岩田正美氏著『生活保護解体論』から考えるベーシック・ペンション|旧サイト記事集約移管シリーズ11
岩田正美『生活保護解体論』より|旧サイト記事集約移管シリーズ11
当サイト「シン・ベーシックインカム2050」の基礎となっている旧Webサイト「ベーシック・ペンション」(https://basicpension.jp)に投稿した記事のうち、シリーズ形式で展開していた記事を、アーカイブとして順次一つの記事に集約統合し、移管しています。
今回は、岩田正美著『生活保護解体論』を取り上げた全11回のシリーズを、一本の記事にまとめました。
本記事は、旧サイトで公開したシリーズ記事を、重複を整理しつつ統合した“改訂統合版”です。
旧記事は、内容の重複を避けるため、順次、非公開化/リダイレクト/canonical設定などにより整理し、検索エンジン上でも重複を残さない運用を行います。
岩田正美氏著『生活保護解体論』から考えるベーシック・ペンション-1:本シリーズ方針(2022/1/8)
『生活保護解体論 セーフティネットを編みなおす』より-1
昨年12月下中旬から読み始め、2022年1月第1週になんとか駆け足で、なぞる形で読み終えた岩田正美氏に拠る新刊書『生活保護解体論 セーフティネットを編みなおす』(2021/11/5刊:岩波書店)。
生活保護制度の解体・再編をテーマとした本書を取り上げて、当サイトで提案のベーシック・ペンションを再確認し、より深堀りすることを当初からの目標・目的にしていました。
本稿は、シリーズを開始するに当たっての方針・計画を整理するための、実質的には準備・序論に当りますが、一応通算する形で、第1回目のものとします。
まず初めに、同書の目次を以下に整理しました。
『生活保護解体論 セーフティネットを編みなおす』 構成-1
序章 解体でみえる、最低生活保障の新たなかたち
1.パンデミックと「最後のセーフティネット」
2.誤解とマイナスイメージ
3.「必要な人」にどのくらい利用されているか
4.もう生活保護は解体して出直したほうがいい
5.これまでの改革案 ー 再構築の道筋
第Ⅰ章 生活保護という不思議な世界
1.生活保護とはどういうものか?
2.古い「貧困理解」と、生活保護としての不徹底
3.運営の二重原則
4.具体例で考えてみると
5.いくつかの謎 ー 生活扶助の「加算」と住宅扶助基準
6.何が社会扶助の保障機能を弱めているか
第Ⅱ章 国民皆保険・皆年金体制のなかの「低所得者対策」
1.社会保険と社会扶助
2.国民皆保険と「低所得者対策」
3.国民皆保険の保険料免除・軽減制度と福祉年金
4.「皆保険・皆年金」以外の低所得者対策
5. 低所得基準と生活保護基準
第Ⅲ章 解体・編み直しの戦略と指針 ー 「原理問題」を整理する
1.基礎的生活ニーズに着目して八つの扶助をグループ化する
2.原理問題(1)保険と扶助の区別をどう考えるか
3.原理問題(2)普遍と選別の多様性と「選別的普遍主義」
4.時代の変化に対応した制度に ーその他の課題
第Ⅳ章 提案 どう解体し、どう溶け込ませるか
1.医療・介護サービスニーズの「標準」保障
2.住宅手当の新設
3.教育扶助の解体と子ども養育費の保障
4.高齢期・障害のあるときの生活扶助はどうするか
5.失業時の生活保障と就労支援 ー求職者支援制度の全面改定
6.多様な方法での最低生活保障を
終章 生活の「最低限」をどう決める
1.生活の「最低限」の意味と保障水準
2.唯一正しい最低生活費算定の方法があるわけではない
3.「資産ベース」の福祉へ ー転換は可能か?
4.ベーシック・インカムのほうが早い?
次に、本書の著者である岩田正美氏のプロフィールを、同書から引用します。
著者・岩田正美氏プロフィール
・1947年生。日本女子大名誉教授
・中央大学大学院経済研究科修了、日本女子大学博士(社会福祉学)
・東京都立大学人文学部助教授・教授を経て、1988年日本女子大学人間社会学部教授、2015年定年退職
・2001年~2011年厚生労働省社会保障審議会委員、2011年~同審議会生活保護基準部会臨時委員等歴任
・主な著書:『現代の貧困ーワーキングプア/ホームレス/生活保護』(ちくま新書・2007年)、『社会福祉のトポスー社会福祉の新たな解釈を求めて』(有斐閣・2016年)、『貧困の戦後史ー貧困の「かたち」はどう変わったのか』(筑摩書房・2017年)等

次に、上記の章と節からなる目次構成に、各節ごとに具体論として展開されるすべての<項>を抽出し、本書がどのように展開されていくかが分かるようにしました。
『生活保護解体論 セーフティネットを編みなおす』 構成-2
序章 解体でみえる、最低生活保障の新たなかたち
1.パンデミックと「最後のセーフティネット」
・都内バス停にて ーホームレス女性殺人事件
・パンデミック下の生活保護利用と特別定額給付金
・「現金一律給付」と生活保護制度
2.誤解とマイナスイメージ
・社会扶助としての生活保護
・生活保護が増えると国の底が抜ける?
・高齢・単身利用者の急増
3.「必要な人」にどのくらい利用されているか
・生活保護が「必要な人」とは?
・ 生活保護は捕捉率が大事
4.もう生活保護は解体して出直したほうがいい
・近年の危機と第二のセーフティネット
・なぜ「最後のセーフティネット」であることにこだわるのか?
・生活保護の八つの扶助は、異なった生活ニーズに対応している
・「低所得者対策」と生活保護の関係を解きほぐす
5.これまでの改革案 ー 再構築の道筋
・生活保護改革案
・全国知事会・全国市長会の新たなセーフティネット案
・全国知事会・全国市長会提案と「わたしは、ダニエル・ブレイク」
・なぜ自治体は生活保護を押さえ込みたいのか
・提案にあたっての二つの原則
・カテゴリー別「制限扶助」の弊害
・ 本書の構成
第Ⅰ章 生活保護という不思議な世界
1.生活保護とはどういうものか?
・生活保護の目的と責任
・「誰」が利用できるか ー無差別平等
・必要な生活費をどう計算しているか
・資産調査(ミーンズテスト)と他の要件
・「親族扶養」はマストなのか?
・日本的特徴 ー新しい考えと古い考え
2.古い「貧困理解」と、生活保護としての不徹底
・「生活困窮者」への「全一的」保障という設計
・貧困の原因を区別する
・社会保障と社会福祉のあいだで
3.運営の二重原則
・申請保護/職権保護
・世帯単位/個人単位(世帯分離)
・ 基準表/必要即応
・非現実的な「すべて現物給付」
4.具体例で考えてみると
・A子さんの保護申請と要否の判定
・医療・介護の計上の仕方と収入充当順位
・生活保護は「差額」の支給にすぎない
・貧困の大きなファクターとしての医療費
5.いくつかの謎 ー 生活扶助の「加算」と住宅扶助基準
・生活扶助と加算
・年金・手当に連動した加算の再配置
・「特殊需要」というロジックのあいまいさ
・障害者加算の複層構造と「その場限りの需要」
・さらに不思議な住宅扶助基準
・住宅の特別な位置
6.何が社会扶助の保障機能を弱めているか
第Ⅱ章 国民皆保険・皆年金体制のなかの「低所得者対策」
1.社会保険と社会扶助
・ベヴァリッジ報告と社会保険中心主義
・奇跡か、冒険か
2.国民皆保険と「低所得者対策」
・生活保護利用者の国保「適用除外」
・国民健康保険の基本問題 ー三重の均質性の欠落
・低所得層への保険料の軽減・減免策と高齢者医療無料化
・国保加入世帯の半数以上が保険料軽減対象
・高額療養費「特例該当」と医療扶助単給
3.国民皆保険の保険料免除・軽減制度と福祉年金
・「基礎年金」は「最低生活費」を意味していない
・国民年金の低所得者対策 ー福祉年金としてのスタート
・二つの福祉年金
・国民年金の保険料免除・軽減策
・「皆保険・皆年金」内部の低所得者対策の意味
4.「皆保険・皆年金」以外の低所得者対策
・生活保護への移行を防止する「境界層措置」
・「ボーダーライン層」への貸付制度と第二のセーフティネット
5. 低所得基準と生活保護基準
・多様な「低所得者」の定義
・「基礎控除」と「非課税限度額」 ー何が違うのか?
・ 基礎控除、「非課税限度額」、生活保護基準はどのような関係にあるのか
・低所得基準は保護基準より上でなければおかしい
第Ⅲ章 解体・編み直しの戦略と指針 ー 「原理問題」を整理する
1.基礎的生活ニーズに着目して八つの扶助をグループ化する
・義務教育なのに生ずる教育費用
・社会生活の基盤としての住宅扶助と、情報インフラの重要性
・医療・介護はなぜ現物給付か
・「妊娠・分娩・産褥・新生児管理」と出産扶助
・出産期の女性を支える包括的な施策が必要
・「死後の保障」としての葬祭扶助
・増加する葬祭扶助
・自立助長のための生業扶助
・一歩手前での対応が可能な制度設計に
・日本の既存の制度体系の中に溶け込ませる
2.原理問題(1)保険と扶助の区別をどう考えるか
・社会保険と社会扶助の教科書的整理
・公助・共助・自助
・保険と扶助は共に「互恵的」なもの
・社会保険は「対価的」というより、はじめから「社会的賃金」
・保険料を税的に使う ー社会保険における支援金
・社会保険は「共助」で税による生活保障は「公助」なのか?
3.原理問題(2)普遍と選別の多様性と「選別的普遍主義」
・目標はあくまでも問題解決
・普遍主義の枠組みの中に選別政策を配置する
・「選別的普遍主義」というありかた
・国民皆保険・皆年金の低所得者対策と選別的普遍主義
4.時代の変化に対応した制度に ーその他の課題
・「多様な働き方」に中立的な社会保険の改革を
・対象は国民限定か ー国際的な相互関係のなかで
第Ⅳ章 提案 どう解体し、どう溶け込ませるか
1.医療・介護サービスニーズの「標準」保障
・生活保護費のほぼ半分は医療扶助
・医療や介護サービスはなぜ「標準化」されるのか
・二つの編みなおし案
・医療扶助と国保合体への反対論
・「無料低額診療制度」「行旅病人死亡人法」
・医療扶助と介護扶助の編みなおし 二つのイメージ
2.住宅手当の新設
・住宅手当のない国・日本
・住宅手当こそ全世代型社会保障の代表だ
・施設や宿泊所の問題
・一時的なダイレクトシェルターは必要だが、「ホームレス施設」はいらない
・英国の住宅手当と施設
・「住居確保給付金」を拡張し、恒久化する
・ 公正家賃という考え方
・国交省か厚労省か、財源をどう考えるか
・住宅手当創設の提案のイメージ
3.教育扶助の解体と子ども養育費の保障
・就学援助支援制度を発展させる
・一元化にあたっての三つの課題
・高校・大学も視野に
・子どものいる世帯の生活費への配慮 ー児童手当と児童扶養手当
・「ひとり親」による子の養育への支援に
・ 遺族基礎年金を「ひとり親世帯等基礎年金」へ
・ ひとり親世帯等基礎年金の提案のイメージ
4.高齢期・障害のあるときの生活扶助はどうするか
■ 高齢期の場合
・個人単位+夫婦(ペア)単位で設計する
・高齢世帯の資産の考え方
・高齢期における生活扶助のイメージ
■ 障害のあるとき
・障害年金で「なんとかなる」のか?
・日本の障害年金認定の特徴は
・所得保障の確立が意味すること
・障害者加算分を「福祉手当」に
・保護の決定状況からみた不足額
・障害のあるときの最低生活保障のイメージ
5.失業時の生活保障と就労支援 ー求職者支援制度の全面改定
・失業=貧困とならないために
・失業給付の中心 ー「求職者給付」の基本手当
・保護行政の「ねじれた反応」
・二つのハロトレくんと生活保護
・求職者支援法の給付金を、「求職者支援給付へ」
・求職者支援制度における求職者支援給付の提案
6.多様な方法での最低生活保障を
・「生計維持給付」としての「一般扶助」の存続と一時扶助
・利用者自身がニードを組み立て、保障を請求できる制度に
終章 生活の「最低限」をどう決める
1.生活の「最低限」の意味と保障水準
・残された問題
・妥当な「公的貧困線」として機能する制度 ー政府のMIS
・G-MISとしての生活保護
・生活扶助基準改定の「妥当性」とその変遷
・最低生活は相対的なもの
・格差縮小への合意の時代から「水準均衡」の確認へ
・「格差の時代」の扶助基準の引き下げ圧力
2.唯一正しい最低生活費算定の方法があるわけではない
・新たなマーケット・バスケット方式による算定
・日本での取り組み
・別のアプローチ ー主観的生活費の研究
・低所得単身世帯の把握と家計実態アプローチの可能性
・複数の基準から生活保護基準を検証
3.「資産ベース」の福祉へ ー転換は可能か?
・資力調査か、課税資料か
・個人単位を原則に
・世帯認定と扶養問題
・人間の生活にそくした家計の見方を
・家計における「運転資金」の意味
・破産法における自由財産の考え方を参考に
・資産は「プラス思考」で
・社会扶助の効果を高めるという発想
4.ベーシック・インカムのほうが早い?
・パンデミック以後のリアリティ
・所得保障は完璧な手法ではない ー方法がすべてを解決するわけではない
・公共財としての所得保障
・「共同財源」と「私の家計」をリンクさせていくことが重要
・時代は変化している
上記の構成で、生活保護制度をどのように解体するのかのアプローチと手順がおぼろげに分かるかと思います。
では、なぜ本書を利用するか、その主な目的を簡単にメモしました。
『生活保護解体論』 を用いる目的及び方針
当サイト提案の日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金(以下、BP)が、究極的には、現状の生活保護制度のレベルの社会保障機能を上回る質・内容を持つものとし、さまざまな制度上の問題・課題を抱える生活保護制度を必要のないものとすることを目的としています。
但し、生活保護制度を廃止することが目的ではなく、社会保障制度全体を改革することを目的及び方針としています。
岩田氏の本書は、現状の生活保護制度が持つ多様な目的・機能を再編・再構築することで、生活保護制度を解体してしまう提案です。
そこでのアプローチ方法や提案される新しいさまざまな制度内容は、ベーシック・ペンションとはまったく異なるものですが、個々の関連制度が帰結するところには種々の共通点があります。
従い、当シリーズは、以下の3つの方針を元にして取り組んでいきます。
1.生活保護制度の理解
2.岩田氏主張の生活保護制度解体論の理解
3.これと対比させてのベーシック・ペンション論の再確認及び必要に応じての修正及び深堀り

