよ
 ・毎月10万円の赤字、何もできない「中流以下」を生きる
   神奈川県・48歳・会社員・年収520万円
 ・「私は下のほうで生きている」コンビニは行かず、クーラーもつけない生活
   東京都・35歳・自治体職員・年収348万円(世帯年収1000万円)
 ・不妊治療に対する経済的不安……「リーマン氷河期世代」の憂鬱
   北陸地方・33歳・電車運転士・年収450万円(世帯収入900万円)
 ・教育費がとにかく心配……昼食は500円以内、時給で働く正社員
   東京都・44歳・会社員・年収260万円(世帯年収1000万円)
 ・3人の子育てをしながら月13回夜勤をこなす看護師の激務
   北陸地方・42歳・看護師・年収670万円(世帯年収1300万円)
 ・で手取り65万円、「ウーバーイーツ」の副業でちょっとした贅沢を実現
   東京都・41歳・倉庫管理・年収660万円+副業(世帯年収約1500万円)
第2部 平均年収以下はもっとつらいよ
 ・月収9万円シングルマザー、永遠のような絶望を経験した先の「夢」
   東海地方・41歳・秘書・年収120万円
 ・子どもに知的障がい、借金地獄・・・マクドナルドにも行けないヘルパーの苦境
   茨城県・38歳・介護ヘルパー・年収48万円(世帯年収400万円)
 ・コロナ失業・・・1個80円のたまねぎは買わない、子どもの習い事が悩みの種
   北海道・29歳・清掃員・年収180万円(世帯年収540万円)
 ・共働きでも収支トントン、賃金と仕事量が見合わない保育士
   東京都・40歳・保育士・年収300万円(世帯年収700万円)
 ・何もかも疲れた・・・認知症の母との地獄のような日常を生きる非常勤講師
  埼玉県・56歳・大学の非常勤講師・年収200万円
第3部 この30年、日本社会に何が起きたのか?
  私の原体験
 「就職氷河期」に入って30年
 「中間層が崩壊すれば、日本は沈没する」丹羽宇一郎の言葉
  私たちは今、どんな社会に生きているのか
 「中流」という意識の低下
  こうして「格差」は生まれた
  派遣は麻薬と同じ
  働く人は何を求めているのか?
  諦めムード、そして安楽死を望む人も・・・
 「非正規」という言葉はなくなったのか
  too late ー 日本社会はすでに崩壊している
  結婚や出産への大きな影響
  世界から完全に取り残された日本
  老後破綻と隣合わせの財政破綻
  解決策はないのか
  UIJターン就職に注力する富山県
  高付加価値のものづくりへ
  安すぎるこの国の絶望的な生活

内閣官房に設置された「就職氷河期世代支援室」による定義は、次のとおり。
・概ね1993年卒から2004年卒で、2019年現在、大卒で概ね37~48歳、高卒で同33~44歳
・同世代の中心層35~44歳の非正規の職員・従業員は371万人をその支援対象に

しかし45~49歳の非正規社員数は226万人で、氷河期全体の非正規社員数は約600万人を数えるというのが小林氏が重視する点です。
(参考)
⇒ 1)就職氷河期世代支援プログラム(3年間の集中支援プログラム)の概要
⇒ 2)経済財政運営と改革の基本方針2019 ~「令和」 新時代:「Society 5.0」への挑戦~ (2019年6月21日閣議決定)

もう一つ、本書の中から以下を抽出しました。
ここ20年足らずでの非正規雇用者数の構成比の変化、当然その増加のデータです。
・25~34歳:2002年20.5% ⇒ 2019年22.5%
・35~44歳: 同 24.7% ⇒  同 27.1%
・45~54歳: 同 27.8% ⇒  同 31.0%
※ 働き盛りの4人に1人、あるいは3人に1人が非正規。

「民間給与実態統計調査」による調査から、本書では以下を抽出。
<1位>:300万円超400万円以下 = 17.4%
<3位>:200万円超300万円以下 = 14.8%
※ 3人に1人が200万~400万円 (32.2%)

(参照)⇒ 国税庁:民間給与実態統計調査;給与階級別の総括表(PDF)

別に、国税庁の同調査公表資料から、関係部分を以下に抽出しました。
1)給与所得者総数 5,270万人(対前年比0.5%増、25万人増)
 ・男性3,061万人(同0.5%減、16万人減)
 ・女性2,209万人(同1.9%増、41万人増)
2)平均給与 443万円(同2.4%増、102千円増)
 ・男性545万円(同2.5%増、131千円増)
 ・女性302万円(同3.2%増、94千円増)
3)正規・非正規社員職員別平均給与
 ・正規平均給与 508万円(同2.6%増、127千円増)
 ・非正規 同  198万円(同12.1%増、214千円増)
4)給与階級別分布(最も多い層)
 ・男性:年間給与額400万円超500万円以下 537万人(構成比17.5%)
 ・女性:100万円超200万円以下 497万人(同22.5%)

(参考)⇒ 令和3年分 民間給与実態統計調査:概要

こうした実態を背景とした生活不安、生活苦の状況を、同書は、<第1部 平均年収でもつらいよ>、<第2部 平均年収以下はもっとつらいよ>と2つに構成し、著者の方針であり持ち味である直接インタビューをもとに、当事者の一人称によるルポとして、上記の目次にあるテーマで報告しています。

現在、妻74歳、夫3月で73歳という団塊世代である私たち夫婦ですが、日々の生活は、双方の年金だけで生活しており、介護保険料等を控除後の合計月額実質所得は22万円に満たない額。
持ち家ゆえ家賃負担がない分恵まれていますが、それでも節約を心がけ実践しないと厳しいことを実感する毎日です。
それ故に、本書で紹介されている現役世代の不安・苦労は十分理解できるものです。

本書は、『年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活』と年収に着眼しての多くの人々が生活不安・困難を抱える現状を訴え、政治的な対策の必要性を強く主張するものです。
しかし、平均年収をめぐる実態は、上述のように複数の構造的局面での問題を含むものです。
就職氷河期という年代世代、正規・非正規という雇用システム、男性・女性というジェンダー問題、それに今回は触れませんでしたが、大都市・地方圏格差問題などです。

当サイト提案のベーシックペンション生活基礎年金では、実現には相当の期間を要するとして、また財源問題への理解と合意形成にも同様であるため、優先順位をつけて、児童基礎年金、高齢者基礎年金の順に導入することを併せて提案。
しかし、今回の本書のテーマやその問題の背景等を考えると、現役世代を構成する正規・非正規雇用間格差、就職氷河期世代という世代間問題、給与労働者数が減少する男性に対して増加する女性の低所得問題など、多様な生活困難・不安にある人々のためにも、ベーシックペンション導入がより早期に行われることが望ましいと考えさせられた次第です。

次回は、同様の視点で、今日の日経1面掲載の以下の記事
生涯子供なし、日本突出 50歳女性の27%  「結婚困難」が増加 :日本経済新聞 (nikkei.com)
を取り上げ、考えてみたいと思います。


次の記事は、当初「全世代共通に広がるベーシック・ペンション早期導入ニーズ」というテーマで、その2回目の記事として2023年1月14日に投稿したものです。
これを、2022年5月16日から開始した「ベーシック・ペンション導入が望まれる社会」というテーマのシリーズに、今回の記事統合作業で組み入れました。

当初予定していたシリーズ着手を遅らせて小林美希氏著『年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活』を参考に、前掲の記事を作成しました。
理由は、これまで児童基礎年金、高齢者基礎年金、その後現役世代に、という当サイト提案のベーシックペンションの導入優先順について、再考が必要ではないかと同書で思わされたため。

同じタイミングで、やはり同様の思いを抱かせた以下の記事が2023/1/12付日経に。
⇒ 生涯子供なし、日本突出 50歳女性の27%  「結婚困難」が増加 :日本経済新聞 (nikkei.com)
今回は、そのポイントを要約し、考えたことをメモします。

生涯にわたり子を持たない人が増えていることは、かねてから確認していること。
数字で示すとどうか。

女性で50歳時点で子どもがいない場合を「生涯無子」(チャイルドレス)とし、その比率が「無子率」。
その無子率だが、日本では1970年生まれの女性の内27%を占め、先進国17カ国中最も高いという。
データ比較可能な1965年生まれ女性における率も22.1%で最も高い。

まだ先のことだが、2000年生まれの日本女性の無子率予測が社人研から出ている。
幅があるが、現在の出生傾向が続く場合は 31.6%、出生率を低く見積もった場合は 39.2%。
可能性も無視できない出生率低下の場合は、ほぼ10人に4人である。

出生動向基本調査を基にしての同研究所による子を持たない・持てない理由に関する定量分析結果が示されている。
1)結婚困難型
2)無子志向型
3)出産延期型
4)不妊・健康理由型

の4分類において、近年大きく増えたのは、想定される通り、1)結婚困難型。
25歳から49歳まで、5歳刻みのすべての年代で最多。
十分な経済力がある適切な相手を見つけることができないことも一因か。
次は、2)無子志向。
若い世代で増えており、女性全体で5%程度と。
未婚女性では低収入や交際相手がいないと子を望まない確率が高く、諦めている女性が多いのではと。

もう一つ付け加えられているのが、機会均等法が1986年に施行されたのだが、働く女性の増加の反面、両立支援は進まず、退職出産か子どもを持たずに就労継続かの選択による無子選択傾向=無子率の高まりである。

こうしたレポートを見ると、前回の就職氷河期世代への支援の必要性と同様、1)結婚困難、2)無子志向を選択せざるをえない要因である経済的不安の解消・改善が、最も求められていると言えるだろう。
無論、同記事で主張する、子育て両立支援策も並行して強化すべきではあるが、婚姻を希望し、子どもを持つことも希望する女性へのベーシック・ペンション、生活基礎年金の支給は、経済的不安に対する非常に大きなサポートになる。
もちろんそこでは、優先順位とする子どものためのベーシック・ペンション児童基礎年金との並行支給があってのことだが。

果たして、岸田政権が掲げる「異次元の少子化対策」は、他人任せのように思える諮問会議での議論と提案で、どの程度の異次元さを示してくれるか。
結局、財源問題がネック、世代間の不公平感を払拭するための負担の押し付けあい、など、お決まりの流れになるか、それとも消費増税、所得増税をめぐる批判の応酬を招き、国政選で信を問う的なこれも一つの典型的な流れに至るのか。
いずれにしても、有耶無耶になってしまうのが一つの定型でもあるスローガン政治にならぬよう、そろぞろ独自色を出して欲しい岸田政権である。

前回の就職氷河期世代への支援、今回の経済的事由によりやむなき生涯無子を選択する女性への支援。
どちらも、長く続く少子化社会の直接・間接の要因といえる。
少子化対策により、実際に出生数と出生率が回復するには、小林美希氏著書のレポートや社人研の分析調査でわかるように、長い年数を必要とし、今すぐ成果効果が現れるものではない。
日経等マスコミは、こうした根源的な問題への対策も、得意の用語を用いて「喫緊の課題」と表現する。
こう表現して問題提起・提案した課題は、見事に先送りされ、失われた20年、30年というこれも定型表現で、やり過ごされる。
異次元の政策とは、こうした状況を打破する力と内容を持つものであるべきだが、勝手に結論付ければ、当サイト提案のベーシック・ペンションしか有効な手立てがないように思えてならない。
しかし、その理解・導入も「喫緊の課題」と表現すべきものだが、喫緊の課題という認識の共有まで、どの程度の年数を必要とするのかも示せないのが心苦しい。
早ければ早いほどよいことは明らかだが、遅れれば遅れるだけ、優先順を掲げて少しずつ導入を図るのではなく、すべての世代、男性女性、大人と子ども、同時に支給できるよう制度の理解と合意形成をめざすべき。
「全世代共通に広がるベーシック・ペンション早期導入ニーズ」。
ここ数日間で思った次第です。



昨年2022年5月に、「こういう時、日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金があれば良いのに」と思わせられる新聞記事をよくみかけたことをきっかけにして、それらを題材として「べーシック・ペンション導入が望まれる社会」シリーズとして、先述の記事を投稿しました。

今、2023年版のベーシック・ペンション提案をどうまとめようか、あるいはそれとは別に、なんとかベーシック・ペンション論を電子書籍化できないか等、思案投げ首の状況です。
そのため、過去の提案や記事の見直しや新たなアイディア・提案のための頭の体操やメモ書きなど、少しペースが落ちてでも、しゃかりきにならずにやっていこうか・・・。
そんな感じです。
でも、冒頭のようなこんな時にBI,BPがあれば、という感じ・感覚を持った時に、ササッとブログを書けたらいいな、と思ったりもするのですが、いざ入力しようと思うと、結局時間を相当かけざるを得なくなる・・・。
なかなか塩梅が難しい。

ところで、今年に入ってから読んだ新書に、シリーズ化して取り上げるまでもないが、同様の感覚を抱いた内容がそこそこありました。
今回は、それを題材にできれば、さらっと「ベーシック・ペンション導入が望まれる社会」シリーズの続編を、気楽にやってみようか。
ということでの再開です。
と、ここまで入力したところで、過去の関連記事をチェックし始めたところ、やはり、オオゴトになる気配が・・・。

まず、手始めに取り上げるべく選んだのが、今年に入って間もなく投稿した記事
1月課題新書。すべてがベーシック・ペンションに繋がるこの3冊:『年収443万円』『世界インフレと戦争』『未来の年表 業界大変化』(2023/1/4)
の中で紹介した
河合雅司氏著『未来の年表 業界大変化 瀬戸際の日本で起きること』(2022/12/20刊・講談社現代新書)
同書の内容の一部を取り上げてみることに。

そこで、実は、その1月課題新書のもう1冊にある
小林美希氏著『年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活』(2022/11/20刊・講談社現代新書)
をヒント・きっかけにして、「世代共通に広がるベーシック・ペンション早期導入ニーズ」と題した以下の記事を2つ、既に1月中旬に投稿していることを思い出したしだい。
平均年収443万円に含まれた多様な格差要因:全世代共通に広がるベーシック・ペンション早期導入ニーズ-1(2023/1/12)
突出する日本の生涯無子率が示す結婚困難要因:全世代共通に広がるベーシック・ペンション早期導入ニーズ-2(2023/1/14)

まあ、今シリーズと、冒頭の昨年の「べーシック・ペンション導入が望まれる社会」シリーズとは、いわば同様の視点・アプローチなので、同じ性質のもの。
では、合体すればよいわけだが、どちらのタイトルを残し、他方をやめるか。
(どうでもいい話か?)
早期導入ニーズは当然なのだが、残念ながらベーシック・ペンション、もしくはベーシックインカム導入は、気ばかり疾っても、実現は当分見込めないので、やはり、昨年バージョンシリーズで継続するのが良いかと・・・。
ムダな時間を使ってしまった。

なお、(これも余分なことだが)、3冊の中の1冊
中野剛志氏著『世界インフレと戦争 恒久戦時経済への道』(2022/12/15刊・幻冬舎新書)
は、当サイトで取り上げ、【『世界インフレと戦争』から考える2050年安保とベーシック・ペンション】シリーズとして、今月6日に全11回シリーズを終えている。
【『世界インフレと戦争』から考える2050年安保とベーシック・ペンション】シリーズー11、最終回終了!(2023/2/6)

再開シリーズのもう一つのテーマとしては、同様、◆ 2月課題新書。食料安保と関係する2冊と日本の未来書:『日本が飢える!』『誰が日本の農業を殺すのか』『2040年の日本』(2023/2/6)
で紹介した、
野口悠紀雄氏著『2040年の日本』(2023/1/20刊:幻冬舎新書 )
の内容から抽出する予定です。

なお、同様2月の課題新書として以下の2冊は、https://2050society.com (すでに廃止のサイト)の中の<安全安心安定・保持保有確保>の「安保」政策シリーズの中での「食料安保」問題として、3月からシリーズ化して取り上げる予定です。
山下一仁氏著『日本が飢える! 世界食糧危機の真実』(2022/7/25刊:幻冬舎新書 )
窪田新之助氏・山口亮子氏著 『誰が農業を殺すのか』(2022/12/20刊:新潮新書 )

今回は、紹介と予定のみの発表になってしまいました。
もう一つ、岸田内閣による「異次元の少子化対策」の中で課題とされてる「児童手当」の所得制限撤廃問題があります。
その議論の中で、以前はあまり論点になることがなかったのですが、最近富みに主張されるようになった出産以降の教育等の経済的不安以前の問題にとどまらず、雇用形態・雇用不安、低所得・所得不安等結婚以前の問題があります。
ここに視点を当てて、考えてみたいとも思っています。

最後に、またまた余分なことになるかもしれませんが。
こうして「ベーシック・ペンション導入が望まれる社会」の一面、断面を取り上げていくことは、
ベーシック・ペンション法(生活基礎年金法)2022年版法案:2022年ベーシック・ペンション案-1(2022/2/16)
の中で紹介している、【「日本国民の基本的人権に基づき支給する生活基礎年金に関する法律」((略称)「生活基礎年金法(ベーシック・ペンション法)」2022年草案前文】の以下の内容の具体的に適用可能な事例として確認していく作業に当たるものです。
併せてご覧頂ければと思います。

「生活基礎年金法(ベーシック・ペンション法)」2022年草案前文

本法制定の背景

憲法に規定する基本的人権及び生存権等の実現
 日本国憲法の最高法規である第97条規定の「基本的人権」に準拠した「第三章 国民の権利および義務」の各条に定める「基本的人権」「個人の尊重・尊厳」「法の下の平等」「自由」「生存権」「教育を受ける権利」「職業選択の自由及び勤労の権利」「幸福追求権」等に基づき、種々の社会保障・社会福祉に関する制度・法律が制定され、運用されていますが、それらにおいて、未だに規定する条件を実現していないものがあり、その対策・充実が必要とされています。