最後に、本書に沿って進める当シリーズの現状での展開計画案を以下に整理しました。
<『生活保護解体論』から考えるベーシック・ペンション>シリーズ展開計画(案)
第1回:本シリーズ方針
第2回:<序章 解体でみえる、最低生活保障の新たなかたち>より
第3回:<第Ⅰ章 生活保護という不思議な世界>より
第4回:<第Ⅱ章 国民皆保険・皆年金体制のなかの「低所得者対策」>より
第5回:<第Ⅲ章 解体・編み直しの戦略と指針 ー 「原理問題」を整理する>よりー1
第6回:<第Ⅲ章 解体・編み直しの戦略と指針 ー 「原理問題」を整理する>よりー2
第7回:<第Ⅳ章 提案 どう解体し、どう溶け込ませるか>より-1:医療制度・介護制度課題
第8回:<第Ⅳ章 提案 どう解体し、どう溶け込ませるか>より-2:住宅手当制度問題
第9回:<第Ⅳ章 提案 どう解体し、どう溶け込ませるか>より-3:教育制度・子ども制度課題
第10回:<第Ⅳ章 提案 どう解体し、どう溶け込ませるか>より-4:高齢者・障害者制度課題
第11回:<第Ⅳ章 提案 どう解体し、どう溶け込ませるか>より-5:失業及び就労関連課題
第12回:<第Ⅳ章 提案 どう解体し、どう溶け込ませるか>より-6:第Ⅳ章総括
第13回:<終章 生活の「最低限」をどう決める>より-1 :最低限生活課題
第14回:<終章 生活の「最低限」をどう決める>より-2:ベーシック・インカム
第15回:『生活保護制度解体』総括評価
第16回:ベーシック・ペンションと『生活保護制度解体』 との比較総括
途中、他のテーマでの記事を差し挟むこともあるかと思います。
しかし、何とか、2月一杯までに当シリーズは完結させ、3月末までには、昨年来予定していた、今年2022年版ベーシック・ペンションの取りまとめに持ち込みたいと考えています。
長く、飛び飛びになりますが、本シリーズにお付き合いください。

生活保護の誤解、誤ったイメージを解消する解体論化:「生活保護解体論」から考えるベーシック・ペンション(2022/1/12)
『生活保護解体論 セーフティネットを編みなおす』より-2|<序章 解体でみえる、最低生活保障の新たなかたち>から
今回は、第2回、 <序章 解体でみえる、最低生活保障の新たなかたち> を用います。
まず、序章の節と項の構成は以下のようになっています。
<序章 解体でみえる、最低生活保障の新たなかたち>構成
序章 解体でみえる、最低生活保障の新たなかたち
1.パンデミックと「最後のセーフティネット」
・都内バス停にて ーホームレス女性殺人事件
・パンデミック下の生活保護利用と特別定額給付金
・「現金一律給付」と生活保護制度
2.誤解とマイナスイメージ
・社会扶助としての生活保護
・生活保護が増えると国の底が抜ける?
・高齢・単身利用者の急増
3.「必要な人」にどのくらい利用されているか
・生活保護が「必要な人」とは?
・ 生活保護は捕捉率が大事
4.もう生活保護は解体して出直したほうがいい
・近年の危機と第二のセーフティネット
・なぜ「最後のセーフティネット」であることにこだわるのか?
・生活保護の八つの扶助は、異なった生活ニーズに対応している
・「低所得者対策」と生活保護の関係を解きほぐす
5.これまでの改革案 ー 再構築の道筋
・生活保護改革案
・全国知事会・全国市長会の新たなセーフティネット案
・全国知事会・全国市長会提案と「わたしは、ダニエル・ブレイク」
・なぜ自治体は生活保護を押さえ込みたいのか
・提案にあたっての二つの原則
・カテゴリー別「制限扶助」の弊害
・ 本書の構成
この序章の展開を私なりに整理・概略・要約し、以下のいくつかの視点・テーマで整理してみます。

生活保護制度の現状
必要な人に利用されていない生活保護
生活保護は、社会保障の一手段である社会扶助制度。
社会保険のように社会保険料の納付(拠出)を条件とし、一定特定のリスクに対して現金やサービス給付を行うのではなく、多様な原因で生じた「今、貧困である」状態に対して、租税から給付を行なう手法。
そこで貧困状態の確認が行われ、貧困者を「選別」する「必要な人を選んで対応する」ことになるわけです。
しかし、この「必要な人」に生活保護が届いていない。
その実態を示す例として以下指摘しています。
・生活保護が必要な生活保護基準以下の低所得世帯の人々を実際に保護する保護率が、2019年で2%にも満たない低率であり、かつその「捕捉率」が15~30%程度と低率で推移している
・生活保護に割り当てられている予算額が、2019年度約2.9兆円、社会保障関係費の約8.5%という規模
・1990年代には保護者数が100万人近くに減少したのち増加に転じ、2010年代には200万人台に達し、そのうち高齢者が100万人を超えるに至っている
・またそこでは女性単身高齢者の増加が顕著である
この高齢者に関する事項は、当然、年金制度と強く関係していることが想像でき、本書における解体推進案の大きな要因の一つになっているわけです。
マスコミを含む生活保護に対する誤ったイメージの広がり
上記の構成にあるように、実は序章の立ちあがりは、コロナ禍における生活保護申請状況の変化や、例の<特別定額給付金>をめぐる当時の状況を生活保護と対比して問題提起しています。
加えて、コロナ禍とは関係なく、日常的にマスコミが発する誤ったメッセージや、いつの間にか刷り込まれ、広がっている生活保護に対する誤解についても。
例えば、日経の大林尚上級論説委員の「(略)それは、生活保護に気安く頼る人を生む副作用を生んだ」という発言、2011年3月NHKスペシャル「生活保護三兆円の衝撃」における貧困ビジネスや不正受給と関係づけての報道など。
これらは、上述した生活保護制度が持つ本来の目的・機能が、公正に、適切に果たされていない遠因となってもいるといえるでしょう。
そして、ベーシックインカムを提案するほとんどすべての論者・論述において必ず提示される、忌まわしき資力調査ミーンズテストがあります。
こうして、生活保護を申請することへの心情的な圧力・圧迫・後ろめたさなどのスティグマを、本来受給できる所得条件をもつ人々に抱かせる直接の要因となり、多重多様かつ無言の負の影響を与え、この制度が堅固にガード化するに至っているわけです。
最後のセーフティ・ネット「生活保護」と第二のセーフ・ティネット「求職者支援制度」「生活困窮者自立支援制度」のはざま
1950年の現行制度の導入以後、2000年の介護保険導入を除けば、抜本的な改革がほとんどなされることなく、いわゆる「最後のセーフティ・ネット」と位置付けられ、運用されてきた生活保護制度。
その現状が、先述した低捕捉率、冷酷なミーンズテスト、表現することが困難なスティグマ問題に集約されています。
こうした中、2008年の雇用保険の支給条件の緩和を経て、2011年「求職者支援制度」、2013年成立・2015年開始「生活困窮者自立支援制度」が第二のセーフティ・ネットとして導入され、位置付けられていることを示します。
この2つの制度の文字面を見れば、筆者の指摘を待つまでもなく、貧困者対策というよりも、低所得者に向けた就労第一として雇用につなげようという「ワーク・フェア」政策に狙いがあることは明らかです。
こうした第二のセーフティ・ネットの運用への期待が、社会保障分野の専門家からも示されていたことを今思い出しました。
もちろん、残念に思ってのことです。
ベーシックインカムではなく、ベーシック・アセットを提案する宮本太郎氏による『貧困・介護・育児の政治 ベーシックアセットの福祉国家へ』(2021/4/9刊) における主張がそれです。
少し、というか、かなり道が逸れてしまいますが、その書についての考察シリーズを参考までに以下転載しました。
◆ ベーシックアセット提案の宮本太郎氏のベーシックインカム論-1(2021/8/20)
◆ 福祉資本主義の3つの政治的対立概念を考える:宮本太郎氏『貧困・介護・育児の政治』序論から(2021/8/30)
◆ 増加・拡大する「新しい生活困難層」:宮本太郎氏『貧困・介護・育児の政治』からー2 (2021/9/2)
◆ ベーシックアセットとは?:ベーシックアセット提案の宮本太郎氏のベーシックインカム論-2(2021/9/4)
◆ 貧困政治での生活保護制度と困窮者自立支援制度の取り扱いに疑問:宮本太郎氏『貧困・介護・育児の政治』からー3(2021/9/7)
◆ 貧困政治とベーシックインカム、ベーシックアセット:ベーシックアセット提案の宮本太郎氏のベーシックインカム論-3(2021/9/8)
上記の宮本氏の著書を基にした論述は、1記事にまとめて、当サイトで掲載しています。
以下で確認頂けます。
生活保護制度の異なる生活ニーズに基づく単品扱いできない8つの扶助
岩田氏によれば、第二のセーフティ・ネットが必要とされるに至っているのは、現状の生活保護制度そのものが現状、そしてこれからの社会に適合しない社会保障・社会福祉制度になっているため。
そして、生活保護制度が、元来、
・生活扶助
・医療扶助
・介護扶助
・教育扶助
・住宅扶助
・出産扶助
・生業扶助
・葬祭扶助
という、異なる機能・目的を持つ社会扶助制度であること、に原因があるということになります。
運用主体である地方自治体の保護適用抑制の方向性と運用案
もう一つ、別の観点からの岩田氏の指摘も以下に取り上げておきましょう。
生活保護支給の捕捉率の低さを進めている要因に、実際に制度運用実務を担う自治体の方針を取り上げています。
全国知事会・全国市長会による2006年発表の「新たなセーフティネットの提案 ー「保護する制度」から「再チャレンジする人に手を差し伸べる制度」へ。
2010年の指定都市市長会の生活保護改正案ともども、<稼働層の就労支援とボーダーライン層の生活保護移行に対する防止措置>が考え方の基本にしていると。
前者の方針を理解する上で、以下の認識をも加えています。
少子高齢化・人口減少社会、家族機能の弱体化、ワーキングプアの拡大、という社会変化を大前提とし、稼働期と高齢期の貧困の原因は異なること、保護基準、最低賃金、非正規労働者の収入との均衡を図り、ワーキングプアの生活保護移行防止が必要。
こうした基本方針に基づいての運用ですから、ミーンズテストの厳格な運用や、それ以前に、門前払いに近い対応を行なう姿勢は、当然の帰結であり、それらがスティグマの連鎖を引き起こしてきたことも容易に想像できるというものです。
そして、この非人間的な姿勢・方針は、運用実務の前線にある自治体の生保財政・財源に関係していることにあると指摘します。
元来、生活保護は、国家が最低生活を保障する制度。
保護の決定及び実施が自治体の長に委ねられ、その事務は福祉事務所が担当する。
すなわち、国からの法定受託事務にあたるものが、現在、給付費の75%を国が負担している状況。
そこで、負担を必要とする自治体が、適用・運用を慎重に行い、「濫給」を抑制することになる、というわけです。
但し、実際には地方負担の25%と事務費は、国からの地方交付税交付金から充当されており、生保給付負担が、財政難に至らせるものではない、と指摘しています。
確かに交付金がない自治体や財政面で不安を持つ自治体もあるのですが。
要は、自治体財政において、生活保護関連よりも経済対策その他の政策への充当を優先・強化させたいという意識が働いている結果といえるでしょう。
いずれにしても、政治・行政が問題の根源にあることは明白です。

本書における筆者の生活保護改革基本方針
以上の確認を元に、筆者は、本書における解体・改革に関する基本的な考え方を以下のように示しています。
本書の提案は、制度利用を押さえ込むのではなく、生活保護を解体して福祉国家の制度全体の中に再配置し、貧困への生活保障力を高めることを目的に、以下を方針とする。
1)社会扶助の目的は生活の最低限保障であり、「自立助長」と一緒にしないという判断に立つ。
2)解体の基点を初めから「稼働能力」に置くことは避ける。
3)「今、貧困である」とき、使える社会扶助を、生活の基礎ニーズの違いから、分解し、そこから社会保障のいくつかと組み合わせて、再構築する。
ただ、1)については誤解を生みやすいので、筆者の説明を付け加えておきます。
「今、貧困である」状態に対して、生活の最低限度まで貨幣給付やサービス給付で底上げすることが重要であり、社会扶助の役割がそこにある。
また3)における使える社会扶助とは、先述した8種類の扶助を指していることはいうまでもありません。
いずれにしても、この基本認識・基本方針のもと、解体論が展開されていきます。

ベーシック・ペンションにおける生活保護の位置付け-1
本シリーズでの各回のテーマに関連させて、ベーシック・ペンションにおける生活保護制度の位置付け・関係について若干述べていきたいと考えています。
今回はまず、地方自治体の財政負担意識と担当者の心情的負担が解消されるベーシック・ペンションであることを申し上げておきましょう。
そして、岩田氏の主題である「今、貧困である」という前提には立たず、「いつ、貧困状態になっても」あるいは「いつどんな状態になっても最低限の生活が維持できる」という前提に立つベーシック・ペンションであることを付け加えておきたいと思います。
当然といえば当然ですが、この序章で、生活保護制度を解体すべきという筆者の認識の要因の多くが語られています。
では、その生活保護制度とは、どういうもの、コトなのか。
次回 <第Ⅰ章 生活保護という不思議な世界> を取り上げて、生活保護制度そのものを再確認することにしたいと思います。

不思議で矛盾に満ちた生活保護を考えた結果としての解体:『生活保護解体論』から考えるベーシック・ペンション-3(2022/1/14)
『生活保護解体論 セーフティネットを編みなおす』より-3|<第Ⅰ章 生活保護という不思議な世界 >から
今回は第3回。
<第Ⅰ章 生活保護という不思議な世界> を取り上げ、岩田氏が解体論を提起するに至る生活保護とはどういうものか、どういう問題認識に発しているかを確認します。
本章の構成は以下のとおりです。
第Ⅰ章 生活保護という不思議な世界
1.生活保護とはどういうものか?
・生活保護の目的と責任
・「誰」が利用できるか ー無差別平等
・必要な生活費をどう計算しているか
・資産調査(ミーンズテスト)と他の要件
・「親族扶養」はマストなのか?
・日本的特徴 ー新しい考えと古い考え
2.古い「貧困理解」と、生活保護としての不徹底
・「生活困窮者」への「全一的」保障という設計
・貧困の原因を区別する
・社会保障と社会福祉のあいだで
3.運営の二重原則
・申請保護/職権保護
・世帯単位/個人単位(世帯分離)
・ 基準表/必要即応
・非現実的な「すべて現物給付」
4.具体例で考えてみると
・A子さんの保護申請と要否の判定
・医療・介護の計上の仕方と収入充当順位
・生活保護は「差額」の支給にすぎない
・貧困の大きなファクターとしての医療費
5.いくつかの謎 ー 生活扶助の「加算」と住宅扶助基準
・生活扶助と加算
・年金・手当に連動した加算の再配置
・「特殊需要」というロジックのあいまいさ
・障害者加算の複層構造と「その場限りの需要」
・さらに不思議な住宅扶助基準
・住宅の特別な位置
6.何が社会扶助の保障機能を弱めているか
この章の冒頭で、
社会扶助は「今、貧困である」状態への、主として現金給付による社会保障制度ではシンプルなものなのだが、生活保護の制度設計は、かなり複雑。
としていることで、解体論展開の布石が打たれていると思わせられます。
では、この構成の流れを私流に整理しつつ、感じたところを加えていくことにします。
生活保護とは
生活保護法第一条
この法律は、日本国憲法第二五条に規定する理念に基づき、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。
⇒ 【生活保護法】 http://basicpension.jp/?p=672
⇒ 【日本国憲法】 http://basicpension.jp/?p=670
日本国憲法第二五条
〔生存権及び国民生活の社会的進歩向上に努める国の義務〕
第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

生活保護法制度の概要(生活保護の目的と役割)
以下、本章にある(表Ⅰー1)を参考にしました。
1.対象(「誰」が利用できるか):生活に困窮する国民(外国人は準用)
2.責任(「誰」が管理運用するか):国家責任だが、地方も一部負担し。実施は、地方自治体の長とその福祉事務所
3.目的(何のために):最低生活保障であり、一般扶助は無差別平等だが、自立助長が基本
4.保護の原則(保護適用の基本ルール):
1)申請の原則(急迫状態などでは職権保護。申請は口頭でも可)
2)基準及び程度の原則(基準と資産調査で要否判定)
3)必要即応の原則(個人や世帯に応じて)
4)世帯単位の原則(個人や世帯分離)
5.保護の種類(どのように保護するか):生活保護の8つの扶助(生活扶助・医療扶助・介護扶助・教育扶助・住宅扶助・出産扶助・生業扶助・葬祭扶助)の組み合わせ(全一的保障)
・それぞれ基準あり
・加算や特別扶助、一時扶助
・生活扶助は居宅原則・現金給付、施設保護あり
6.貧困の認定(何をもって保護基準とするか):最低生活費(世帯ごとに算定)
・収入<最低生活費の時、その差額を支給
7.要件(保護を適用する上での条件):保護の補足性(急迫保護は必要に応じて可)
1)利用しうる資産の活用:預金、自動車、不動産など=資産調査(ミーンズテスト)
2)利用しうる能力の活用:能力と実際の就職状況
3)利用しうる他法・他施策の活用
8.優先(要件確認に認められた条件):民法の扶養義務も優先:扶養照会
この整理でそれらの課題についておおまかに把握できますので、以下要点を絞って、簡略化して見ていきます。
制度解体提言に導く現行制度が抱える矛盾・問題点
先の制度概要で既に明らかにされている事項を含み、筆者が制度解体論を提起する要因となった事項を、数多く示しています。
その中から一部を抽出してみました。
古い「貧困理解」と、生活保障としての不徹底
こう筆者が評価している制度ですが、その基準策定に関与した人の後悔として「全ての国民は、その生活が困窮している時に」とすべきだったと言っていたことを紹介しています。
確かに「生活困窮者」と特定・断定するのとは大きな違いであり、当初からそうしていれば異なった、すこしは望ましい運用が可能になったかもしれません。
労働者等がそうした貧困状態になったときというリスクへの対応を社会保障化するわけですから。
また、
生活扶助は、日々の生活を最低基準まで引き上げる役割を果たす一方、医療・住宅・教育・生業・葬祭などの他の扶助は、「ある目的のための支出が生じることによって、生活困窮に陥ることを防ぐ」ための扶助であり、今「生活に困窮している者」だけでなく、それよりも収入は上だけれども「生活困窮のおそれのある者」も含んで保護が行われる。
というのが、前出の関係者の考えとしています。
この考えでいくと、「全一的保障」という運用に無理があるといえます。
自立助長に込められた「惰民防止」観念
もう一つ問題として加えられているのが「自立助長」という考え方が反映されていること。
この文言を法に組み込んだ当事者によれば、そこには惰民の発生を防ぐといった次元の低い意図はなく、「個々人を社会生活に適応させるようにしていく」社会福祉的側面を強調するため、というのです。
どうも眉唾ものですね。
筆者は、「自立助長」という部分がなければ、シンプルな社会扶助だといっています。
私もそう思います。
なお、この発言、この問題と絡めて、ここで筆者は、社会保障と社会福祉の違い・定義・線引について述べており、私も関心があるのですが、別の機会にとしておきたいと思います。

運営・運用の二重原則と着目すべき課題
上記の構成で示された
・申請保護/職権保護
・世帯単位/個人単位(世帯分離)
・ 基準表/必要即応
・非現実的な「すべて現物給付」
と、生活保護の概要を突き合わせると二重原則が並立・併用されていることがわかります。
筆者はこれを、概ね反対のやり方を併記しているとしています。
これが、やはり生活保護制度をややこしく、利用希望者を困惑させ、解体を提起するまでの問題を生起させ、解決できないまま放置されてきている要因というわけです。
最後の非現実的な「すべて現物給付」については、実際は現金給付が行われており、この項目は必要ないはずですが、これを公約に掲げる政党があるためと加えたものです。
そこからイメージしたのは、ベーシックインカムに反対し、現物給付サービスによるベーシック・サービスの導入を提案している立民や公明党です。
論外なので、無視すべきと考えています。
現金給付は、必須です。
この後、一人の受給者の具体的な事例をモデルとして上げて、生活保護を受ける内容や課題についてページを費やして論じていますが、省略します。
ただその中で、最も真実を表し、問題を集約していると考える表現を引用しておきます。
「生活保護は「差額」の支給にすぎない」
という部分です。
生保の諸悪の根源というと大げさですが、生活保護受給者が、自立助長を掲げる制度に反して、いわゆる「貧困の罠」に陥る原因が、そこに表れているのです。
「いくつかの謎」として示された、さまざまな「加算」等の不思議
次の<いくつかの謎ー生活扶助の「加算」と住宅扶助基準>では、
・生活扶助の加算
・年金・手当に連動した加算
・障害者加算
・より不思議な住宅扶助
などについて説明しています。
加算規定が加えられるのは、元々の給付基準が低いためや、漏れや不足・不十分な要素・実態が確認されたための小手先の改善策の補足を行なうため。
これが制度の運用を一層複雑に、難しくする元凶の一つです。
実際に受給している方や、受給を考えている人々には重要な事項ですが、ここでは省略させて頂きます。

社会扶助の保障機能を弱めている根本要因
かなり細部に亘って、現行の1950年生活保護法に規定された制度運営・運用に関する問題や矛盾が、立案当事者の意図・思いをも加えて説明された本章でした。
そのほとんどを省略し、そこから私が強く感じた点だけを取り上げた感が強い本稿になってしまいましたが、最後の、<何が社会扶助の保障機能を弱めているか>としてまとめた一文を最後に紹介しておきたいと思います。
(※表現方法を一部代えています。)
生活保護制度「無差別平等」な一般扶助として最低限度の生活保障を国の責任として約束する、という意味で、経済の貧しかった日本において「輝くような」存在として誕生した。
しかし、法の目的も運営の原理・原則も、福祉国家の基礎となった貧困理解に基づく最低生活保障を軸に展開されているというより、(略)二重規定がなされ、さらに多層的な基準設定をすることで、生活保障給付を福祉的フィールドの中での「裁量」的判断に持ち込む余地をかなり大きくしてきた。
このため、肝心の最低生活保障は「たんなる経済給付」とか「機械的な一律給付」と解説され、その意義が歪められてきた。
(中略)
分野ごとに成立している社会保険や手当を直接補完する社会扶助ではなく、それらとは相当な距離をもった「最後のセーフティネット」の位置に扶助を閉じ込めてしまい、貧困問題への社会保障の対応力を弱体化させてきた。
とりわけ「バブル」崩壊以降のポスト工業社会の展開、それに合わせたフレキシブルな労働体制、家族の変容の中で登場している現代の貧困と闘うには、あまりにも古く、あまりに不十分と考える。
「今、貧困である」状態は生活保護の外に広がり、たとえば食料配布などに並ぶ人々にとって、生活保護はそこから抜け出す手段として考えられていないし、またそう考えてはいけないように仕向けられているのかもしれない。

ベーシック・ペンションにおける生活保護の位置付け-2
私自身は、筆者のその気持ちに共感を持ちますが、加えて、経済成長を遂げてなお、1950年生活保護法の運用レベルがより厳しくなってきている状況を考える時、情けなく感じてしまいます。
国や政治・行政が担ってきた役割・責任の情けないばかりの不履行であり、為政者・官僚の意識の低さに対して感じる情けなさです。
もう一つその表現から感じたのは、<たんなる経済給付>という表現からのもの。
それは、今ベーシックインカムの導入を主張する人の多くが、「経済対策」「経済復興」のためのBIとしていることと相通じていると感じたのです。
そこには、情けなさではなく、悲しさを感じています。
さて、ベーシック・ペンションではそもそも、生活保護制度の厳しく、曖昧な基準の適用・運用を受ける必要がないようにすべく、生活保護制度を解体ではなく、廃止することを目的としています。
岩田氏が解体・再編するとした関連社会保障諸規定は、社会保障制度の総合的な体系において見直しを行い、新たに作りかえるという考え方をとるものです。
そこでの基本的な考え方は、低所得対策や貧困対策にとどまるものではありません。
憲法第二五条の前提・前段にある、広い範囲・意味での、基本的人権を基本としているのです。
そして、先述した内容にあったように、生活保護の外にも社会保障のネットワークを拡大・展開し、セーフティネットの適用の概念と現実枠を広げ、生活における安心と安全を確保・提供する社会経済システムを構築することを目指します。
(参考)
⇒ なぜ国がベーシック・ペンションを支給するのか?憲法の基本的人権を保障・実現するため:ベーシック・ペンション10のなぜ?-1(2021/1/20)
⇒ 憲法第三章基本的人権と自由・平等に基づき支給されるベーシック・ペンション(2021/2/21)
⇒ 日本国民すべてに、唯一の、真の平等を実現・保障するベーシック・ペンション (2021/3/5)
次回第4回は、<第Ⅱ章 国民皆保険・皆年金体制のなかの「低所得者対策」> を取り上げ、解体論の軸の一つとなる「低所得者対策」をキーワードとした問題提起を確認します。


社会保険と生活保護の関係性からの解体視点:『生活保護解体論』から考えるベーシック・ペンション-4(2022/1/16)
『生活保護解体論 セーフティネットを編みなおす』より-4|<第Ⅱ章 国民皆保険・皆年金体制のなかの「低所得者対策」>から
今回は第4回。
<第Ⅱ章 国民皆保険・皆年金体制のなかの「低所得者対策」> を取り上げ、解体論の軸の一つとなる「低所得者対策」をキーワードとした問題提起を社会保険制度と結びつけて確認します。
本章の構成は以下のとおりです。
第Ⅱ章 国民皆保険・皆年金体制のなかの「低所得者対策」
1.社会保険と社会扶助
・ベヴァリッジ報告と社会保険中心主義
・奇跡か、冒険か
2.国民皆保険と「低所得者対策」
・生活保護利用者の国保「適用除外」
・国民健康保険の基本問題 ー三重の均質性の欠落
・低所得層への保険料の軽減・減免策と高齢者医療無料化
・国保加入世帯の半数以上が保険料軽減対象
・高額療養費「特例該当」と医療扶助単給
3.国民皆保険の保険料免除・軽減制度と福祉年金
・「基礎年金」は「最低生活費」を意味していない
・国民年金の低所得者対策 ー福祉年金としてのスタート
・二つの福祉年金
・国民年金の保険料免除・軽減策
・「皆保険・皆年金」内部の低所得者対策の意味
4.「皆保険・皆年金」以外の低所得者対策
・生活保護への移行を防止する「境界層措置」
・「ボーダーライン層」への貸付制度と第二のセーフティネット
5. 低所得基準と生活保護基準
・多様な「低所得者」の定義
・「基礎控除」と「非課税限度額」 ー何が違うのか?
・ 基礎控除、「非課税限度額」、生活保護基準はどのような関係にあるのか
・低所得基準は保護基準より上でなければおかしい
今回も、この構成を私なりに整理・再構成し、以下のように考えてみました。

社会保険と社会扶助、生活保護との関係
「国民皆保険・皆年金」体制と生活保護の関係、また「国民皆保険・皆年金」内部で拡張していった低所得者対策に焦点をあて、もう一つの社会扶助としての意味を明らかにしていく。
こう語り始めているこの章は、社会保険のなかの国民健康保険と国民年金について、生活保護制度と関係させて問題点を浮かび上がらせることを目的としている、と私なりに解釈・理解しつつ、考察を進めていきます。
一般的な企業などに勤務するひとが加入する健康保険や厚生年金保険は、その所得により、生活保護を必要としないため、必然的に、国民健康保険・国民年金加入者が、そのなかの低所得者の一部が、生活保護と関係することになるわけです。
すなわち、社会保険加入者ではあるが、生活保護を利用する、すなわち社会扶助を受けるという組み合わせが課題の一つとなります。
そして、本来生活保護という社会扶助を受けることができるはずの人の一部、低所得者が、必要とするレベルで社会保険を利用できない状態にあることも課題とする章です。
国民皆保険、国民健康保険(国保)と生活保護との関係
生活保護利用者は国民健康保険は「適用除外」
ご存知のように、生活保護利用者は、国民健康保険の適用を受けません。
というか、医療扶助により、受診料等の負担の必要がないのです。
受給する扶助の金額が、保険料負担ができない低額であるということですが、実際に生活保護に要する公費の総額の半分以上が、8種類の生保の扶助のうちの一つである医療扶助であることを考えると、どこかすっきりしません。
生活扶助よりも大きい金額を占めているのです。
生活保護を受けていない、受ける権利がある困窮低額所得者が受診料などを負担していることを考えている矛盾があります。
国民皆保険だが三重の均質性が欠落している問題
国民皆保険をうたいながら、生活扶助を受ける生活保護利用者が、国民健康保険の適用から除外され、だけれども保険料負担がなく、医療費無料で診療・処方を受けることができるという不思議。
しかもその国保には、保険の運用主体が自治体であることで、以下の3つの「均質性の欠落」問題があるとされます。
1)保険者である市町村および都道府県の規模の違い
2)加入者の世帯職業が多様
3)加入者の世帯所得がバラバラ
その結果、自治体ごとに保険料が異なっているのです。
公平性・平等性を欠くわけで、国民皆保険の欠点・弱点が、生活保護者適用除外問題と共に存在します。
国民健康保険の欠点補完策
先述したように生保利用者のメリットに比し相対的・絶対的に不利・不公平な医療費負担を強いられる国保加入者に対して(職域保険制度も同様に)、次のような救済策が導入されています。
1)保険給付(医療サービス)への国庫負担の導入
2)給付の際の自己負担額の軽減策、高額療養費制度導入
3)低所得層への保険料軽減・減免
しかし、その結果、国保加入世帯の半数以上が保険料軽減対象という現象が起きています。
国民健康保険加入者の変遷
その現実を引き起こしている最大の要因は、国保加入者の職業等の構成の変化にあります。
当初加入対象者が、農林水産業や都市自営業者層、零細事業所労働者が主だったものが、無職の年金生活者や非正規労働者が増え、無職(2018年度45.4%)、被用者(同32.3%)、自営業者(同15.8%)となっています。
これは、所得がないか低所得である人が増えていることを示し、自ずと保険料の軽減・減免を受ける人の増加に繋がります。
この実態が、やはり生活保護制度の在り方を再考する必要があることを突きつけるのではないでしょうか。
超高齢化社会がもたらす低所得高齢者の増加と健康保険・介護保険事業の負担増
前回、生活保護受給者において高齢者の構成比が高くなっていることに触れました。
これは当然、低所得高齢者の増加が波及した結果といえます。
当然そこでは保険料も医療費の負担も必要ない生保受給者と、双方を必要とする高齢者との違いも課題になります。
現状は、後期高齢者医療制度や介護保険制度で、高齢者の社会保障システムは増強・カバーされてきている感がありますが、保険料の負担と給付サービス利用時の個人負担が増え続けるリスクを毎年経験しています。
本書では、なぜか高額療養費の負担限度額についての記述も多いのですが、これは国保だけでなく通常の職域の健康保険でも同様適用されているので、ことさら触れる必要はないと考えます。
以上、制度の成立と変化の背景やプロセスなどを含め、詳述されている内容をかなり省略し、かつ思い切り自分流に概括してきました。