生活保護の運用と実態
 憲法第25条に定める「最低限度の生活を営む権利」を保障する社会福祉制度の一つに、生活保護制度とその法律である「生活保護法」があります。
 しかし、この生活保護法の運用について、受給要件を満たす人の多くが、受給申請手続きを行わず、実質的に生活保護受給世帯よりも困窮した生活を送っていることが問題になっています。
 この低い捕捉率の理由として、受給要件の審査段階における手続きの複雑さ、審査基準や担当官の公平性を欠く裁量制・恣意性や態度など、それに起因する申請を躊躇わせる心情等が挙げられており、法の下の平等を欠く運用が行われている現状があります。
 また、その審査・給付などには、多くの行政上の費用が支出されています。
 その行政改革も含めて、公平性・公正性を保障する最低限度の生活を営むための社会保障制度を改廃あるいは改革することも視野に入れる必要性があります。

少子化社会の要因としての結婚・出産・育児等における経済的不安
 2019年の合計特殊出生率が1.36を記録し、年間の出生数は87万人割れ、人口減少数も50万人超と、11年連続で減少を続けています。
 特に、非婚化・未婚化及び晩婚化による出産数の減少、持ちたい子どもの数と実際に持つ子どもの数との差など、少子化に繋がる直接・間接的な要因の背景には、結婚・出産・育児・教育などの一連の営みに必要な収入・所得などの経済的な不安とこれと繋がる心理的な不安があることが指摘・認識されています。
 そこでは、エッセンシャルワーカーや非正規雇用者数の増加による所得の減少や不安定化など労働問題も指摘されています。
 そして、2019年に端を発する新型コロナウィルス感染症のグローバル社会全体におけるパンデミックが、わが国にも例外なく大きな影響を与え、経済的な不安や健康上の不安の増大から、婚姻数、妊娠件数、出産数の減少を招いており、長期化している少子化に一層深刻度が増すと予想されます。
 この少子化と人口減少が加速する日本社会において、早期に有効な手立てを打つことが不可欠な状況にあることは言うまでもないところでしょう。

子どもの貧困と幸福度を巡る評価と課題
 少子化対策とも重なり合う課題として、子どもの生活における貧困や格差、そこに起因する低い幸福度などの問題があります。
 親の収入や雇用における不安定や不安、貧困・格差は、自ずと子どもの保育・教育、生活そして人生にも影響を与えます。
 その結果、子どもが将来への希望や夢を持つことや、保育や教育を通常通り受ける機会を失うことに繋がり、成長時と成長後の生き方・働き方にも負の影響を及ぼすことになります。
 わが国の子どもにかける費用のGDP比率や、子どもが感じる幸福度、将来への希望や夢を持つ子どもの比率などにおいて、対外比でいずれも低い評価にある現状を無視するわけにはいきません。
 保育の無償化が実現しましたが、基本的には、親の経済及び心身面での安心と子どもの将来に希望を持つことができる諸施策の拡充がわが国に課せられた重要な課題と考えます。
 既存の児童手当がその不安を解消するには程遠い状況も考慮し、子どものための社会保障制度の拡充が求められています。
 その施策が、少子化社会への歯止めに繋がると共に、子どもの養育に対する親の安心感と子ども自身の成長への大きな力となり、社会経済のに好循環をもたらすことは間違いないでしょう。

母子世帯・父子世帯の困窮支援の必要性
 先述した、生活保護受給要件を満たすけれど申請せず、困窮した生活を送っている人々の典型的な例が、母子世帯・父子世帯と言われています。
 その世帯の多くは、育児の負担や家族資源の乏しさから、労働時間に制約を受け、やむなく非正規職として働かざるをえない状況にあります。
 当然育児・教育と仕事の両立が困難で、現状と将来への不安を解消する目処・当てがないまま困窮する生活を送っている例が非常に多く報告されています。
 子どもの数や成長段階に応じた多様かつ柔軟な社会福祉的支援とともに、経済的な不安を取り除く施策が強く求められています。

非正規労働者の増加と雇用及び経済的不安の拡大及び格差拡大
 経済成長の停滞が長く続くなか、企業は、経営リスクの抑制・回避のため、非正規雇用者の比率を高め続けてきています。
 雇用の安定が、経済成長の維持・実現に寄与することから、政府も非正規雇用者の正規雇用への転換を進める施策等に取り組んできていますが、企業の取り組みは大きくは改善されていません。
 そのため、非正規雇用で働く人の多くは、低賃金や長時間勤務など、自身が望む働き方とは異なる厳しい労働条件・環境で働くことを余儀なくされており、現在と将来に対する生活への不安を増幅させています。
 単身者の非正規労働者はもちろん、夫婦共働き世帯において、一方または双方が非正規雇用に甘んじている場合も同様です。
 こうした社会経済構造は、基本な生活レベルの維持はもとより、結婚への諦め・晩婚化、単身世帯の増加、未婚率の高まり・婚姻率の低下、子どもを持つことの断念・少子化、育児あるいは介護と仕事の両立などの困難化など、さまざまな負の影響をもたらしています。
 加えて、新型コロナウィルスのパンデミックの長期化で、もっとも影響を受けたのが、非正規労働者や零細自営業者です。
 こうした人々と正規雇用者や大企業労働者、そして富裕層との格差拡大は、社会を分断するリスクを内包・拡大するものであり、その改善・解決のための抜本的な対策が喫緊の課題となっています。

保育職・介護職等社会保障分野の労働条件等を要因とする慢性的人材不足
 潜在的保育士や潜在的介護士が数多くいるにもかかわらず、慢性的に人材不足となっている、保育や介護の現場があります。
 障害者福祉の現場も含め、どの職業も、厳しい労働条件・労働環境での職務を余儀なくされ、離職率も高く、慢性的な人材不足の状況が続いています。
 新型コロナウィルス禍で、一層その状況は厳しさを増し、心身とも疲弊している現状があります。
 他産業・他職種との賃金格差もなかなか縮まらず、国が補助金を支出しても大きな改善は見られません。
 こうしたいわゆるエッセンシャル・ワークと言われる社会保障分野の職務・職業は、本質的に高い労働生産性を求めることは難しく、民間サービス事業化が進められたことも、労働条件を抑制する方向に向かわせています。
 これらの半ば公的な仕事に就く人たちですが、民間事業者においての賃金は公務員レベルに満たず、また厳しい職場ゆえに常用勤務希望者は少なく、非正規化も進んでおり、それがまた所得の低下、生活上の経済的不安化を推し進める要因ともなっています。
 小さな政府という方針とは本来相いれない社会保障・社会福祉領域の公的サービス事業の職種・職業に、希望する人が安心して就職・就労できる施策が求められています。

共働き夫婦世帯の増加と仕事と育児・介護等両立のための生活基盤への不安
 夫婦共働きが普通になっている社会ですが、働き方や生活様式は形成する家族形態を含めて多種多様で、それぞれに対応できる子育てや介護の社会化が十分に実現してはいません。
 就労する企業の支援制度に依存する場合も多く、やむなく、出産時の離職、子育てのための離職、介護離職などを余儀なくされる例もまだまだ多い状況です。
 それが新たな生活上の経済的な不安・不安定をもたらしてもいます。
 企業の支援も、企業規模や業種により格差があり、十分な支援を受けることができる人は限られています。
 また、仕事とそれらの両立等を可能にする社会保障制度の確立は、雇用される人とその世帯にとってだけでなく、自営業や零細事業を営む人・世帯においても求められるものです。
 雇用保険、健康保険、介護保険、労災保険、児童手当など種々の社会保障制度と合わせて、多面的で有効な施策を導入する必要があります。

なお、この「生活基礎年金法(ベーシック・ペンション法)」2022年草案前文を含む、当法案のシリーズ記事は、当サイトで、以下の記事にまとめて公開しています。
是非確認してください。

前置きばかりになりました。
次回は、シリーズ再開1回目・通算7回目、河合雅司氏著『未来の年表 業界大変化』の内容の一部を参考にして考えてみることにします。


今回参考にしたのが、
河合雅司氏著『未来の年表 業界大変化 瀬戸際の日本で起きること』(2022/12/20刊・講談社現代新書)。

本書は、同氏によるベストセラー『未来の年表』シリーズの第5巻に当たるもの。
私の手元には、以下の第1巻と第2巻がありますが、今回第1巻も少し活用します。
・『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』(2017/6/20刊・講談社新書)
・『未来の年表2 人口減少日本であなたに起きること』(2018/5/20刊・講談社新書)