国民皆年金、国民年金と生活保護との関係
「最低生活費」を意味しない「基礎年金」という現実
皆保険と生保との関係に続いて、皆年金および国民年金と生保との関係についてです。
国民年金は、厚生年金保険制度と共に構成する、2階建ての年金制度のうちの1階部分の老齢基礎年金に当たるものです。
現状、国民年金加入者が所定の加入条件を満たして満額(上限額)を受け取る場合、その老齢基礎年金の額は、年額78万100円(2019年)・月額6万5008円です。
(途中期間、厚生年金に加入していれば、老齢厚生年金が、老齢基礎年金に加えられますが)
この額は果たして、最低生活費として適切な金額でしょうか?
否、ですね。
国民年金の福祉年金化による低所得者対策と生活保護
しかし、実際には、厚生年金保険に加入している人の配偶者は、保険料を払う必要がない国民年金加入者です。
そこで納付されているとされる国民年金保険料は、厚生年金保険料から補充されており、このことが、保険料納付基準額以下の所得に止めようとする非正規雇用者の行動を引き起こし、その適用を受けない既婚女性正規雇用者との差別とされる問題が滞ったままです。
一方、生活保護利用者には、無年金者と、年金受給者だが基準額を下回る低額受給の人がいます。
これも、働いて一定額以上の所得を得ることを抑制し、生活保護にとどまることをあたかも奨励するかのような「貧困の罠」問題を起こしています。
先述したように、基礎年金と生活保護の扶助の金額との問題は、最低限度の生活を維持する意味・目的での「生活扶助」の額と比較することに意義・意味があります。
この章では、実際にそこまでの作業に至っていないため、以上で省略しても支障ないとしました。

皆保険・皆年金以外の低所得者対策と生活保護基準・低所得基準
生活保護への移行を防止する「境界層措置」という意図的悪法
「低所得者対策」は、「皆保険・皆年金」制度に限定されない。
生活保護との関係で注目すべきは、介護保険や障害者サービスなどの利用時に課せられる費用徴収や料金における低所得者対策。
この対策は「生活保護境界層」という独特のカテゴリーを生み出し、生活保護ギリギリの要保護者を各制度の低所得者対策の中に吸収し、生活保護の枠外へ持っていく役割を果たしている。
この主張、問題提起はインパクトがあります。
ある意味で、本書の解体論の起点とする認識の一つといえるでしょう。
以下、その前提に基づき、簡単に整理してみました。
多様な低所得者に対する各種控除や特例措置と生活保護との関係
ここでは、基礎控除、非課税限度額、生活保護基準の違い、特例措置などについて紙面を費やしていますが、省略させて頂きます。
基本的には、低額所得者の社会保険運用にどのように配慮するかという観点からのものと思います。
とすると、前提として、低所得の基準の問題があり、その比較対象としての生活保護基準との違い、あるいは制度間の整合性を課題としているわけです。
その結果は、今回のテーマとした、国民健康保険料・国民年金保険料算定と所得税・住民税の基準・規定に反映されるのですが、その作業と結果が、生活保護の解体にどう結びつくのか、結びつけるのか。
巡り巡って、その検討自体が、生活保護の解体を方向付けると理解すればよいのかな、と不承不承感じています。
保護基準より上であるべき低所得基準
こんな表現でのまとめが、本章の最後の項になっているのですが、社会保険と社会扶助を包摂して、生活保護解体後の社会保障制度改革にどのように結びつけるのか。
明確な対策を示すには至らないまま終えています。
以下の自信のない、繰り返される問題提起レベルの表現を一応添えておきましょう。
もしも生活扶助基準以下の人がみな生活保護を利用できていたら、保険料の軽減などの低所得者対策の対象とはならないはずです。
ところが、保護基準以下でも生活保護利用をしていない人びとや世帯がおそらくは多数存在しているため、それらの人びとも含めて低所得者対策の対象になっているのが現実です。
結論先送りの生活保護および低所得者のための解体論としての皆保険・皆年金対策
本書の構成から、当然この第Ⅲ章は、問題提起の章であったため、解体論と一体化した対策は次章以降の課題となっています。
たとえそうであっても、この章での考察は、紙数を費やしている割には、いやむしろ紙数を費やしたがゆえに、明確な主張・論点を絞りきれていないような気がしています。
ということで、次章以降に期待することにして、最後は、ベーシック・ペンションで提案している社会保険改革との一体化の概要に、以下で触れておくことにします。

ベーシック・ペンションにおける生活保護の位置付け-3
ベーシック・ペンションと公的年金制度改革
ベーシック・ペンションは「生活基礎年金」を意味しています。
保険料負担がゼロ、無拠出で、無条件に全国民に支給される「年金」です。
従い、国民年金制度は、自動的に廃止されます。
そのため厚生年金保険は、国民年金3号保険者分の保険料を拠出する必要がなくなり、保険料を減額することが可能になるため、その一部は健康保険料・介護保険料に回し、健保・介護保険料の増額を抑制します。
また、高齢者が受給する年金を現役世代が負担する賦課方式を廃止し、自己のための積立方式に転換するとしています。
⇒ ベーシック・ペンションによる年金制度改革:国民年金廃止と厚生年金保険の賦課方式から積立方式への改正 (2021/2/8)
⇒ ベーシック・ペンションによる貧困問題改善と生活保護制度廃止(2021/2/6)
ベーシックペンションと公的医療保険(健康保険)・介護保険改革
ベーシック・ペンション(BP)自体は、専用デジタル通貨ですが、一応現金給付にあたる給付です。
従い、社会保険に基づく現物(サービス)給付の内容については、BP制度と直接つながってはいません。
関係するのは、間接的に、前項の年金制度改革に伴って変わる保険料負担の軽減により、その一部を健康保険および介護保険に転用・充当することを提案していることです。
そこでの提案については、以下の過去投稿記事で確認頂ければと思います。
⇒ ベーシック・ペンション導入で、2健保、後期高齢者医療、介護の4保険を統合して「健康介護保険制度」に (2021/2/11)
次回第5回は、< 第Ⅲ章 解体・編み直しの戦略と指針 ー 「原理問題」を整理する > を取り上げ、具体的な解体論提起の前提となる筆者の方針・考え方について確認します。

生活保護解体に先立つ社会保険・社会扶助と選別・普遍主義原理問題とは:『生活保護解体論』から考えるベーシック・ペンション-5(2022/1/18)
『生活保護解体論 セーフティネットを編みなおす』より-5|< 第Ⅲ章 解体・編み直しの戦略と指針 ー「原理問題」を整理する>から
<『生活保護解体論』から考えるベーシック・ペンション>シリーズ展開修正計画
当初計画していた16回シリーズを、今回以下のように回数を減らして、コンパクトに検討・考察することにしました。
第1回:本シリーズ方針
第2回:<序章 解体でみえる、最低生活保障の新たなかたち>より
第3回:<第Ⅰ章 生活保護という不思議な世界>より
第4回:<第Ⅱ章 国民皆保険・皆年金体制のなかの「低所得者対策」>より
第5回:<第Ⅲ章 解体・編み直しの戦略と指針 ー 「原理問題」を整理する>より
第6回:<第Ⅳ章 提案 どう解体し、どう溶け込ませるか>より-1:医療制度・介護制度、住宅手当課題
第7回:<第Ⅳ章 提案 どう解体し、どう溶け込ませるか>より-2:教育制度・子ども制度、高齢者・障害者制度課題
第8回:<第Ⅳ章 提案 どう解体し、どう溶け込ませるか>より-3:失業及び就労関連課題、最低生活保障課題
第9回:<終章 生活の「最低限」をどう決める>より-1 :最低限生活課題
第10回:<終章 生活の「最低限」をどう決める>より-2:ベーシック・インカム
第11回:『生活保護制度解体論』総括評価
今回は第5回。
< 第Ⅲ章 解体・編み直しの戦略と指針 ー 「原理問題」を整理する > を取り上げ、具体的な解体論提起の前提となる筆者の方針・考え方について確認します。
当初2回に分ける予定でしたが、1回にまとめることにしました。
第Ⅲ章 解体・編み直しの戦略と指針 ー 「原理問題」を整理する
1.基礎的生活ニーズに着目して八つの扶助をグループ化する
・義務教育なのに生ずる教育費用
・社会生活の基盤としての住宅扶助と、情報インフラの重要性
・医療・介護はなぜ現物給付か
・「妊娠・分娩・産褥・新生児管理」と出産扶助
・出産期の女性を支える包括的な施策が必要
・「死後の保障」としての葬祭扶助
・増加する葬祭扶助
・自立助長のための生業扶助
・一歩手前での対応が可能な制度設計に
・日本の既存の制度体系の中に溶け込ませる
2.原理問題(1)保険と扶助の区別をどう考えるか
・社会保険と社会扶助の教科書的整理
・公助・共助・自助
・保険と扶助は共に「互恵的」なもの
・社会保険は「対価的」というより、はじめから「社会的賃金」
・保険料を税的に使う ー社会保険における支援金
・社会保険は「共助」で税による生活保障は「公助」なのか?
3.原理問題(2)普遍と選別の多様性と「選別的普遍主義」
・目標はあくまでも問題解決
・普遍主義の枠組みの中に選別政策を配置する
・「選別的普遍主義」というありかた
・国民皆保険・皆年金の低所得者対策と選別的普遍主義
4.時代の変化に対応した制度に ーその他の課題
・「多様な働き方」に中立的な社会保険の改革を
・対象は国民限定か ー国際的な相互関係のなかで
「原理問題」として2つの主命題を挙げていますが、私は、「原理」というよりも「理念」という表現での取り組みが相応しいと感じています。
解体・再編の前提としての8種類の扶助グループと特徴
初めに、これまでの記事でみたように、生活保護は、8種類の扶助で構成されています。
以下にその種類ごとの目的と特徴を、本書内の資料を加筆修正して列記しました。
少し読みづらいかもしれませんが、要点は押さえられていると思います。
なので、詳しい説明部分は省略します。
1)生活扶助:日常生活の基礎的ニーズ ⇒ 使途自由、市場調達、貨幣給付
2)教育扶助:<特定目的>義務教育に必要な教材など ※①基準費(学用品など)②教材購入費 ③学校給食費 ④通学交通費 ⑤学習支援費(主に課外活動・クラブ活動費) ⇒ 主に学校を通した購入、貨幣給付(基準額および実費)
3)住宅給付:<特定目的> 家賃(使途拘束的)、修繕費 ⇒ 民間住宅市場、貨幣給付(基準額あり)、住民票などの基盤になりうる
4)医療扶助:<特定目的>医療保健サービス ⇒ 現物支給、医療の社会市場、標準サービス
5)介護扶助:<特定目的>介護サービス ⇒ 現物支給、介護の社会市場、標準サービス
6)出産扶助:<特定目的(一時的)> 分娩費 ⇒ 貨幣給付(基準額あり)、病院または助産所
※本来は「妊婦健診から分娩・産後ケア・新生児管理」まで必要
7)葬祭扶助:<特定目的(一時的)>葬儀・埋葬にかかる費用 ⇒ 貨幣給付(基準額あり)
8)生業扶助:<特定目的> ①生業費 ②技能習得費(2年以内)③高校等就学費 ④就職支度金 ⇒ 貨幣給付(基準額あり、就労支援と関連
以上のように、生活保護の中心である、日常の基礎的生活ニーズを充足するモノやサービスの購入・消費に充てる「生活扶助」以外の扶助は、特定の目的に充てるための扶助です。
そのうち子どもの生活費は生活扶助に含まれますが、無償であるべき義務教育で必要とされる先述の諸費用は、「教育扶助」で支給されます。
特定の目的に対応する扶助のうち、もっとも運用が難しいのが暮らしていく上で不可欠な住まいに必要な諸費用の「住宅扶助」でしょう。
これは地域間で賃貸物件等の費用が大きく異なるためです。
医療・介護、出産、葬祭各扶助については、社会保険等により該当する生活局面における種々の補助・支援制度があり、考察する上でさほど難しくはないと思います。
しかし「生業扶助」が、「働かざるもの食うべからず」というワークフェアを原理原則とするわが国の社会保障制度・福祉制度が内包する問題をはらんでいることが解体論においての重要な課題になると考えています。
なお、この8つの扶助ごとに、次章<第Ⅳ章 提案 どう解体し、どう溶け込ませるか>で解体論が展開されることになります。
以上の課題を認識した上で、制度解体・再編作業を進めるに当たって、それらに通底する2つの原理問題についての筆者の考えを確認しましょう。