未来の年表 業界大変化 瀬戸際の日本で起きること』目次

はじめに 
序章 人口減少が日本にトドメを刺す前に
第1部 人口減少日本のリアル
 革新的ヒット商品が誕生しなくなるー製造業界に起きること
 整備士不足で事故を起こしても車が直らないー自動車産業に起きること
 IT人材80万人不足で銀行トラブル続出ー金融業界に起きること
 地方紙・ローカルテレビが消える日ー小売業界とご当地企業に起きること
 ドライバー不足で10億トンの荷物が運べないー物流業界に起きること
 みかんの主力産地が東北になる日ー農業と食品メーカーに起きること
 30代が減って新築住宅が売れなくなるー住宅業界に起きること
 老朽化した道路が直らず放置されるー建設業界に起きること
 駅が電車に乗るだけの場所ではなくなるー鉄道業界に起きること
 赤字は続くよどこまでもーローカル線に起きること
 地方に住むと水道代が高くつくー生活インフラに起きること
 2030年頃には「患者不足」に陥るー医療業界に起きること1
「開業医は儲かる」という神話の崩壊ー医療業界に起きること2
 多死社会なのに「寺院消滅」の危機ー寺院業界に起きること
 会葬者がいなくなり、「直葬」が一般化ー葬儀業界に起きること
「ごみ難民」が多発、20キロ通学の小学生が増加ー地方公務員に起きること
 60代の自衛官が80~90代の命を守るー安全を守る仕事に起こること
第2部 戦略的に縮むための「未来のトリセツ」(10のステップ)
 ステップ1 量的拡大モデルと決別する
 ステップ2 残す事業とやめる事業を選別する
 ステップ3 製品・サービスの付加価値を高める
 ステップ4 無形資産投資でブランド力を高める
 ステップ5 1人あたりの労働生産性を向上させる
 ステップ6 全従業員のスキルアップを図る
 ステップ7 年功序列の人事制度をやめる
 ステップ8 若者を分散させないようにする
 ステップ9「多極分散」ではなく「多極集中」で商圏を維持する
 ステップ10 輸出相手国の将来人口を把握する
おわりに

書籍のタイトルに「業界大変化」と挿入されています。

上記の構成(目次)でも分かる通り、テーマとされている業界をすべて取り上げると・・・。
製造業界、自動車業界、金融業界、小売業界、物流業界、農業業界、食品メーカー業界、住宅業界、建設業界、鉄道業界、医療業界、寺院業界、葬儀業界、地方公務員、自衛官等。

本書の視点は、第2部で戦略視点からの「未来のトリセツ」を示すように、業種ごとの経営のあり方を提案するものです。
従い、そこではベーシック・ペンションとの接点はありません。

ただ、こうした業界のそれぞれの業種に応じての主要職種において、
・人口減少に伴う労働人口の減少及び人材不足
・少子化・高齢化に伴う企業・職場における就労者の高齢化と若手人材不足
という共通の問題・悩みが拡大していくわけです。
本書では、例として自動車整備士不足、ドライバー不足、建設現業人材不足などが挙げられています。
とりわけ目新しい問題ではないように思われますが、現業においては死活問題でしょう。
それぞれに予想される業界の大変化にどう備えるべきか。

トリセツに解を求めるまでもなく、これからの業界大変化をもたらす要素に、間違いなくイノベーション、技術革新があります。
自動運転システムとその実用化のための法制化、EVシェアの高まりによる自動車メンテナンス業務自体の変化、建設現場における無人化作業の拡張、そして何より、AI、IT領域におけるイノベーションと同領域人材ニーズの膨大な高まり。
トリセツでも求められた、高い「労働生産性」が実現されるでしょう。
そしてそこでは、不足する人材不足を、イノベーションが解消することになります。
ですが、そうした観点からの深掘りもみられません。

一方、介護士や保育士、看護師などのエセンシャル・ワークに従事する人材不足は、超高齢化の加速で一層厳しくなると考えられます。
いかにIT化やロボット化が進められても、人対人のサービス業務のほとんどは代替できません。
また地方公務員も、エセンシャル・ワーク同様の性質をもつ多種多様な職種を含む業種・業界と言え、いたずらに生産性向上や効率化を追求することにはムリがあります。
しかし、こうした将来の個々人の仕事・職業については、トリセツを示していません。
わずかに、山積する「ブル・シットジョブ」を減らすべきというトリセツがありますが、これがエセンシャル・ワークをイメージさせる可能性があることを筆者は気づいていないでしょうね。

ならば、ということで、2017年に発行されたシリーズ第1巻の『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』の構成(目次)を転記してみました。

未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』目次

はじめに
第1部 人口減少カレンダー
 序 2016年、出生数は100万人を切った
 2017年 「おばあちゃん大国」に変化
 2018年 国立大学が倒産の危機へ
 2019年 IT技術者が不足し始め、技術大国の地位揺らぐ
 2020年 女性の2人に1人が50歳以上に
 2021年 介護離職が大量発生する
 2022年 「ひとり暮らし社会」が本格化する
 2023年 企業の人件費がピークを迎え、経営を苦しめる
 2024年 3人に1人が65歳以上の「超・高齢者大国」へ
 2025年 ついに東京都も人口減少へ
 2026年 認知症患者が700万人規模に
 2027年 輸出用血液が不足する
 2030年 百貨店も銀行も老人ホームも地方から消える
 2033年 全国の住宅の3戸に1戸が空き家になる
 2035年 「未婚大国」が誕生する
 2039年 深刻な火葬場不足に陥る
 2040年 自治体の半数が消滅の危機に
 2042年 高齢者人口が約4,000万人とピークに
 2045年 東京都民の3人に1人が高齢者に
 2050年 世界的な食料争奪戦に巻き込まれる 
 2065年~ 外国人が無人の国土を占拠する
第2部 日本を救う10の処方箋 ー 次世代のために、いま取り組むこと
 序 小さくとも輝く国になるための第5の選択肢
【戦略的に縮む】
 1.「高齢者」を削減
 2.24時間社会からの脱却
 3.非居住エリアを明確化
 4.都道府県を飛び地合併
 5.国際分業の徹底
【豊かさを維持する】
 6.「匠の技」活用
 7.国費留学制度で人材育成
【脱・東京一極集中】
 8.中高年の地方移住推進
 9.セカンド市民制度を創設
【少子化対策】
10.第3子以降に1000万円給付
おわりに 未来を担う君たちへ
結びにかえて

ざっと見渡しても、個々人の生き方・働き方という視点での提案は、あまり感じられません。
私にとって最も関心がある、社会保障や地方自治体の行政のあり方についても、ほとんど踏み込んでいません。
よくある、経済成長や国の財政に関する予測・問題点、対策などにも極めて部分的にさらっと触れる程度で、あまり言及していません。
昨日の段階では、この「未来の年表」から、示唆に富んだ、参考になる内容を紹介でき、ベーシック・ペンションと関係付けて考えることができる。
そうイメージしたのですが、残念ながら、あまり深刻にならずに、気軽に手に取り、気軽に読むことができる新書。
そんな確認を行った感覚です。

第1巻の発売は2017年で、コロナパンデミックもウクライナ侵攻を予想することなどできませんでした。
一方、新刊の方は、どちらも生起した後の発刊でしたが、その影響等からの論述も殊更には見当たりませんでした。
人口減少と少子高齢化から、近未来の年表の年次ごとに想定・予想されるトピックスをピックアップした書。
政策提言書としては内容的にもインパクトがなく、当然、未来予測が外れても何も責任はありません。
この象徴的トピックス抽出による「未来の年表」から、ベーシック・ペンション論になにを活かすことができるか。
内容がないままですが、総括作業に入ることにします。

継続して人口減少が続く日本社会が、どのような影響を生活や仕事や企業活動に、そして政治・行政活動に及ぼすか。
「未来の年表」は、人口減少の推移と推測を連ねることで、種々の観点から、予測や警鐘を提示するものです。
これまでの人口減少の推移とこれからの人口の変化の推測は、「国立社会保障・人口問題研究所」等が公開する資料で確認することができます。

これらは、人口の推移と予測という視点でグラフ化した過去と未来の年表の1種と捉えることができます。
しかし、このグラフは、平成29年2017年の推計であり、コロナパンデミックもロシアのウクライナ侵攻も関係のない未来予測です。

次に、同様「社人研国立社会保障・人口問題研究所)」による<人口グラフ>を転載しました。


2020年以前のグラフもありますが、本稿は、未来の年表がテーマなので割愛しました。
当資料は、コロナもウクライナ戦争も未知の2017年推計であり、2022年に年間出生数が80万人割れすることは想定外のことで、この人口グラフには修正が必要になるわけです。

※(出典):国立社会保障・人口問題研究所ホームページ (https://www.ipss.go.jp/

上記のグラフに関するコメントは、まったく添えませんでした。
しかし、明確なのは、人口減少は止めようがないが、少子高齢化のうち高齢化は、間違いなく、2050年以降、急速に縮小するであろうということです。

そう考えると、人口グラフにおける<年少人口>の継続的な減少に、できるだけ早く終止符を打ち、増加に転じるようにできないか。
岸田首相は、「出生率低下を反転させる」として「異次元の少子化対策」を掲げました。
言うのは簡単ですが、これまでの少子化対策が、言葉だけの総花的政策の積み上げの繰り返しであり、それらがまったく機能しなかったことは明らかです。
出生率を上げること、出生数を増やすには、少子化対策という観点からの政策だけでは到底ムリなのです。
「異次元の社会システム改革」と「異次元の経済システム改革」に長期にわたって、計画的・継続的に取り組むことでようやく実現できることと考えるべきなのです。