社会保険と社会扶助をめぐる課題と公助・共助・自助をめぐる議論
<原理問題(1)保険と扶助の区別をどう考えるか>というテーマでの本節です。
社会保障制度における社会保険と社会扶助の体系上
まず、社会保険と社会扶助(教科書的整理による)違いとして、<基本原理><給付条件><カバー範囲(人)><財源>の4点で、以下のように整理しています。
1)社会保険:保険技術に基づく共通リスクの分散による貧困の予防 ⇒ 拠出歴に基づく受給権(対価性) ⇒ 普遍的 ⇒ 保険料(事業主負担あり)+税
2)社会扶助:所得再分配による貧困の事後的救済 ⇒ 必要テストとミーンズテスト ⇒ 選別的、スティグマの危険 ⇒ 税
この中に、後述する「普遍的」「選別的」という原理的な課題が含まれています。
自助、共助、公助をめぐる議論
そして、一般的に例えられる、社会保険の「共助」性、社会扶助の「公助」性が財源面から導き出されることになります。
この課題について、著者は、「保険と扶助は共に互恵的なもの」「社会保険は対価的というより、はじめから社会的賃金」としています。
これは、既に社会保険運営に保険料以外の公費(税)も補助金・支援金として投入されていることも理由の一つにされているわけです。
これに加えて、社会保険料を自ら負担し、医療・介護保険利用時に自己負担を支払っている部分は、まさに「自助」 が最前提として仕組みの中に組み入れられており、政治・行政の場におけるもっともらしい理由付け論の基盤が形成されていることになります。
私は、この3助論は、元来フェイク原理と考えています。
「公助」の財源となる税は、もともと国民や法人などが負担・拠出するお金であり、国や自治体が用意建てしたものではありません。
「自助」もしくは再分配による「共助」の性質を持つものです。
こうした考えに類する説として、以下を例示していました。
保険も税も、一方的な利他、他者の利益のために資源を移転することとは異なり、両者の互恵的な関係は「社会の全構成員が社会の全構成員を支えるシステム」であり、そのために人びとは能力に応じて費用を負担して共同の財源をつくり、このプールされた共同財源から、発生したリスクやニーズに応じて給付を受け取る。
従い、国民という「構成員を離れて、国が一方的に給付を与えるという考え方」(公費があたかも国民の負担ではないかのような考え方)は、「国家主義的な権威と意思が貧困者に対して示す救恤(きゅうじゅつ)の思想」にほかならない。
私の基本的な考え方は、国民から預かっている諸税の配分方法を、立法機関が代理して議論・決定し、行政機関が行使する。
社会保険も社会扶助も、その行使権限を、国民が選挙で選んだ国会議員と国会、そこから形成される内閣に委嘱し、内閣の指揮のもと、所管官庁が運営管理する。
一部の事業・業務は、地方自治体に委ねられることを含みます。
国と国民個々人と総体との一種の社会契約に基づくものです。
社会扶助・社会保険をめぐる理念・原理検討・抗争にさしたる意味はない
この節では、筆者は種々の専門家の考えや他国の制度を用い、比較検討していますが、そのなかから絶対的なものを見出すことにさほど意味があることとは思えません。
絶対的なものはありえないからでもあります。
望ましいかたちは、筆者岩田氏が考える具体的な生活保護解体論に基づく諸提案が、結果的にどういう内容で、どういう理念・方針に基づいて形成・構成されているかを明確に確認できることです。
それらは、個々に解体され、再編された個別制度とそのずべてを包括した時に、明らかになるであろう、社会保障体系総体における評価を待つことになります。
普遍主義、選別主義、選別的普遍主義
次は、<原理問題(2)普遍と選別の多様性と「選別的普遍主義」>というテーマでの<節>です。
表現は好みませんが、生活保護制度は、選別主義に基づく社会保障・社会福祉制度です。
最低生活を送るための扶助を保護的に給付するために、無所得を含む一定の基準を下回る所得のみを得る人で、他に設定された基準・規定を満たす人(世帯)のみに設けた制度。
しかし、こうした社会保障・社会福祉制度を当然あるべき制度とする普遍性は国と国民の同意に拠る。
こうなれば、運用上は選別主義ですが、理念上は、普遍主義に拠るといえます。
このような考え方と同じとしてよいでしょうか。
この節の一つの項に、「普遍主義の枠組みの中に選別政策を配置する」とあり、「選別的普遍主義」というありかた、という表現があります。
すなわち、ここでも筆者は何人かの専門家の考え方や他国の制度を引き合いにだして、原理ならぬ「政策手法の違いにすぎない」ことと断り書きを入れたうえで、比較論を展開しています。
それも、先の保険と扶助をめぐる検討と同様に、さほど意味があることとは思えません。
なので、そうした諸論をここで取り上げ、紹介することも省略します。
ただ、この項において、 好意的に受け止めることができる断言がありましたので、以下に引用します。
生活保護を解体した各パーツも、できるだけ普遍主義的な制度の枠組みの中に、低所得者対策として組み込んでみることを第一に考えてみたい。
そうすると、戦後の日本的文脈=皆保険・皆年金体制を全否定せず、それに沿ったかたちでの現実的改革が可能かもしれない。
後の方の文章は不要な気がしますが、解体により個別制度化が必要なものが、果たしてはっきりと普遍主義的枠組みに収めることができるかどうか、注目したいと思います。
「時代の変化に対応した制度に」とすること自体の意味・意義
それを受けて、この節の最後の項は、「時代の変化に対応した制度に」としています。
そしてその手始めに<「多様な働き方」に中立的な社会保険の改革を>として、以下の残る課題を提示しています。
1)生活の「最低限」=貧困基準を何に依拠して決めるかということと、低所得者対策との整合性問題
2)解体した生活保護のいくつかの断片とつなぎ合わせる社会保険をどのように改革するかという問題
後者は、女性を主に視野に入れた、非正規雇用者の保険加入や所得控除問題など、働くことを奨励しつつ、正規雇用者との差別主義的社会保険制度の温存などを想定させます。
これを「多様な働き方」に対応していないと穏便な表現に収め、政府の怠慢批判をにじませているわけです。
しかし、それをもって社会保障改革を「中立的」にとするのは、意味不明、理念曖昧、志の低下でしょう。
「中立」および「中立的」とは何か、どこにどんな基準があるのか、置くのか・・・。
褒めたり、落としたりですが、結果が良ければすべて良し、の精神で、次章解体論提案章に期待したいと思います。
なお、最後に、日本に生活する外国人の生活保護について、国際的な相互関係から考えるべき、滑り込ませていることを、ここで書き添えておくことにします。
これは、ベーシック・ペンションでも同じ性質の課題でもあります。

ベーシック・ペンションにおける生活保護の位置付け-5
社会扶助でも、所得保障でも、社会手当でもなく、無拠出・平等の権利としてのすべての国民に対する無条件給付、生涯生活基礎年金ベーシック・ペンション
生活保護解体ではなく、社会保障制度全体の改革の軸に据え、関連するすべての制度・法律をほぼ全面的に見直すことを課題とし、その一つである生活保護制度は廃止するベーシック・ペンション。
財源論を排除し、独自の理念・方針のもとにまったく新たな専用デジタル通貨で発行・給付するそれは、当然社会保険でも、社会扶助でも、所得保障や社会手当という性質のものでもありません。
保険料負担も税負担も不要の無拠出の、すべての国民に平等に給付される、生涯年金です。
ベーシック・ペンションと自助・共助・公助、そしていうならば「国助」
そのことからわかるように、生活保護をめぐる社会保険・税議論は不要で、自助・共助・公助の無益な議論も不要です。
そこでの給付は、あえていうならば、国の貨幣発行権に基づく「国助」としての年金給付です。
ベーシック・ペンションと普遍主義、選別主義
そして当然、ベーシック・ペンションが、単に最低生活保障という目的にとどまらず、人が生き・生活する上での基礎となる費用を、差別なくすべての人が平等に受け取ることが基本的人権、権利であることを普遍とする考えとその合意に基づくものであることを、今回の最後に確認しておきたいと思います。

次回は、いよいよ具体的な解体提案になる <第Ⅳ章 提案 どう解体し、どう溶け込ませるか>に入ります。
何回かに分けて確認しますが、初回は、<1.医療・介護サービスニーズの「標準」保障>と<2.住宅手当の新設>を取り上げます。
医療扶助・介護扶助、住宅扶助解体による国民健康保険・介護保険改革、住宅手当創設:『生活保護解体論』から考えるベーシック・ペンション-6(2022/1/20)
『生活保護解体論 セーフティネットを編みなおす』より-6| <第Ⅳ章 提案 どう解体し、どう溶け込ませるか>から-1
生活保護解体論提案の前提
いよいよこの章では、ニーズ別の生活保護の解体と、他制度の融合、そして再生の提案に入るわけです。
しかし、その前提として、こう示しています。
(そのために)必要な行政組織や財政問題は、別途議論が必要なので、一部を除いて言及しない。
但し、財政は基本的に現在生活保護や低所得者対策に税が投入されており、まったく新たに用意するものではない。
また、基本的に審査と給付を公正に行なう公的行政機関を置けばよく、他の福祉や就労援助が必要な場合は、その専門機関が行なうという考えをとる。
すなわち、制度の枠組みの解体・再編提案のみを行うことを基本とし、制度運用管理のための行政組織や財政問題については、(一部を除き)端から考慮はしない、というものです。
しかも、その個別のニーズ課題ごとに必要な機関を設置・機能させるとしており、トータルでの社会保障行政の肥大化やワンストップ・サービス機能不足が懸念されます。
のっけから残念なことが示されており、せっかくの本書の大きな課題と考えます。
もう一つの前提は、「自立助長」という現制度に反映されている方針は、一応排除していること。
社会扶助は、あくまで生活最低限を下回るような状況を放置しないために仕掛けられた所得保障制度で、貧困のある状態を許容せず、貧困をなくすことに狙いを定め、それが発揮しやすい制度への脱皮を実現する、ということからです。
これには同意します。
さて気合いを入れて?、具体論に進みましょう。
【1.医療・介護サービスニーズの「標準」保障】から:医療扶助・介護扶助解体と編み直し案
まず初めは、【医療扶助】と【介護扶助】をどうするかが課題です。
この節の構成は以下のようになっています。
【医療・介護サービスニーズの「標準」保障】
・生活保護費のほぼ半分は医療扶助
・医療や介護サービスはなぜ「標準化」されるのか
・二つの編みなおし案
・医療扶助と国保合体への反対論
・「無料低額診療制度」「行旅病人死亡人法」
・医療扶助と介護扶助の編みなおし 二つのイメージ
生活保護事業費総額に占める各扶助の割合
2019年は、医療扶助50.2%、介護扶助2.5%、住宅扶助16.9%、生活扶助29.9%、その他0.8%。
生活扶助が最も多くを占めると想像するのが自然ですが、医療扶助が突出して多いのです。
その主な理由として、以下が上げられます。
1)生活保護世帯において稼働世帯よりも非稼働世帯、すなわち、生活保護給付以外に収入がない世帯が圧倒的に多く、2000年以降85%前後を占め、かつその中で単身高齢者世帯が増加し、高齢化に伴う医療ニーズが増えている。
2)医療ニーズは、無料化により、本人はもちろん、利益に直結する診療・医薬品処方サービス側の抑制が効きづらく、それぞれ増加に結びつきやすい。
この2)の部分の表現は、私独自の解釈によるものです。
この医療サービス無料のメリットからか、ベーシックインカムやベーシック・ペンションで生活保護の廃止を組み入れた提案をすると、強烈・猛烈な反対意見が飛んでくるのが常です。
医療扶助と介護扶助の編みなおし 二つのイメージ
この実態・実情を踏まえて、岩田氏は、医療扶助・介護扶助の解体・再編方法として、以下の2つの選択肢を提示します。
(選択肢ー1):(普遍主義の)国民健康保険・介護保険の枠組みの中に位置付ける。
(選択肢ー2):(医療も介護も、保険制度を基本とし)保険料と自己負担をまかなうための社会扶助制度を国民健康保険および介護保険の一部に設定する。
※2-2として:現在の医療保障のなかの公費医療対策と合体して、公費医療制度Ⅰ、Ⅱを設計
国民健康保険・介護保険の枠組み内への組入れ方法
具体的に、どのように制度に組み入れるかについての方法の提案が以下です。
国民健康保険・介護保険の
1)低所得者対策としての法定保険料軽減策と高額療養費負担額の一部に、保険料免除と自己負担ゼロの区分を組み込む
2)高額療養費の規定において低所得区分を3区分化して適用
・低所得Ⅲ:負担ゼロ
・低所得Ⅱ:「特別該当」扱い。市町村民税非課税は所得割非課税として負担を軽減
・低所得Ⅲ:(現在の医療扶助に代わる部分として)公費負担
国民健康保険軽減策改定時の保険料免除および軽減策のイメージ
現状の国保における保険料軽減基準に、生保の医療扶助適用を組み入れると、このような体系になるというイメージの提示が以下です。
・保険料免除:所得が生活扶助基準以下
・保険料7割減:所得が33万円以下
・保険料5割減:33万円+(28.5万円✕国保加入者)以下
・保険料2割減:33万円+(52万円✕国保加入者)以下
(選択肢-1)も(選択肢ー2)も、結局は、国民健康保険制度および介護保険制度に組み入れることに違いはありません。
前者は、現状の2つの制度に<保険料免除>や<自己負担ゼロ>となる条件・基準を追加する方法です。
後者は、現状の2つの制度の中に、現在の生活保護規定内の<医療扶助>事項を(社会扶助として)規定化するものです。
公費医療制度については、現実的に適用されるケースが少ないと思いますのでここでは省略します。
国民健康保険・介護保険への医療扶助組入れによる影響
岩田氏提案の<医療扶助>解体・編み直し論は、十分理解納得できるものと思います。
国民健康保険だけが出てきて、一般的な(職域等)健康保険はどうなるのかという疑問が湧いてきそうですが、雇用されて働く人のほとんどは、生活保護基準を上回る収入があるので、この議論の対象にはなりません。
岩田氏は、医療扶助と国保との合体案に対しては反対意見があるとし、その理由・内容について説明しています。
ただ、基本的には、保険料を負担している人に何かマイナスの影響があるわけでなく、国費・公費負担で対応するものですから、特段の問題はないと私は考えます。
しかし、いずれにしても、この編み直し案では、医療ニーズを抑制することにはならず、国費(とはいっても税が財源ですが)支出が止めどもなく増える可能性があります。
また、これまで保護基準を満たす低額所得者で、保護を受けていなかった人も、医療費・介護費の自己負担がなくなるケースが一気に増える可能性があることから、やはり国費支出が増加する可能性が高いことも確認しておく必要がありますし、これを問題視する人が多数存在し、反対論が大きくなる可能性も否定できません。

ベーシック・ペンション導入時の医療保険、介護保険制度の扱いと制度改定
当サイト提案のベーシック・ペンションは、生活保護制度の廃止とセットでの提案です。
しかし、根本的に岩田氏案と異なるのは、医療・介護サービス利用時の自己負担分はゼロではなく、設定する所得基準に従って、支給される専用デジタル通貨で支払う、としている点です。
結果的に無償で医療・介護サービスを受けることができるわけですが、当然一定額を超える場合は、高額療養費の適用を受けて、無料とするよう規定化することを考えています。
その他、ベーシック・ペンションは、生活基礎年金というように、連動して年金制度の抜本的改革を行います。
ベーシック・ペンションの給付で、現状の国民年金および厚生年金保険の老齢基礎年金部分の個人の保険料と企業負担分法定福利費が不要になり、負担が減ります。
また、現役世代が高齢者世代を賦課方式で支える現制度は廃止され、自身のための積立方式に切り換えますから、負担はその点からも保険料率の低減も可能になります。
それらの負担減少分の一定割分を、医療保険・介護保険料に回し、双方の財源抑制に資することを想定しています。
また、金額の多少を問わず収入(BPは除く)があるすべての人が(BPを受給することから)年金保険料を納付する制度に改定することも想定しています。
従い、保険料納付者全員が、自動的に介護保険料を拠出する形に移行するわけです。
健康保険と介護保険双方の負担率は、2制度を統合して「医療介護保険制度」とする時に、どちらがどの料率か分かるように制定することになります。
⇒ ベーシック・ペンション導入に伴う社会保障・社会福祉制度等関連法改定課題体系 (2021/1/31)
ベーシック・ペンション導入で、2健保、後期高齢者医療、介護の4保険を統合して「健康介護保険制度」に(2021/2/11)
生活保護制度を超克するベーシック・ペンション:BP法の意義・背景を法前文から読む-2 (2021/6/15)
【2.住宅手当の新設 】から:<住宅扶助>に替わる新たな住宅手当制度創設へ
次は<住宅扶助>の解体・編み直しについてです。
この項の構成は、以下のとおり。
【住宅手当の新設】
・住宅手当のない国・日本
・住宅手当こそ全世代型社会保障の代表だ
・施設や宿泊所の問題
・一時的なダイレクトシェルターは必要だが、「ホームレス施設」はいらない
・英国の住宅手当と施設
・「住居確保給付金」を拡張し、恒久化する
・ 公正家賃という考え方
・国交省か厚労省か、財源をどう考えるか
・住宅手当創設の提案のイメージ
次は、【住宅扶助】をどうするか。
まず具体的な提案をコンパクトにまとめた<住宅手当創設の提案のイメージ>を紹介します。
住宅手当創設の提案のイメージ
1)生活困窮者自立支援制度の「住宅確保給付金」事業を拡張・恒久化して、低所得層までカバーする「住宅手当」として創設
労働政策と切り離し、純粋な住宅手当として高齢世帯も含めた全世代型の政策に
2)期間の制限は廃止
3)一定の収入・資産要件を設け、持家、社宅、企業からの家賃補助がある場合は除外
4)実勢家賃の定期調査から、公正家賃の水準を把握して手当額を決定
5)社会保障の一つとして厚生労働省の所管だが、4)は都道府県の住宅行政が担当。
段階的には、住宅扶助の単給化からスタートする方法も
皆年金・皆保険と、欧米外国と比べても、比較的早くから理想に近い、遜色のない社会保障制度を整え、導入してきたわが国において、ある意味、なぜか唯一手つかずで、不十分で、恥ずかしささえ感じさせる(これは私の思い)課題が、住宅支援に関する制度としています。
まあ、例によって政府・行政からは、種々の方便が立てられます。
生活保護制度における<住宅扶助>も、当然なのですが、地域性を反映させるべく、細かい規定がめぐらされています。
しかし現実的には、ホームレスという明確な問題はもちろん、離婚・死別の母子・父子家庭の経済的困窮者、仕事を失い、あるいは仕事を得られず困窮して住む家・帰る家もない若者、自然災害や事件・事故などで家を失って途方にくれる人びと、持家のない困窮・低所得高齢者夫婦・単身高齢者、など安心して暮らす場所を確保できない、多種多様な人々が多数存在します。
こうした面をも包摂すべく、岩田氏は、生活保護における<住宅扶助>規定を超え、社会保障制度としての総合的な「住宅手当」制度の創設・新設の提案に至っています。
極めて道理にそった提案と考えます。
その点では、同氏がいうように、全世代型の社会保障制度として象徴的かつ自慢できる制度になりうるでしょう。

ワークフェア主義から脱却した「住宅手当」制度
そこでのロジックにおいて着目すべきは、
1)「求職者支援法」における「寄宿手当」
2)「生活困窮者自立支援法」における「住宅確保給付金」
という要素も、件の「自助努力」「自立助長」というこじつけ主義、「ワークフェア主義」を排して、生きるため、生活するための必須の、普遍的なニーズとしての「住宅支援制度」「住宅保障制度」に集約していることです。
いうならば、社会保障思想上、社会保障理念における(本来当然だったことなのですが)改革提言と呼ぶに値することなのです。
住宅手当制度導入の前提条件
1)居住の「最低限」を満たした賃貸住宅を市場で容易に見つけられること
2)家賃以外の条件で入居拒否されないこと
3)宿泊所や施設等の「住宅」とは定義されていない集合居住を手当との関係でどう考えるか
以上の3点の課題をクリアすることが導入の前提条件として必要としています。
その関連で、岩田氏は、一時的なダイレクトシェルターは必要だが、「ホームレス施設」はいらない 、としています。
こうした課題については、本書で縷々述べられていますが、絶対的と評価できるレベルにまだ至っておらず、継続して考えることが必要と思います。
いずれにしても、細かいいくつかの検討すべき課題について言及していますが、基本的課題の一つは、「手当」は現金給付を意味することであるため、場合によっては、現物給付が望ましい場合も想定した制度が望ましいのではないかということです。
また「家賃」自体の適正額の基準化問題もそうです。
岩田氏は、いずれ「公正家賃」制度が導入されることを提案しています。
これらの件については、ベーシック・ペンションの運用でも課題になりますから、その機会に触れたいと思います。
住宅手当制度の所管と財源問題
最後に、この新設制度の所管ですが、
1)認定・給付行政は厚生労働省主体
2)家賃情報などは国土交通省責任
3)実施は都道府県の住宅局
と提案しています。
また必要な費用・財源については、2019年度の実績数値から
1)住宅扶助 5942億円 + 住宅対策諸費 = 6000億円
2)住宅扶助利用世帯 137万世帯
3)低所得世帯を含む住宅手当必要世帯推計 180万世帯
4)3)等を勘案し、1)の1.4倍相当想定し必要総額 8500億円
程度を見込むことを提案しています。
住宅手当制度の期待効果
住宅手当は貧困対策としての実効性が高く、被災や新型コロナなどの緊急時の対応だけでなく、平時においてもこの制度があることで、緊急時対応の長期化を防ぐことができる。
また、基礎年金満額程度等、他の所得保障と若干の備えで暮らせる人々が増えていく可能性が決して小さくない。
以上のように<住宅手当>導入による大きな期待を示し、この項を結んでいます。

ベーシック・ペンションにおける住宅扶助、住宅手当制度の在り方
新たな社会保障制度の一つとして「住宅保障制度(または「厚生住宅制度」)」の創設へ
これまでのベーシック・ペンションにおける生活保護廃止案において具体的な改善・解決提案に至っていなかった課題が、<住宅扶助>に関する「住宅政策」です。
そのため、今回の解体論における「住宅手当」制度提案は、好ましくない表現で言えば「渡りに船」、丁寧に言えば、有難い提案でした。
岩田氏が提案するように、住宅問題は、全世代型の社会保障を必要とする最重要政策課題といえます。
このことから、「住宅手当」という概念をより強化し、総合化し、「住宅保障制度」 (または「厚生住宅制度」) とすることが適切と考えます。
先述したように、生活保護制度では救うことができなかった多種多様な人びとの暮らし、人生を支える社会保障制度です。
ベーシック・ペンションの深堀りと未取り組みの課題への改善策提案を図るべく、継続して取り組んでいきます。
従い、この「住宅保障制度」は、当サイトにおいて予定している<2022年度版ベーシック・インカム案>の取りまとめにおける1課題として、および、親サイト https://2050society.com における社会政策長期ビジョン中の社会保障・社会福祉改革政策課題として、双方のサイトで後日取り上げる予定です。
※ここで示した、https://2050society.comは既に廃止しており、現在は、ONOLOGUE2050がそれらの課題を継承しています。
<第Ⅳ章 提案 どう解体し、どう溶け込ませるか>構成
第Ⅳ章 提案 どう解体し、どう溶け込ませるか
1.医療・介護サービスニーズの「標準」保障
・生活保護費のほぼ半分は医療扶助
・医療や介護サービスはなぜ「標準化」されるのか
・二つの編みなおし案
・医療扶助と国保合体への反対論
・「無料低額診療制度」「行旅病人死亡人法」
・医療扶助と介護扶助の編みなおし 二つのイメージ
2.住宅手当の新設
・住宅手当のない国・日本
・住宅手当こそ全世代型社会保障の代表だ
・施設や宿泊所の問題
・一時的なダイレクトシェルターは必要だが、「ホームレス施設」はいらない
・英国の住宅手当と施設
・「住居確保給付金」を拡張し、恒久化する
・ 公正家賃という考え方
・国交省か厚労省か、財源をどう考えるか
・住宅手当創設の提案のイメージ
3.教育扶助の解体と子ども養育費の保障
・就学援助支援制度を発展させる
・一元化にあたっての三つの課題
・高校・大学も視野に
・子どものいる世帯の生活費への配慮 ー児童手当と児童扶養手当
・「ひとり親」による子の養育への支援に
・ 遺族基礎年金を「ひとり親世帯等基礎年金」へ
・ ひとり親世帯等基礎年金の提案のイメージ
4.高齢期・障害のあるときの生活扶助はどうするか
■ 高齢期の場合
・個人単位+夫婦(ペア)単位で設計する
・高齢世帯の資産の考え方
・高齢期における生活扶助のイメージ
■ 障害のあるとき
・障害年金で「なんとかなる」のか?
・日本の障害年金認定の特徴は
・所得保障の確立が意味すること
・障害者加算分を「福祉手当」に
・保護の決定状況からみた不足額
・障害のあるときの最低生活保障のイメージ
5.失業時の生活保障と就労支援 ー求職者支援制度の全面改定
・失業=貧困とならないために
・失業給付の中心 ー「求職者給付」の基本手当
・保護行政の「ねじれた反応」
・二つのハロトレくんと生活保護
・求職者支援法の給付金を、「求職者支援給付へ」
・求職者支援制度における求職者支援給付の提案
6.多様な方法での最低生活保障を
・「生計維持給付」としての「一般扶助」の存続と一時扶助
・利用者自身がニードを組み立て、保障を請求できる制度に
少し雑な整理になってしまいました。
今後も継続して取り組む課題ですので、別の機会に一層踏み込んで考察し、オリジナルの提案をと思っています。
次回は、 <第Ⅳ章 提案 どう解体し、どう溶け込ませるか>の第2回、<3.教育扶助の解体と子ども養育費の保障 >と<4.高齢期・障害のあるときの生活扶助はどうするか >を課題とします。

子どもの教育扶助・生活扶助、高齢者・障害のある人の生活扶助の解体・再編方法と残る課題:『生活保護解体論』から考えるベーシック・ペンション-7(2022/1/22)
『生活保護解体論 セーフティネットを編みなおす』より-7|<第Ⅳ章 提案 どう解体し、どう溶け込ませるか>から-3&4
今回第7回目は、 <第Ⅳ章 提案 どう解体し、どう溶け込ませるか>の第2回、<3.教育扶助の解体と子ども養育費の保障 >と<4.高齢期・障害のあるときの生活扶助はどうするか >を課題とします。
【 3.教育扶助の解体と子ども養育費の保障 】から:解体と編み直し案
まず、<教育扶助>を課題とした解体・再編提案をみます。
この課題での展開構成は、以下のようになっています。
3.教育扶助の解体と子ども養育費の保障
・就学援助支援制度を発展させる
・一元化にあたっての三つの課題
・高校・大学も視野に
・子どものいる世帯の生活費への配慮 ー児童手当と児童扶養手当
・「ひとり親」による子の養育への支援に
・ 遺族基礎年金を「ひとり親世帯等基礎年金」へ
・ ひとり親世帯等基礎年金の提案のイメージ

その提案を簡潔に整理してみました。
学校教育法第19条「就学援助制度」への転活用で<教育扶助>解体
「教育」が付いている<教育扶助>ですから、義務教育を受けている子どもの教育に必要な費用の扶助が対象です。
そこで、「学校教育法」第19条に規定されている「就学援助制度」を、生活保護世帯の児童の<教育扶助>に替わる制度として活用しようというものです。
学校教育法第19条「就学援助制度」とは
第十九条 経済的理由によつて、就学困難と認められる学齢児童又は学齢生徒の保護者に対しては、市町村は、必要な援助を与えなければならない。
文部科学省のHPにある<就学援助ポータルサイト>から、以下に要点を抽出しました。
1)就学援助の対象者
① 要保護者:生活保護法第6条第2項に規定する要保護者(令和2年度 約10万人)
② 準要保護者:市町村教育委員会が生活保護法第6条第2項に規定する要保護者に準ずる程度に困窮していると認める者 (令和2年度 約123万人) ※認定基準は各市町村が規定
※但し、<要保護者>とは、生活保護法では、「現に保護を受けているといないとにかかわらず、保護を必要とする状態にある者」と定義されており、比較的広くカバーできることがわかります。
2)要保護者等に係る支援
・補助の概要
市町村の行う援助のうち、要保護者への援助に対して、国は、義務教育の円滑な実施に資することを目的として、「就学困難な児童及び生徒に係る就学奨励についての国の援助に関する法律」「学校給食法」「学校保健安全法」等に基づいて必要な援助を行う。【要保護児童生徒援助費補助金】
※ 生活保護基準の見直しに伴い、できるだけその影響が及ばないよう、平成30年度当初に要保護者として就学支援を受けていた者等については、生活保護基準の見直し以降も引き続き国による補助の対象となっている。
・補助対象品目:学用品費/体育実技用具費/新入学児童生徒学用品費等/通学用品費/通学費/修学旅行費/校外活動費/医療費/学校給食費/クラブ活動費/生徒会費/PTA会費/卒業アルバム代等/オンライン学習通信費
・国庫補助率:1/2(予算の範囲内で補助)
・令和3年度予算額:約5.9億円 (令和2年度予算額 : 約6.3億円 )
3)準要保護者に係る支援
準要保護者に対する就学援助は、平成17年度より国の補助を廃止し、税源移譲・地方財政措置を行い、各市町村が単独で実施。
以上の制度を活用することになります。
岩田氏の考えを本書から一部用いて、本提案を補完します。
就学援助制度転用上の課題
教育扶助では対象とならない<修学旅行費>もカバーするなど、守備版が広い「就学援助制度」ですが、一元化に伴い、上のポータル記事から分かるように、以下の3つの課題があるとしています。
1)その財源が市町村の一般財源
2)そのため、援助の内容や程度に地域差が大きい
3)多くの場合、学校を通して申請が行われる
どうということはないですね。
財源はもとより、国の一元管理とし、事務代行を自治体が、住民基本台帳に基づき受託する方式に改革すれば済む話です。
高校生・大学生など学生、および未就学乳幼児への扶助問題
しかし本質・根源的な問題は、それ以外にあります。
義務教育課程以外で学ぶ学生と、就学前児童・乳幼児に対する<教育補助><保育扶助>そしてそれぞれの<生活扶助>をどうするか、です。
先述の本書の構成では、
<高校・大学も視野に><子どものいる世帯の生活費への配慮 ー児童手当と児童扶養手当>という項で考察しています。
前者は省略することにして、後者の<児童手当・児童扶養手当>で示される子どもの保育や扶養を支援する目的での子ども手当制度、筆者が<社会手当>と呼ぶ制度についての解説は行われています。
生活保護利用母子世帯の子の<生活扶助>部分の運用問題
実は、厳しい経済状態にある低所得母子世帯のうち生活保護を受ける世帯では、生活扶助を算出する上で、児童(扶養)手当も所得に参入され、その分生活扶助額が減額されるという理不尽な制度がまかりとおっています。
すなわち、児童(扶養)手当は、子どもの基礎的な<生活費>の一部とみなされており、困窮化の一つの要因となっていることがわかります。
遺族基礎年金の「ひとり親世帯等基礎年金」への転換提案
少子化対策なども想定しつつ、筆者は児童手当の増額の必要性を主張してはいます。
それとは別に、現状、生活保護利用世帯のうち就学者を抱えている世帯の7割が母子世帯であることから、母子世帯の支援策としての生活保障の、生活保護の外部化を主張します。
それが、遺族基礎年金の「ひとり親世帯等基礎年金制度」としての編み直しというわけです。
但し、就学者だけでなく未就学児童・乳幼児も加えた比率を提示したほうが、より合理性・合目的性があると思うのですが。
ひとり親世帯等基礎年金のイメージ
その具体的な内容と導入方法として、以下の2つの案を示しています。
1)A型:拠出 遺族基礎年金と同様
2)B型:無拠出 ひとり親あるいは親以外がこどもを養育する世帯へ、現在の基礎年金給付と同水準の給付(児童扶養手当は吸収)。無拠出は所得調査ありだが、税制度から簡易に。
ここでの<拠出><無拠出>とは、年金保険料を支払ったことがあるかないかの区分ですね。
無拠出ならば本来年金を受給できず、遺族基礎年金も本来ないわけですから、見做しての運用です。
ただ、ひとり親世帯における遺族基礎年金は、配偶者との死別で受給できる年金で、離婚などによるひとり親世帯では、発生しないものです。
なにかの読み違い、勘違いなのか現状自信がありませんが、どこか違和感があるロジックと感じています。
従い、ひとり親世帯はその構成に応じて、一人ひとりに焦点を当てた、生活扶助、教育扶助に代わる運用制度で対応すれば良いのではと考えます。