これまでの人口推計グラフや人口グラフに、日本社会の根本的な課題が盛り込まれ、人口減少やデフレ経済、格差拡大などを発生させる要素・原因のほとんどが予想可能だった。
にも拘わらず、的確な社会政策も経済政策も、そして財政政策も打つことなく、徒に時間とコストを費やしてきた。
それらのやり方を抜本的に見直すべき状況にあると認識すべきです。
そしてその必要性・重要性が、コロナパンデミックとウクライナ戦争で一気に高まり、平時においてそうした想定外のリスクに備えるべきことを教えられたわけです。

その改革の基軸として、すべての国民に、無条件で、平等に、毎月基礎的な生活を送るための生活基礎年金を専用デジタル通貨で、個人のデジタル通貨専用口座に支給する、ベーシック・ペンション制度の導入を提案しているのです。

2050年の総人口を1億人と想定し、その年までにベーシック・ペンション制度が完成。
その実現までのプロセスを、近未来の年表方式で、総合的・体系的・計画的に示していく。
読みやすい書のようには、ベーシック・ペンションが実現しやすい未来年表を簡単には描くことはできません。
しかし、実現プロセス年表をなぞれば、実現した社会をイメージできるような内容、説得力のある内容の諸提案ができるように、と考えています。

次回は、野口悠紀雄氏著『2040年の日本』を取り上げて考えることにします。


通算9回目の今回は、
野口悠紀雄氏著2040年の日本(2023/1/20刊:幻冬舎新書 )を参考にします。

私が運営している上記 https://2050society.com(現在廃止) が、「2050年の望ましい日本社会の創造」を主テーマとしており、本書が「2040年の日本」を描く書であったため入手したもの。
そして、これまでも述べてきているように、ベーシック・ペンションの導入において、個人生活基盤・社会システム・経済システムの整備・改革も並行して取り組み、実現していくことも目標・目的としていることと関連する。
本稿の意図は、そこと繋がるものです。
※なお、2050society の基本方針は、現在、https://onologue.net に継承しています。

まず、本書の構成を以下に。

『2040年の日本』構成

はじめに:なぜ未来を考えるのか
第1章 1%成長できるかどうかが、日本の未来を決める
 1.なぜ経済成長が必要なのか
 2.少子化のもとで1%成長を実現できるか
 3.高い経済成長率見通しは、深刻な問題を隠蔽する
 4.日本経済の長期的な成長率を予測する
 5.出生率低下は日本の将来にどんな影響を与えるか
第2章 未来の世界で日本の地位はどうなるか
 1.日本は豊かな国であり続けるが、新興国との差は縮まる
 2.中国との関係は、きわめて重要だが難しい
 3.GDPが日本の10倍となる中国と、どのようの向き合うべきか
 4.急激な円安で、日本は台湾より貧しい国になった
第3章 増大する医療・介護需要に対処できるか
 1.社会保障負担を4割以上上げる必要があるのに、何もしていない
 2.超高齢化社会では誰もが要介護になる
 3.医療・福祉が最大の産業となる20年後の異常な姿
 4.低い賃金で、必要な介護人材を確保できるか
 5.こんな経済が成り立つのか
第4章 医療・介護技術は、ここまで進歩する
 1.医療技術はどこまで進歩するか
 2.介護ロボットはどこまで進化するか
 3.未来の医療は、メタバースで行われる
第5章 メタバースと無人企業はどこまで広がるか
 1.メタバースがもたらす巨大な可能性
 2.メタバース経済取引の可能性と問題点
 3.日常生活にメタバースを使う
 4.NFTで何ができるか?
 5.無人企業DAOが現実化する
第6章 自動運転とEVで生活は大きく変わる
 1.完全自動運転が実現したら、社会はどう変わるか
 2.自動運転で生活環境は大きく変わる
 3.EVへの移行は進むか
第7章 再生可能エネルギーで脱炭素は実現できるか
 1.日本の将来のエネルギーは大丈夫か
 2.原発の所要稼働台数を計画の3分の1に減らせるか
第8章 核融合発電、量子コンピュータの未来
 1.実現が難しい技術はどうなるか
 2.比較的早期に実現できる技術
 3.量子コンピュータと量子暗号とは何か
第9章 未来に向けて、人材育成が急務
 1.日本のデジタル化は「バック・トゥ・ザ・パースト」
 2.世界ランキングで分かる、日本の大学の立ち後れ
 3.デジタル人材育成の遅れが日本の遅れの基本原因
 4.勉強しない日本の学生と、死に物狂いで勉強するアメリカの学生
おわりに:われわれは、未来に対する責任を果たしているのか?

キーワードを拾っていくと、
経済成長、少子高齢化、社会保障制度の維持、エネルギー及び環境問題、技術革新、そしてメタバース、人材育成 等々
どこにもベーシックインカムのべの字も出てきていません。

インフレを発生させたMMT手法を批判

冒頭「財源は国債だけでは賄えない」という書き出しで、「財政支出の財源は、中央銀行が貨幣を発行して賄えばよい」というMMT(現代貨幣理論)を引き合いに出します。
その意図は、MMTは「インフレが起こらない限り」という限定条件付きでの国債によるファイナンスの正当化を論拠とするが、現実的には、アメリカのインフレを見ればその方法が誤りであったことを証明していると。

成長が必要な日本に不可欠な、供給力を高めるための技術革新と労働力率向上

インフレ発生の根本的要因は、供給力不足。
いわゆるコストプッシュ・インフレで、先にシリーズを終えた、
中野剛志氏著『世界インフレと戦争 恒久戦時経済への道』(2022/12/15刊・幻冬舎新書)を題材にしての【『世界インフレと戦争』から考える2050年安保とベーシック・ペンション】シリーズで、供給力を高める必要があることと併せて、再三再四、確認してきました。
(参考)
⇒ 【『世界インフレと戦争』から考える2050年安保とベーシック・ペンション】シリーズー11、最終回終了!(2023/2/6)
※このシリーズも、いずれ、当サイトに、集約統合して1記事にまとめて投稿します。

ただ、野口氏の提起は、多くの経済学者が同様の主張をするのと変わりません。
そしてこの章での主張の特徴は、政府を初めとする種々の公的な経済に関する見通しや仮説シナリオ想定に用いる数値が、すべて甘いものであるというものです。
そして政府はゼロ成長シナリオを想定し示すべきと言います。
これも、特段取り立てる必要はないと考えます。
何より、中野剛志氏の書での基本認識は、「恒久的戦時経済」を想定すべきというものでしたから。
ただ、先の供給不足を解消する以前に、需要を喚起することも必要なわけで、なんとか1%でも経済成長をと、そのための技術革新、労働力率向上としているわけです。
加えて、「出生率の引き上げより、高齢者や女性労働力率引き上げが重要」とまで言い及ぶと、いささか鼻白む思いがわいてきます。

社会保障財源対策は、自己負担・社会保険料負担の引き上げと給付サービスの削減

野口氏は、ベーシックインカムにはまったく賛成していない学者です。
先述のMMT批判で示されていますし、「第3章 増大する医療・介護需要に対処できるか」のテーマと構成を見れば、その感覚は伝わってくると思います。
そこでの内容をしっかりみていくと、行き着く先は、社会保険給付サービスに対する自己負担増と保険給付の削減、そして社会保険料の引き上げになります。
「低い賃金で、必要な介護人材を確保できるか」などとどこか他人事のように書いてもいます。

とは言うものの、負担引き上げにおいては、財源確保も重要な問題とし、社会保険料引き上げだけでなく、税負担率の引き上げは避けて通れない。
一刻も早く本格的な議論を始めることが必要とし、まず最初に必要なのは、現在の大きな不公平是正のために、資産所得課税の強化を提案しています。
その方針での検討を始めた税制調査会での進展を期待したい。
これでおしまい、です。

第1章に続いて、「第2章 未来の世界で日本の地位はどうなるか」では、グローバル社会経済における日本の現状及びこれからの地位低下について、データを示しつつ、主に中国及び中国との関係に焦点を当てつつ整理しています。
総じて、2040年の悲観的な日本を想像・想定しつつ、打開策としては、技術革新とその源泉である人材育成という結論になるのですが、肝心の人材育成については、海外諸国の学生に比して日本の学生が勉強しないことを指摘し、やはり悲観的な論調で終わってしまっています。
こうなると、前回の河合雅司氏の『未来の年表』に対して予想される近未来のトピックを、時系列的に並べただけ、2040年を象徴的に設定し、現状認識を踏まえて種々の予想と対策の一端を示しただけ、となってしまいます。

ベーシック・ペンションがまずもたらすであろう需要増。
その需要に応じるための供給力向上。
そこでは、コロナパンデミック、ウクライナ戦争が加速したエネルギー、食料、希少資源などの供給不安を要因とするコストプッシュ・インフレ対策とも結びつくことは言うまでもありません。
一朝一夕では改善・解決が不可能なことは自明ですが、平時において恒久的戦時社会経済体制を想定した技術革新への取り組みと社会経済政策への取り組みを、プロセスデザインを元に進めていくべく考察・提案を進めているのです。