ベーシック・ペンションの子ども関連支給は、児童基礎年金として
ベーシック・ペンション(BP)では、学齢15歳以下のすべての児童には、生活基礎年金という名称に代えて、「児童基礎年金」という名称で、毎月8万円(または7万円)専用デジタル通貨を支給するとしています。
BPは生活保護制度を廃止し、すべての国民を対象として無拠出で、最低基準の生活を維持するために必要な金額を支給するものですが、児童基礎年金により、学齢15歳以下の子どもの、現状の<児童手当><児童扶養手当>、生活保護の<教育扶助><生活扶助>等すべてをカバーするわけです。
それに伴い、当然児童手当制度、児童扶養手当制度は廃止されます。

【 4.高齢期・障害のあるときの生活扶助はどうするか 】から:解体と編み直し案
次は、 <4.高齢期・障害のあるときの生活扶助はどうするか>と題した課題についてです。
まず、高齢期の生活扶助をテーマとして。
その展開は以下のとおりです。
4.高齢期・障害のあるときの生活扶助はどうするか
4-1 高齢期の場合
・個人単位+夫婦(ペア)単位で設計する
・高齢世帯の資産の考え方
・高齢期における生活扶助のイメージ
高齢期高齢者の<生活扶助>解体と再編は、 国民年金制度への最低生活費支援給付制度設定で
高齢者の生活保護受給者の<生活扶助>部分の、別制度による代替は、以下の2つの方法のいずれかによる提案しています。
どちらも、国民年金制度の中に、最低生活費に充当する「支援給付」を支給する方法で、以下のように年金制度の再編を提案しています。
1)国民年金制度内への「(年金)支援給付」制度組入れ方式
・国民基礎年金の満額を、厚生年金との財政調整などで、少なくとも現行生活扶助基準並みに改正し、基礎年金を高齢期の最低生活費(現行の生活扶助)に合わせる。
・その上で、国民年金未加入者および加入者だが満額に届かない低年金者で、これを補う預貯金や収入がない場合に、年金制度の内部に「支援給付」制度を置き、基礎年金満額まで保証する。
2)年金開始年齢以上の高齢者への生活扶助を「年金支援給付」として支給
その他、関連する運用上の条件として以下提示しています。
・老齢年金開始年齢以降の高齢者の収入が最低基準以下の場合に支給
・個人単位、夫婦単位を基準とする
・要件:所得調査はなるべく税制度利用。ただし公的年金の控除額は縮小する。
・資産調査:自宅以外の住宅所有は不可、預貯金は六ヶ月分程度
・給付は、現行生活扶助水準は下回らない。できれば平均の六割に。
現状の社会保険制度・社会保障制度においては、生活保護利用高齢者の<生活扶助>部分は、「国民年金制度」の中に、当該規定を組入れるこ方式で、解体・再編することは、当然の選択になると思います。
この場合、保険料負担はゼロであることは、先述の記事(2022/1/20)で確認しています。
いずれにしても、ここにおいても、その財源は国費・公費でしかないわけで、従来の高齢期生活保護利用者の<生活扶助>として支給されていた財源が、そこに充てられるだけの話です。
問題は、その提案にあるように、所得や預貯金等の調査をなくすことができないこと。
言うとおり、税制の活用だけで収まるかどうか、懸念が残ります。
ベーシック・ペンションの高齢者支給は「高齢者基礎年金」
ベーシック・ペンションでは、それ自体、満年齢65歳上の高齢者には、生活基礎年金という名称に代えて、「高齢者基礎年金」という名称で、毎月12万円専用デジタル通貨を支給するとしています。
当然、BPは生活保護制度を廃止し、すべての国民を対象として無拠出で、最低基準の生活を保障する年金制度で、単純に、65歳以上の高齢者全員に、その名称を「高齢者基礎年金」として支給するものです。

障害のあるときの最低生活保障の生活扶助
次に<4.高齢期・障害のあるときの生活扶助はどうするか>のもう一つのテーマ(4-2 障害のあるとき)についてです。
以下の構成ですが、思い切ってポイントと感じられた事項にしぼり、整理したいと思います。
4.高齢期・障害のあるときの生活扶助はどうするか
4-2 障害のあるとき
・障害年金で「なんとかなる」のか?
・日本の障害年金認定の特徴は
・所得保障の確立が意味すること
・障害者加算分を「福祉手当」に
・保護の決定状況からみた不足額
・障害のあるときの最低生活保障のイメージ
障害のある人の社会保障制度の複雑さによる生活保護における解体・再編課題
簡単に、としたのは、筆者がこう言っていることと関係しています。
障害がある人びとへの最低生活保障はちょっとややこしい、とし、その理由が、日本の障害認定基準が一つではないから。
身体障害者手帳には障害の種別や等級が記されているが、年金制度の障害認定はこれとは別。
いずれも心身の部位別、機能別の等級表になっており、稼働の程度や所得、あるいは介助の問題とはほとんど関連しない。
しかも、障害はその種別や機能によって類型化されにくく、さらに個々の状況によってそのニーズも異なるので、最低生活を平均化してとらえにくい。
生活保護運用における「障害者加算」利用の状況
生活保護利用において、障害のある人の適用・運用は、障害者手帳と年金の両制度における「障害者加算」による障害の識別によるといいます。
これによると、2019年の被保護者調査で、41万1550人がその対象となっていて、うち身体障害者手帳1、2級か国民年金1級該当が38.6%、同3級か同2級該当が53.9%、残りが重度障害者や介護の加算該当。
日本の三障害(身体・知的・精神)の総障害者人口は、約936万人で、生活保護の障害者加算対象者は、その約4%、全人口当りの保護率は1.6%強と高いとしています。
公的年金制度における「障害者基礎年金」と「障害者厚生年金」適用でも生活保障基準に満たない年金所得とその要因
本書で、障害者基礎年金と障害者厚生年金との支給額表が示されており、これによれば障害年金でなんとかなるのでは、と思われるのだが、現実は、生活保護被保護者における障害者世帯の51%が、障害年金、老齢年金等の公的年金を受給しているというのです。
要するに、障害者年金だけでは、最低限の生活を維持できない障害のある人が多くいるわけです。
こうした現状を踏まえ、障害の程度の規定の複雑さ・曖昧さ等も要因とする、現状の障害者年金制度の欠陥を以下のように例えて指摘しています。
働いて収入があっても障害年金を受け取ることができる一方で、障害により働けない場合でも、障害年金を受給できない人がいる。

現状問題を残す「障害基礎年金」を補完する「障害年金支援給付」および「福祉手当」制の導入
その他、障害基礎年金制度が、介助問題や稼得問題に加え、所得保障という別の視点からの要求なども重なって、運用上の欠落・欠点が存在することを説明しています。
こうした前提から筆者はこう提案しています。
障害者の最低生活保障として見た場合、障害基礎年金に、大きな課題が残されている。
特に介助という重要な生活ニーズが積み残されているために、生活保護を解体すると、障害者加算分をどこに持っていくかという大問題がでてくる。
そこで、
・まず基礎的生活費は基礎年金を基本とし、不足する分は、高齢者同様、補足的な障害年金支援給付を設ける。
・加えて、多様な障害への「必要即応的」な対応と、特に介護サービスもしくはそれをあがなう介護料については、「福祉手当」とする。
ある意味で苦肉の策、ある意味で、弾力的な現場での運用、別の視点では、柔軟なかつ普遍的な規定化、といえるでしょうか。
これらの点を整理すると、以下のような筆者の提起になります。
障害のあるときの最低生活保障のイメージ
1)障害年金支援給付:障害があって、その収入が基礎生活費を下回る場合の最低生活保障。
個人、夫婦+子どもの加算
2)介助費用のための福祉手当へ障害者加算を移行
3)要件:税制度における所得調査と一定の資産価値
障害の程度についてはなお検討が必要
ここまで書いてきたのですが、私自身まだきちんと腑に落ちてはいません。
ということで、この障害者の社会保障・社会福祉に関する難解な課題は、ベーシック・ペンションにおいて障害のある人の保障をどのようにするかでも同様です。

ベーシック・ペンションにおける障害のある人の運用課題
ということで、これまで、当サイトでも障害のある人に対するベーシック・ペンション運用については、十分に議論し、方策を提案するに至っていません。
但し、一般的な、共通な基準としての生活基礎年金の支給については、障害のある人に対しても同じであるのは当然です。
従って、当サイトにおけるベーシック・ペンションにおいても、岩田氏の提案にあるように、介護・介助のニーズは、個々人により、障害の内容により異なり、なかなか基準を設定しづらいわけです。
そのため、今回の岩田氏のなんとも曖昧な、緩い提案が参考になります。
ということで、またの機会に関連規定を検討・提案することで、今回はご容赦頂きたいと思います。

参考:<第Ⅳ章 提案 どう解体し、どう溶け込ませるか>構成
第Ⅳ章 提案 どう解体し、どう溶け込ませるか
1.医療・介護サービスニーズの「標準」保障
・生活保護費のほぼ半分は医療扶助
・医療や介護サービスはなぜ「標準化」されるのか
・二つの編みなおし案
・医療扶助と国保合体への反対論
・「無料低額診療制度」「行旅病人死亡人法」
・医療扶助と介護扶助の編みなおし 二つのイメージ
2.住宅手当の新設
・住宅手当のない国・日本
・住宅手当こそ全世代型社会保障の代表だ
・施設や宿泊所の問題
・一時的なダイレクトシェルターは必要だが、「ホームレス施設」はいらない
・英国の住宅手当と施設
・「住居確保給付金」を拡張し、恒久化する
・ 公正家賃という考え方
・国交省か厚労省か、財源をどう考えるか
・住宅手当創設の提案のイメージ
3.教育扶助の解体と子ども養育費の保障
・就学援助支援制度を発展させる
・一元化にあたっての三つの課題
・高校・大学も視野に
・子どものいる世帯の生活費への配慮 ー児童手当と児童扶養手当
・「ひとり親」による子の養育への支援に
・ 遺族基礎年金を「ひとり親世帯等基礎年金」へ
・ ひとり親世帯等基礎年金の提案のイメージ
4.高齢期・障害のあるときの生活扶助はどうするか
■ 高齢期の場合
・個人単位+夫婦(ペア)単位で設計する
・高齢世帯の資産の考え方
・高齢期における生活扶助のイメージ
■ 障害のあるとき
・障害年金で「なんとかなる」のか?
・日本の障害年金認定の特徴は
・所得保障の確立が意味すること
・障害者加算分を「福祉手当」に
・保護の決定状況からみた不足額
・障害のあるときの最低生活保障のイメージ
5.失業時の生活保障と就労支援 ー求職者支援制度の全面改定
・失業=貧困とならないために
・失業給付の中心 ー「求職者給付」の基本手当
・保護行政の「ねじれた反応」
・二つのハロトレくんと生活保護
・求職者支援法の給付金を、「求職者支援給付へ」
・求職者支援制度における求職者支援給付の提案
6.多様な方法での最低生活保障を
・「生計維持給付」としての「一般扶助」の存続と一時扶助
・利用者自身がニードを組み立て、保障を請求できる制度に
次回は、 <第Ⅳ章 提案 どう解体し、どう溶け込ませるか>の第3回、<5.失業時の生活保障と就労支援 ー求職者支援制度の全面改定 と<6.多様な方法での最低生活保障を>を取り上げ、解体・編み直し論の最終回とします。

失業による生活保護・生業扶助の編み直しは求職者支援制度改定による生活給付で:『生活保護解体論』から考えるベーシック・ペンション-8(2022/1/24)
『生活保護解体論 セーフティネットを編みなおす』より-8|<第Ⅳ章 提案 どう解体し、どう溶け込ませるか>より-5&6
今回第8回は、 <第Ⅳ章 提案 どう解体し、どう溶け込ませるか>の第3回、<5.失業時の生活保障と就労支援 ー求職者支援制度の全面改定> と<6.多様な方法での最低生活保障を>を取り上げ、解体・編み直し論の最終回とします。
【5.失業時の生活保障と就労支援 ー 求職者支援制度の全面改定】から:解体と編み直し案
5.失業時の生活保障と就労支援 ー求職者支援制度の全面改定
・失業=貧困とならないために
・失業給付の中心 ー「求職者給付」の基本手当
・保護行政の「ねじれた反応」
・二つのハロトレくんと生活保護
・求職者支援法の給付金を、「求職者支援給付へ」
・求職者支援制度における求職者支援給付の提案
以上が、この項の構成ですが、少し視点を変えて、以下のように考察を進めていきます。
雇用保険制度の概要とその主たる目的・性質
厚生労働省のHPにある、雇用保険制度の概要で、その体系を次のように示しています。
⇒ Microsoft PowerPoint – 資料①_制度概要.pptx (mhlw.go.jp)
雇用保険の目的・性質
今でも「失業保険」とも呼ばれるこの制度は、元来、失業がもたらす貧困リスクへの対応が目的。
従い、制度の中心は、いわゆる失業手当、すなわち<失業等給付>のなかの<求職者給付>です。
これに加えて、次の就職を促進するための支援事業が含まれ、ハローワークを窓口にして、求職者の活動を支援?指揮・指導することがもう一つの重要な目的となっています。
まさに「雇用促進・支援」事業であり、ストレートに「ワークフェア」主義のものです。
雇用保険加入要件
雇用保険への加入は、雇用されている人のうち
1)31日以上引き続き雇用されることが見込まれ
2)週20時間以上働いている
人に限られ、被雇用者と事業主が保険料を負担します。
以前は、これよりも厳しい条件が付けられ、働いていても、雇用保険に入れない人が多数いましたが、今ではかなり広い範囲の人が加入し、失業による貧困からの不安は軽減されています。
失業給付の中心の「一般求職者給付」のポイント
一般求職者とは、<求職者給付>にある、高齢者・短期雇用・日雇いの離職者を除く人々。
給付額は、離職前賃金・年齢・離職理由・就労期間などにより、支給される期間とともに異なります。
実際には、離職にも複数の事由が設定され、支給内容も様々で複雑ですが、ここでは特段必要ではないので省略します。
失業率と生活保護の相関関係
元々賃金が低かった人や自己都合、就労期間の短かった人などは、支給される額や期間が少なくかつ短いことなどから、経済的に困窮するリスクを抱えています。
また支給期間終了までに仕事が決まらなかった場合も同様です。
もともと就職できず、雇用保険に加入する機会すら持つことができなかった人の困窮リスクはいうまでもありません。
そのことから、(厚労省によると)失業率が高いと生活保護を申請・受給する人が増えるという相関関係があるとしています。
しかし、失業したからすぐに生活保護を申請する人はほとんどいませんし、就労を奨める圧力が強いですから、雇用保険のワークフェア主義は、元来のミーンズテストの罠と共に、生活保護適用に対する大きな壁として機能している側面があるともいえます。