本書では、『未来の年表』とは異なり、ベーシック・ペンションの導入におけるインフレ懸念への長期的な対策・対応を考える上で、いくつものヒントや提案が第4章以下で種々組み込まれています。
最も興味深いのは、エネルギー自国自給自足政策と繋がる「核融合発電」や再生可能エネルギーに関すること。
その他にも、https://2050society.com で進めていた、多様な<安心安全安定・保持保有確保>の「安保」政策と関連する内容もあるため、同サイトでまず取り上げて、こちらのサイト、ベーシック・ペンションと繋ぐ。
こういう方法を採っていきたいと考えます。
※この方針は、実際にONOLOGUE2050で、シン日本社会2050の理念のもとに、多様なシン2050理念群を配して、展開しています。

なお、インフレ懸念があることは当然と想定していますが、ベーシック・ペンションの支給が、まず基礎的な生活のための消費・需要を喚起することで供給力の整備拡充に繋がる。
そしてその給付から、通常の所得を投資や起業化行動や、文化芸術等創造的活動のために用いる。
こうしたことが経済成長に結びつくことでイメージ可能となることを申し添えておきたいと思います。

なお、野口悠紀雄氏については、2021年12月に、同氏著
・『CBDC 中央銀行デジタル通貨の衝撃』(2021/11/15刊・新潮社)
を参考にして、ベーシックペンションの専用デジタル通貨での給付について、技術面・運用面での課題などを考察するシリーズを投稿しています。
そのシリーズ記事の当サイトにおける集約版が以下です。

次回は、岸田首相得意の竜頭蛇尾型政策及びスローガンの一つ「異次元の少子化対策」の目玉の一つ、「児童手当」と所得制限撤廃を巡る最近の議論とベーシック・ペンションを結びつけてみます。


今回は、2023/2/20付日経の「子ども給付、増額の勘所」と題した<複眼>欄掲載の4人の専門家へのインタビュー記事を参考に考えます。
(参考)
⇒ (複眼)子ども給付、増額の勘所  公教育改善、優先度高く 慶応義塾大学教授 中室牧子氏 :日本経済新聞 (nikkei.com)

今回の<複眼>欄のテーマは、「子ども給付、増額の勘所」。
以下の問題提起から始まり、4人の専門家へのインタビューで構成される。
原文そのまま、転載させてもらった。

子ども向け給付の増額をめぐる議論が熱を帯びてきた
2022年の出生数は77万人程度まで落ちこむ見通しで、少子化の加速に対する危機感が背景にある。
中学生以下を対象とする児童手当の増額や所得制限の廃止が論点となる中、実効性や財源にも注目が集まる。
政策設計のあり方を有識者に聞いた。

⇒ 熱の帯びかたが、ちょっと違う、と思うのだが。
  少子化加速に対する危機感というが、危機感のレベルが示されることはなく、非常に感覚的な問題提起であることは毎度のことだ。
  そして日経の常套・常用表現、「実効性や財源」への注目の集まりが示される。
  それらを前提とした議論では、行き着くところ、決定的な政策はまとめられないし、財源は、増税か社会保険料の増額となる。
  増税においては、なぜか富裕層から重点的に徴収する方法は取られず、幅広く、となるだろう。
  社会保険料の方は、高齢者負担が給付サービスの自己負担を含め増えることで、全世代型社会保障制度の実現という目眩まし策を取ることも常套手段である。
  こうした、いちゃもんを先行させ、先入観をもって4人のインタビュー記事に臨むのは公正ではないかもしれないが、(影の声)は、⇒ の後に私の独り言( monologue ならぬ Onologue )として、メモしていくことにしたい。

同氏の専門は教育経済学。教育環境と学力の関係など様々なデータを使って分析し、政策提言に生かしている、と紹介されている。
私の手元には、よく知られている『』がある。

小見出しは「公教育改善、優先度高く」

・児童手当の所得制限はなくてもよい。
・ドイツに高学歴・高所得女性への手厚い経済的支援が出生率改善に繋がったという研究がある。
⇒ 部分的な事例で、全女性についてはどうなのか不明。

制限の撤廃にかかる費用も1500億円ほどだが、給付額の拡充や支給年齢の引き上げには数兆円規模の財源が必要になるゆえ、議論が必要
・所得制限に終始するのは矮小化した議論
⇒ 財源規模の大小で議論の大小が決まるというのは、分かるような分からないような・・・
  矮小化というよりも必要な議論を後回しにしただけのこと

現金給付を増やす前に必要なのは公教育の改善
⇒ 増やしつつでも、増やした後でも必要では? 長い取り組みになるでしょう。
が増え続けている。

・教育に関心のある親が公立学校の質に満足できず、塾や私学にかける費用を補完している
・そういう状況で現金給付を増やしても塾や私学にお金が流れるだけで、2人目3人目を増やそうとはならない
・東京都の私立中学学費10万円補助事業検討は完全な悪手。私学が学費を上げ家計の負担は減らない。
⇒ こうした民間のやり方は、介護や保育事業でもみられる。

・公教育の改善策の要は教員の質で、レベルの高い人にしっかり入ってきてほしい。
・待遇の悪いところに良い人は来ないので改善が必要で、単なるばらまきよりもはるかに良い。
⇒ こう断言するのは、現場で頑張っている人たちに悪いし、モティベーションを下げることに気づかないのか、その神経を疑う。
⇒ 教員の働く環境、条件の改善に話が向かないのは、何か理由があるのだろうか?

・7人に1人の子供が相対的貧困にあるなか、質の高い公教育は格差の縮小にもつながる。
・その子たちが将来、就労して納税者になれば社会として恩恵を受け、投資リターンは大きい。
⇒ そういう側面、副次的効果はあるにしても、子を持ちたい人々の動機とはならないだろう。

・子育て政策はころころ変わってきた。政権が代わっても続く財源と制度をつくってほしい
⇒ この指摘だけは、絶対的に支持できる。「ほしい」ではなく、マストなのだ。

・現金給付にせよ教育改善にせよ、恒久的な財源が大事だ。
・社会保険からの拠出が浮上しているが、消費税など恒久財源について議論しないのはなぜ
・現役世代だけでなく高齢者世代にも負担してもらうことが重要
あらゆる選択肢を検討してもらいたい。
⇒ その「あらゆる選択肢」を、中室氏も専門外のこととせず、どのようなものになるのか、機会があれば示してほしいものだ。

家族社会学が専門の同氏は、岸田政権の少子化対策会議にも提言しているとのこと。
これまでに日経<経済教室>への執筆もある。

小見出しは「児童手当拡充、消費税で」

・結婚しない、子どもを持たないという主体的な個人の選択を尊重すると、3人以上の多子世帯が一定割合いないと人口を持続させることは困難
希望する家庭が、希望する人数の子どもを持てるようにする必要
結婚したいけれどできないという未婚化の一番の要因は雇用
・20代後半~30代前半の年収300万円を下回る男性の結婚確率が明確に下がる
・子ども数を抑える要因では、子育て・教育にかかる経済的負担の重さが最も大きい
・世帯主の年代別世帯1人あたり平均所得は30代が一番少なく、バブル崩壊前より明確に悪化し、高齢者の世帯を下回る
大学進学者が増えて教育費はより重くなった
⇒ 増えて負担が重くなった、というのは総体的な話で、個々の世帯での議論は別ではないかと。
  ベーシック・ペンションは、すべての個人に支給されるため、大学進学者の支援そのものを実現。

・保育サービスなどの現物給付を急速に拡充させ、家族関係社会支出のGDP比は2020年1.26%と英仏並みになったが、他方、現金給付は0.75%と両国の半分以下
⇒ 私は、GDPを用いての比較論は好みません。問題は、支援を必要とする人々にどのような支援が行われているかということ。まずそれを明らかにすべきでは。

・少子化対策には現物給付と現金給付の両輪が必要
子どもをもう一人持つ意欲を高める効果が最も大きいのは児童手当の増額
・女性には同一労働同一賃金なども効果があるが、児童手当はそれらを上回る。
⇒ こういう比較が必要なものか、有効有益なものか、疑問。

・児童手当は多子世帯に手厚くし、所得制限はないのが望ましい
・高所得者を除くと、同じ所得なら子どもを育てない方が経済的に有利になる
これは次世代を生み育てていく社会の姿ではない。
財政的に制限が必要なら、夫婦の合算所得が1000万円より多い世帯を外す方法はありうる。

少子化対策の財源は消費税が適切
⇒ とはいっても、財源の規模次第では、相当の消費税率アップが必要になるのでは?

社会の仕組みを持続させるためのものなので、国民全員が負担するのが望ましい
・比率が高い高齢者や結婚・出産を選ばない人も子どもを産み育てる人を応援するために負担を。
⇒ 松田氏の今回の提案の中では、唯一引っかる内容・表現。子どもは社会のためのもの?

・これがないと子育てしないほうが経済合理的な社会になりかねない
⇒ 子どもを持ちたくないという人々すべてが経済合理性からその生き方を選択しているかのように言うのは適切ではないと思うが?

結局消費税を財源とすべきということになるが、他にも財源を消費税でという議論も今後出てくるだろうし、そのときどうするのだろうか。
なお松田氏は、過去の<経済教室>でも執筆しており、後述もするが、その小論について、以下の記事を投稿したことがある。
⇒ 究極の少子化対策、総域的支援の意味と現金給付の適正額は?:日経経済教室「少子化に打つ手はないか」から考える-1(2022/7/14)
私も一応<家族社会学>を選考した者であり、松田氏の主張提案には同調するところが多いのだが。

同氏は、経済調査・政策調査・金融調査専門で、岸田内閣の官房参与を務めている。

小見出しは「在宅育児にも目配りを 」

日本はこれまで仕事と子育ての両立に力を入れてきて、待機児童数はほぼゼロに近くなった。
正規で働いている女性の粗出生率は2010年から20年にかけて上昇したが、非正規や専業主婦では低下している。
⇒ 見方・捉え方が極めて限定的で、それも10年間に亘ってのデータを引っ張り出してのもの。全体へのその影響度がどの程度のものか、数字で示さない(示せない?)言い方は悪いが、卑怯な方法だ。

・今後必要になるのは0~2歳の子の在宅育児を希望する再就職者や、専業主婦への支援
在宅育児の世帯に対する現金給付や一時預かりなどの現物給付を拡充し、多様な子育てに対して網羅的な支援をすべき
⇒ これも独断的で、自分の主張を押し通すための強引な方法。
  なんとなく性別役割分業支持者の視点のように感じられる。

・児童手当は年間約2兆円の支出がなされており、一律の増額には巨額の財源が必要になり、その費用対効果は検証しなければならない。
⇒ 巨額のレベル自体曖昧だし、費用対効果検証を求めるとすれば、政府の財政政策すべてに求めるべきであろう。そう考えると、児童手当だけの問題ではなくなるのだが、そういう認識をもっているだろうか。

・所得制限の撤廃も慎重に考える必要がある。
・多子世帯加算はあってしかるべき。
・支給年齢の引き上げよりは低年齢期の支援を手厚くすべき
・給付型奨学金など教育費支援の所得制限の引き上げも、新たに支援対象となる世帯は少なくなるので、進学率向上などの効果が小さくなるため慎重に進めるべき
⇒ インタビューなので、思いつくままを述べている感が強い。これを繰り返していくと、いずれすべてに支援が必要となるはずだが、なんとか広がりを止めたいということだろうか。

・日本の育休制度は世界でもトップクラスだが、運用面に課題があり、男性の育休取得率は現在約14%。2025年取得率30%の目標達成をめざすべきだが、将来的には取得義務化の必要も
⇒ 前後の脈絡を考えると、なにか取って付けたように感じられるのだが。

少子化の主因は若者の婚姻減少
⇒ 当たっているが、主因の一つであって、その前提でどのようにして取り組んでいくかを考えるわけだ。

正規と非正規の生涯年収の格差が結婚の格差につながる。
・児童手当などの現金給付とともに、雇用制度の是正や働き方改革も進める必要がある。
⇒ この2つの発言は、内閣官房参与のものとしては、非常に重要なものといえ、是非とも「異次元の少子化対策」に繋がる政策の提出に繋がることを期待したいものだが、果たして???

・少子化対策は恒久的政策であり、拡充には恒久的な財源が必要になる。
・岸田政権が「消費税には手をつけない」とするため、社会保険から拠出の連帯基金は、税よりは負担増への国民の理解も得やすく、検討に値する。
⇒ その内容がまだ明らかにされない状況ではなんとも評価しづらいが、どこまで議論と現実化が進められるか、注目したい。

・少子化対策は将来的な社会保険財政の安定にも寄与し、被保険者にも恩恵がある
⇒ なにを根拠に、将来的な社会保険財政の安定化に寄与すると言えるのか、非常に疑問である。
  将来とはいつ頃を想定しているのか、財政安定化とはどのレベルのものか、曖昧なままの見通しは、いい加減なものでしかない。

岸田内閣官房参与である人物にインタビューすること自体、多少疑問を感じるのだが。
であれば、当然政府寄りの考えに偏るだろうし、公平な立場や現場に近い感覚での発言は期待できそうもないゆえ。
だが、雇用と賃金格差に踏み込んだ発言は評価できる。
その具体的な改革についての議論を進めてほしいものだが・・・。

同氏は、待機児童問題等市民団体を立上げた人で、3児の母。女性活躍推進等コンサルティング会社代表も務める。

小見出しは「所得制限、幅広く撤廃 」

・児童手当の所得制限は撤廃が必要
・年齢が高くなるにつれ、年収も高くなるのが一般的で、子を持つのが遅くなったばかりに支給対象外となる人は多いだろう。
⇒ その傾向が低くなってきているのが現状と思うのだが。

・高齢出産の高所得世帯が厳しい状況に追い込まれている例は多いとみている。
⇒ 他の要因で厳しい状況に追い込まれている人の方が、絶対数では多いと思うのだが。
・財源問題をクリアできず、所得制限が必要となっても次善の策として、基準年収を少しでも超えれば0円支給という「崖」を改める検討を。
年収の崖の境界にある世帯にとっては死活問題で、基準を超えたら徐々に支給が減る制度を。
⇒ 最低時給の引き上げや、今春の非正規雇用者の賃上げにおいて必ず問題になる「106万円の壁」「130万円の壁」問題への対策提案だが、なぜかこうした提案・議論はメディアでもあまり行われてこなかったのが不思議である。

・児童手当は、昨年2022年秋に年収1200万円以上世帯向けの特例給付がなくなったばかりで、今の議論はそれが元に戻るだけの話。
⇒ 一貫性のない政治の実態である。

・高校無償化なども含め、支援にかかるさまざまな所得制限の撤廃を考えるべき。
⇒ 規制緩和とそれによる行政の簡素化、という側面も評価すべきことは言うまでもない。
  ところが、政治の場での規制緩和は、まったく逆の方向を向いてのものであることの方が多いのだ。それが徒に非正規雇用を増やし、賃金の低下や格差拡大、そして経済成長を妨げた要因となったことを認めるべきだろう。

手当支給は少子化対策のメニューのひとつにすぎず、もっと大胆な政策が要る。
教育費負担軽減が大きなポイントで以下の制度・政策を
 ※公教育の質の向上
 ※子どもがいる親の「可処分時間」を増やす政策として、現物給付の家事支援サービス利用支援
 ※全ての労働者の法定労働時間を6時間に。但し年収が下がらないことが条件
⇒ 当初のベーシックインカム導入論においては、1日の労働時間が3時間で済むようになるともされたという。
  それは夢物語に終わったが、ベーシック・ペンション導入となれば、就労時間の削減は、個人の希望に準じて行うことが可能になる。

・1月の日経の世論調査では、子ども関連予算のための負担増について「増えてよいとは思わない」が過半数を占めた。
・少子化対策の意義や負担方法を具体的に示さないままでは不安が先行するのは当然で、議論を広げていくことが大切だ。
⇒ いくら議論を広げたところで、絶対的に効果を生み出すことができるという政策をまとめるのは厳しいだろう。
 また、財源問題を増税と社会保険料負担・自己負担の引き上げが不可欠となれば、そして財政規律が絶対条件となれば、議論の勢いも広がりも弱まることは間違いないだろう。

 まあそもそも、「子ども給付、増額の勘所」というテーマでの論述と文字数制約では、「議論を広げるべき」とか「あらゆる選択肢の検討を」という提案で締めくくるしかないのは無理からぬところではあるが。

「専門家もメディアも最適解を示せない少子化対策」を当記事の見出しにした。
といっても、政治家や行政にはそれができる、などというものではまったくないことに説明の必要はない。
与党も野党もさしたる違いはない。
上記の4人の専門家の意見をすべて採用することは当然ムリだが、すべてを参考にして、良いとこ取りの政策を提案することも、結局、狭い範囲でのものに限定され、理想とは遠ざかるばかりだろう。
専門家の要約には、一言添えたが、メディア日経のアンカー編集氏の要約も、以下示した。

小見出しは「効果最大化へ財源論を急げ

3氏の児童手当の所得制限撤廃支持について
・現状の年収制限ラインは少子化対策の効果追求に基づく設定ではない。
・広く配った方が効果が大きくなるという指摘は理解できる。
実際の制度設計では、財源との見合いで最大限の効果が期待できる配り方を選択するしかない
・財源限定時「薄く広く」「多子世帯に手厚く」どちらが良いか。
・投入財源規模により給付対象者を絞りメリハリをつけた方が効果が大きい場合もある。
・所得制限撤廃論先行では、後戻りできずに効果の薄いバラマキに終わってしまいかねない。
・制度議論深化には財源の検討を急ぐべき
少子化対策が使途の一つと定められている消費税の議論を封印すべきでない。

婚外子を社会的、ご近所的、地域社会的に積極的には認めず、初めに結婚ありきが一つの文化として形成されている日本では、そうした意識の転換・変革を早急に求めることは極めて困難。
これをある程度は自然に認める風潮、そして文化にまでするには、婚外子の親や片親世帯への支援を厚くし、安心して子どもを持つこと、安心して子どもを養育することができる社会とすることにより、と考える。

4人の意見を集約し、そのすべてを実現しようとすると、結局普通の少子化対策は、従来どおり総合的なものとなり、専門家が求めるデータでその効果を検証することなど、かえって遠のいてしまうことは、これまでと同様である。
まして、財源問題がその縛りになるという前提での議論は、結局、少子化対策に限らず、ほとんどすべての社会保障制度改革における問題と同根であり、中途半端な結果・結論に終わることも、やはり過去を繰り返すことになる。
「異次元の」という枕詞は、最初に気を引くためのだけのもので、過去の政権が好んで用いたスローガン政治と同様、しっかりとした考えや構想や財源論への回答を準備してのものでないことと、言った結果になんの責任も取らないことも、私たちは、繰り返しみてきた。

そもそも、子どもを持ち育てるという個々人の営みは、国の将来を支える財源確保のための働き手・担い手を確保する「安全保障」政策と直結するというものでは本来あるまい。
それは、戦時体制における「産めよ、増やせよ」と同質のものだろう。
また、子どもへの現金・現物給付支出の効果を検証すべき、という議論も、その延長線上にあるもので、そこで用いられるデータで示された効果や効率とやらは、結局多数決、構成比の論理で用いられることが多く、いわゆる多様性や民主主義を重んじる学者に、EBPMを主張する人が多いことに、日頃から疑問を持つことは、これまでも再三再四述べてきた。

4人の意見を集約する意味での<アンカー>氏のまとめ方などは論外のもので、経済合理主義に基づく日経の本質を表している。
比較的に経済的に恵まれている人の意見を代弁した、随分あっけらかんとしたものだ。
実際の制度設計では、財源との見合いで最大限の効果が期待できる配り方を選択するしかない。」
「最大限の効果」とはどのレベルのもので、どのような方法で検証するのか?
こう問いたいが、逃げはきちんと?用意されている。
「効果が期待できる」と。
そう。
あくまでも、期待であり、願いであるのだ。
そもそも、一つの要素が出生率向上にどれほど貢献できたかを分析検証しても、それで変化する数値は、0コンマのあとゼロがいくつもついた後の数字程度のもので、0.いくつのレベルになるまでは、5年、10年と何年も後のことになるだろう。
「多子世帯に厚く」を推奨しているようだが、多子世帯どころか、結婚したくてもできない人々が多いという問題などそっちのけである。
今回の回答にもあるように、専門家各氏がようやく最近主張するようになった、正規・非正規雇用問題と賃金格差問題の改善・解決が並行して行われなければ、3人以上の子どもを持つ世帯の増加があっても、数字で検証できるレベルには至らないだろう。
アンカー氏の依拠する経済合理主義が、こうした雇用問題や格差問題の根源であることなど、まったく意に介していない不合理さと無神経さには、本当に感心してしまうのだ。

2022年6月<経済教室>「少子化に打つ手はないか」を考えるシリーズ

実は、2022年6月下旬に、同様日経<経済教室>で「少子化に打つ手はないか」というテーマで3人の小論が掲載され、他サイト https://2050society.com(廃止済み) で以下のシリーズ記事を掲載しました。

<第1回>:究極の少子化対策、総域的支援の意味と現金給付の適正額は?:日経経済教室「少子化に打つ手はないか」から考える-1(2022/7/14)
<第2回>:こどもは公共財か、社会の覚悟で少子化は改善できるか:日経経済教室「少子化に打つ手はないか」から考える-2(2022/7/17)
<第3回>:実らぬ少子化対策総動員。働き方改革策の限界は明らか:日経経済教室「少子化に打つ手はないか」から考える-3(2022/7/20)
<第4回>:共働き世帯を基準とした少子化対策の限界:日経経済教室「少子化に打つ手はないか」から考える-番外編(2022/7/23)
<第5回>:ぶれる育児支援政策、10月支給分から児童手当61万人対象外に:日経経済教室「少子化に打つ手はないか」から考える-番外編その2(2022/7/25)

そのテーマは、同年6月に公開された2021年人口動態統計で、出生率1.30、出生数81万人余と発表されたことを背景としたもの。
その<第5回>の記事のタイトルに「ぶれる育児支援政策、10月支給分から児童手当61万人対象外に」とあります。
現在、支給対象の所得制限をなくす云々という議論は、こうしたブレブレの政策の迷走とこれからの世代と社会のあり方を巡る根本的な政策をしっかり定めることなく徒に時間を費やしている政治の欠陥によるものと分かります。

※上記論考については、当該サイト廃止時に、記事を削除したため、残っていません。
少子化対策とBI、BPとの関係についてのhttps://basicpension.jp で取り組んだ過去記事シリーズに関しては、「BI実現の壁超克シリーズ」の8つの壁の中の<格差問題の壁><人口構造問題の壁>に取り組む段階で、統合集約化を行う予定です。

昨年そして今年の少子化対策を巡る日経<経済教室>での課題化は、それらの内容を何度読み返しても、子育て支援という一言で議論しても、中室氏が簡単にいうようなすべての選択肢が示されるわけではありません。
それらの議論の中で出てくるのは、出産・子育て支援、結婚したい人々・子どもを持ちたい人々への経済的支援、所得格差是正、進学・就学希望者への支援を必要とするさまざまな人々です。
そしてそれらの支援を担う保育士、教員、地域NPO法人、そして地方自治体などの専門スタッフも何らかの支援を必要としているのです。
児童手当の所得制限がどうとか、現物給付と現金給付をどうするとかいう議論と同時に、関連する業務フロー、業務プロセスに関わる内容なども並行して論じる必要があります。
いうならば、<経済教室>レベルの文字数で、網羅的にその対策・解決策を論じることそのものに限界があるのです。
ベーシックインカム、ベーシック・ペンションは、ともすると金額と財源、そしてインフレ懸念等の問題のみに評価と反論が向けられます。
しかし、ベーシック・ペンションは、社会保障改革の基軸とし、併せて労働制度や財政制度の改革にも踏み込んだ提案・提言を含むものです。
それらの取り組みには、非常に時間・年数を必要とし、それらの議論・検討を通じて、長期間ぶれない政策を形成・合意することをめざしています。


以上で、統合集約版の作業を終えました。
つぎはぎで、一貫性も感じられないシリーズと受け止められたのではないかと思っています。
申しわけありません。
基本的には、どういう場合、どういう事態・事情にあれば、BIもしくはBPが有効か、役立つかという視点で、日常接する情報と関連付けて考察したシリーズとなったかと思います。
社会保障制度との関係、貧困や格差問題、中流という概念にあっての多様な社会的問題、未来・将来に向けての社会的・経済的課題。
やはり、取りあげれば、きりがない社会制度・社会経済システムに関する問題解決課題。
そこに有効なのが、思想の如何を問わない、普遍的かつ包摂的なBI、BP。

それをシン化させるシンBI2050における、その性質・本質論も、そこにとどまっていては、真のシン化が実現できないことを、今回の過去記事の集約統合作業を通じて、強く感じています。

「BI実現の壁超克シリーズ」の<8つの壁>への取り組みの、第3の壁以降は、<社会制度><労働・社会観><格差><人口構造><AI・雇用>が続きます。
この超克シリーズで、すべての課題と方策を明らかにする、あるいは提案することはまだまだ不可能と認識。
多くの多種多様な課題の内、最大の象徴的課題が、8番目の課題に位置付けた<政治>問題です。
政治イシュー、政治マターにまで持ち込むことが絶対不可欠ゆえです。

しかし、そこに持ち込むために、より困難なのが、具体的に制度化し、それが持続性・永続性をもつものと理解され、同意され、支持される内容・レベルに構築・創出すること。
そのフェーズを「シンBI2050とは」「シンBI実現への道」の2つのメインカテゴリーへの取り組みを、遅くとも2026年第4四半期に設定すべく、<壁>の超克作業の速度を上げるべきと考えています。

2020年から現在2026年に至るまで、日本社会は、課題先進国と自ら認識しながら、なんら課題解決できず、必要な社会変革・経済革新をなさぬまま、時だけが流れている感覚を持っています。
資源環境を含む、激変するグローバル社会経済環境に対して、温湯に浸かった平和・平穏・安全な日本社会。
望ましい2050年の日本社会実現のための、唯一、普遍的で包摂的な、
「文化・社会経済システムとしての日本独自のベーシックインカム、シンBI2050」。
2026年上期の最後の月。
<社会制度問題>の壁、<労働・社会観問題>の壁などを相互に関連付けながら、ここまでの取り組み方法と異なるアプローチと成果物を想定すべきと考えています。

当サイト「シン・ベーシックインカム2050」の基礎となっている旧Webサイト「ベーシック・ペンション」(https://basicpension.jpに投稿した記事のうち、シリーズ形式で展開していた記事を、アーカイブとして、重複を整理しつつ統合した“改訂統合版”です。
旧記事は、内容の重複を避けるため、順次、非公開化/リダイレクト/canonical設定などにより整理し、検索エンジン上でも重複を残さない運用を行います。