提案:生業扶助は「求職者支援法」の<職業訓練受講給付金>で「求職者支援給付」へ
元に返って。
生活保護の<生業扶助>は、本来雇用保険の失業手当とは関係なく、自立を助長し、生業を得るため、すなわち就労活動をすることを支援する、一時的扶助です。
そのため、現状の生業扶助として規定されている技能習得費・就職支度金をどうするかがここでの課題でした。
そこで筆者が提案するのが、この部分を、「求職者支援法(職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律)」に規定する「職業訓練受講給付金」で代替し、求職者支援給付として支給するというものです。
しかし、それは生活給付として支給するもので、
1)現行生活扶助レベルに
2)単身を単位として扶養家族数を加算
3)簡易な所得調査と資産調査あり
という条件を付けています。
またその実施に当たっては、次の条件を付けます。
1)トレーニングの前に一定期間のキャリア・カウンセリングを受ける
2)ハロートレーニングにおける受講費、テキスト代、受講交通費を支給
ハロートレーニングとは、
1)雇用保険受給者のための公共職業訓練(離職者訓練)
2)求職者支援訓練
をまとめて呼称化したものです。
そして
・公共職業訓練を受けている間は失業保険が給付され、受講手当と交通費も支給。
・求職者支援制度では、月10万円の受講給付金が出るが、資産調査と授業出席、ハローワークでの就労支援を受けるための「来所」が要件
と異なる運用が現状行われているのです。
コロナ禍で膨大な金額が支出された「雇用調整助成金」
ところで本論とは関係ありませんが、コロナ禍において、比較的に余裕があった雇用保険(積立による)財源が、<雇用調整助成金>の支出で悪化したため、雇用保険料の引き上げが必要になっているといいます。
この関連で、<雇用調整助成金>の支給対象にならない人々が多数存在することと、それが困窮化と格差拡大要因にもなっていることが問題視されました。

ベーシック・ペンションと雇用保険、失業給付との関係
雇用保険制度を「就労保険制度」に改革を
実は、雇用保険制度は、<二事業>において、雇用保険でカバーされていない求職者も、訓練事業においては、保険外であっても対応している、(いい意味で)おやっ!?と思わせる制度となっています。
ベーシック・ペンションでは、生活保護制度全般を廃止し、必要があるものは他の関連社会保障制度を改定して、反映させることにしています。
雇用保険の失業手当とベーシック・ペンションとの直接の関係は、見方によれば関係なく、切り離して運用すれば良しといえます。
しかし、雇用されたことがあってもこの保険の適用を受けることができない人もおり、一種の差別が存在しています。
その改善・解決・改革策として、従来の雇用保険適用可能な人に限定せず、働いて収入を得たことがある人、これから働いて収入を得る機会がある人すべてが、仕事を持つことができない、働くことができないリスクに対応できる「就労保険」に加入し、適用を受けることができる制度に変革することを提案しています。
(参考記事)
⇒ ベーシック・ペンションによる雇用保険制度改革・労働政策改革:安心と希望を持って働くことができる就労保険制度と労働法制を(2021/2/13)
ベーシック・ペンション給付により、求職者給付はどうなるか
ベーシック・ペンションが、すべての人々に無拠出で、平等に支給されます。
従い、その一部は、失業手当の意味を含むと言えなくもないのですが、それでは、現に就労して賃金を得ている人との差が広がり、平等性は消滅します。
しかし、従来の給付額を、給付率を下げて減額することも検討可能ではあります。
下げた給付率に伴って保険預かり額、積立額が増加するので、それらを、職業訓練や能力開発の拡充に充てることも良いでしょう。
などなど、ベーシック・ペンションの提案においても、こうした観点も含め、先述した記事で触れた課題も含め、まだまだ検討すべき課題があります。
これがべストというレベル・内容のものはなかなか詰めることが難しいのですが、少しずつ整理し、確固たる提案ができるようにしたいと考えています。

【6.多様な方法での最低生活保障を】から:生計扶助の解体と編み直し案
6.多様な方法での最低生活保障を
・「生計維持給付」としての「一般扶助」の存続と一時扶助
・利用者自身がニードを組み立て、保障を請求できる制度に
これが本章最後の項の項目ですが、その最後に最後に、「ここまで提案してきたことが実施されれば、生活保護は不要になるかもしれない」と筆者は言います。
しかし、よほどしっかり読みこなし、頭を整理し、提案内容を書き出し、手直ししないと簡単には理解できないと思います。
その整理の前に、「しかし、貧困は多様な要因で多様なかたちをとって現れるので、すべてが社会保険や社会手当の中、あるいは傍らに再配置できるとは限らない」とし、「多様な方法での最低生活保障を」というこの節の提案に立ち戻ることになります。
生計扶助の解体・編み直し案のまとめ
この見出しのようなタイトルはついていないのですが、最後に位置づけた、実は最も基本となる<生活扶助>の解体・編み直しをこのように筆者は整理しています。
1)年金支援給付(高齢者・障害者向け)
2)求職者支援給付
3)一般扶助による「生計維持給付」
1)と2)が、年金や雇用保険を補完する給付で、3)がその他の一般的な生計維持給付という位置づけです。
出産扶助・葬祭扶助等一時扶助の在り方
これらについてもまだ明確に、あるいは整理して述べられていませんでした。
以下のように<一時扶助>に括り、現行一時扶助+季節扶助(冬季加算の置き換え)+入学試験等費用とするとしています。
1)出産扶助:出産および周産期医療の幅広い手当に吸収?
2)葬祭扶助:行旅病人死亡法などとの調整、自治体に一元化?
3)季節扶助:生活保護加算のうちの冬季加算を夏の冷房費もカバー可能な(加算ではない)一時扶助に
※ ?マークは、岩田氏自身が付けているものです。
岩田氏自身による解体・編み直し案のまとめ
さて第Ⅳ章の最後にきました、
この章のまとめに当たる内容になります。
パッケージとしての提案とその理由
以上述べてきたように、生活扶助と一時扶助をそれぞれ単給できるように設定し、年金保険や雇用保険の傍らに分離した制度の利用者も、一時扶助を利用できるようにしておけば、現在の生活保護の保障内容を維持できる。
なお、住宅手当と一時扶助との各支援給付のパッケージをいくつか用意しておく必要があるかもしれない。
とし、その理由を以下に示します。
利用者自身がニードを組み立て、保障を請求できる制度に
日本の生活保護は、はじめからそれだけのパッケージで、そこに「最後のセーフティネット」という名の、旧い「貧困層の丸ごと救済」の体質が色濃く残っている。
これを払拭するために、ニードに応じた給付をバラバラに用意し、利用者がそれらを自覚的にパッケージにする、あるいは支援者が利用するのを支援する。
利用者はその保障を請求していく権利を持っている。
ただし、児童関係の給付は、税務データ等にあわせて、自動的な給付を設計することが望ましい。
このように最後にまとめています。

ベーシック・ペンションと岩田氏生活保護解体・編み直し提案
前項最後に示された、自覚的な利用者による、必要に応じた保障申請。
何か、現状の生活保護制度申請に付きまとうスティグマやミーンズテストの呪いや罠とは少し違う、新たな、あるいは本質的には似ている問題・課題が残り、あるいは現れるのでは、とふと感じてしまいます。
果たして、単給申請でとどまることが多いのか、どうか。
審査や申請手続きが、どれほど簡易化できるか。
申請先がばらばらになり、複給を必要とする時、以前よりも壁が高くなるのではないか。
こうした懸念は、事前の対策検討と業務基準作りで払拭できるのでしょうが、現状の生活保護制度の多くの問題を考えると、その組織と業務システムを、関係行政単位で個々に構築することでまた厄介な課題が起きそうです。
ベーシック・ペンションは、現状の生活保護が抱える諸問題の大半を改善・解決できる金額を、専用デジタル通貨でですが支給するとしています。
すなわち、その導入に伴って多くの行政組織・行政業務が不要になる設計を、関連社会保障制度の改定と一体化・統融合化して行なうものです。
従い、単純に、岩田氏の解体・編み直し提案と比較して論じることは本来できません。
しかし、共通の課題と認識できるものも多く、総体としての比較論も有意義です。
そうした総合的・総括論は、最終章を取り上げた後、本シリーズの最後に行なうこととしています。
次回は、最終章<終章 生活の「最低限」をどう決める>に入り、 <1.生活の「最低限」の意味と保障水準 >< 2.唯一正しい最低生活費算定の方法があるわけではない > <3.「資産ベース」の福祉へ ー転換は可能か?> を取り上げます。

生活保護基準から、新たな生活扶助基準作りへの改革法:『生活保護解体論』から考えるベーシック・ペンション-9(2022/1/26)
『生活保護解体論 セーフティネットを編みなおす』より-9|<終章 生活の「最低限」をどう決める >から-1、2&3
今回第9回から、最終章<終章 生活の「最低限」をどう決める>に入り、 <1.生活の「最低限」の意味と保障水準 >< 2.唯一正しい最低生活費算定の方法があるわけではない > <3.「資産ベース」の福祉へ ー転換は可能か?> を取り上げます。
<終章 生活の「最低限」をどう決める>の構成
終章 生活の「最低限」をどう決める
1.生活の「最低限」の意味と保障水準
・残された問題
・妥当な「公的貧困線」として機能する制度 ー政府のMIS
・G-MISとしての生活保護
・生活扶助基準改定の「妥当性」とその変遷
・最低生活は相対的なもの
・格差縮小への合意の時代から「水準均衡」の確認へ
・「格差の時代」の扶助基準の引き下げ圧力
2.唯一正しい最低生活費算定の方法があるわけではない
・新たなマーケット・バスケット方式による算定
・日本での取り組み
・別のアプローチ ー主観的生活費の研究
・低所得単身世帯の把握と家計実態アプローチの可能性
・複数の基準から生活保護基準を検証
3.「資産ベース」の福祉へ ー転換は可能か?
・資力調査か、課税資料か
・個人単位を原則に
・世帯認定と扶養問題
・人間の生活にそくした家計の見方を
・家計における「運転資金」の意味
・破産法における自由財産の考え方を参考に
・資産は「プラス思考」で
・社会扶助の効果を高めるという発想
4.ベーシック・インカムのほうが早い?
・パンデミック以後のリアリティ
・所得保障は完璧な手法ではない ー方法がすべてを解決するわけではない
・公共財としての所得保障
・「共同財源」と「私の家計」をリンクさせていくことが重要
・時代は変化している

【1.生活の「最低限」の意味と保障水準 】から
終章 生活の「最低限」をどう決める
1.生活の「最低限」の意味と保障水準
・残された問題
・妥当な「公的貧困線」として機能する制度 ー政府のMIS
・G-MISとしての生活保護
・生活扶助基準改定の「妥当性」とその変遷
・最低生活は相対的なもの
・格差縮小への合意の時代から「水準均衡」の確認へ
・「格差の時代」の扶助基準の引き下げ圧力
以上の構成の節ですが、実質的には、<生活扶助>の算定・算出基準についての検討考察、そして提案という作業を始めることになります。
まず、第1項です。
前章までの生活保護解体・編み直し検討と考察作業を進めてきた上で、筆者は、十分に議論してこなかった
1)保障水準
2)資産調査(ミーンズテスト)
の、2つの課題があるとします。
そこで、最終章で、(前回の記事でのテーマとした中での<生活扶助>における)年金及び求職者支援法で結びつけた「支援給付」と「生計維持給付」の水準と、資産保有の考え方についてまとめるとしています。
それは、本書がめざす最低生活保障の再構築における最も大きな課題への回答につながるというわけです。
一定の「歯止め」としての生活の最低限の考え方、捉え方
最低限を考えるに当り、生活をどこまでも下げられるものではなく、自ずと「限界点」があり、その「限界点」の妥当な水準設定こそが、最低生活保障の基礎。
それは、貧困世帯にとって意味があるだけでなく、一定の「歯止め」を持つ意味で、社会全体にとって重要とします。
憲法第25条の「健康で文化的な最低限度の生活」の権利規定と繋がっているわけです。
初めの言い回しは漠然としていますが、第25条と結びつけることは、理念ベースで合理性があり、理解納得できるものと思います。
政治的判断としての最低社会保障の種類
では、社会におけるその「最低限」としての妥当な線はどうか。
1)社会扶助
2)(最低)年金制度
3)最低賃金
などを取り上げ、これらは、それぞれの当該制度において行われる政治的判断に基づき規定された「最低限」といいます。
最低所得保障 MISとは
それらに対して、英国のファイトーウィルソンにより提起された政治的判断調査時に用いた概念、Minimum Income Standard「最低所得水準」を提起し、それが「ある社会の「まともな decent 」生活の最小限に見合った所得」を意味すると紹介しています。
「まともな」には、「人間の尊厳が保たれ、ある社会に十分参加できる」という意味が込められていること。
MISには、 あまり複雑でなく、行政にとって実行可能で、財政的にも実施可能であることも求められ、「公的貧困線」と呼ばれ、貧困についての科学的な事実把握とは区別されるとしています。
日本におけるMISと生活保護の関係、
で、日本では、生活保護が、日本のMISとして機能してきており、国民健康保険や国民年金の「低所得者対策」や「境界層措置」「満額年金支給額設定」、市町村民税の「非課税基準」、最低賃金設定などに、生活保護基準が参照されているといいます。
それぞれの最低額設定上、生活保護基準がお墨付きになってきたわけです。
「生活保護基準」としての「生活扶助基準」とその改定方式の妥当性
結局、現在の生活保護制度における<生活扶助>基準は、生活保護基準を意味しているわけで、それが適切かどうか、定期的検証されに、改定が行われているわけです。
改定のための「検証」方式
検証は、「標準世帯」で行い、多様な世帯に当てはめるべく、年齢別、世帯人員別の「基準表」を級地別に作成し実施。
それに基づいて行なう<生活扶助基準>の改定方式は、これまで「マーケットバスケット方式」「格差縮小方式」等の変遷があり、「水準均衡方式」を経て、現在は、「平均指数法による基準表の一括改定など、多様な均衡の模索」状態にあるとしています。
と言われても、ほとんどピンときませんが。
これまでの方式についての説明もありますが、省略します。

【2.唯一正しい最低生活費算定の方法があるわけではない 】から
終章 生活の「最低限」をどう決める
2.唯一正しい最低生活費算定の方法があるわけではない
・新たなマーケット・バスケット方式による算定
・日本での取り組み
・別のアプローチ ー主観的生活費の研究
・低所得単身世帯の把握と家計実態アプローチの可能性
・複数の基準から生活保護基準を検証
要するに、最低生活は、絶対的に基準化・規定化できるものではなく、相対的なものであることから、次の「唯一正しい最低生活費算定の方法があるわけではない」という節に導かれます。
ここでの展開は上記のとおりですが、ここは整理して簡単に。
基本的には、何かしら、最低限度額の設定を試みようというものですが。
但し、めざすべきことは明確です。
生活保護を解体しても、年金支援給付、求職者支援給付。生活維持給付などの生活扶助部分に対応する給付水準は、少なくとも現状維持、できれば、MISとしての位置を保つべき。
ということです。
その目的実現のために、この項で、筆者は、以下の複数の基準設定調査の方法・特徴などを展開しています。
多様な方式による最低生活費算定結果と今後の在り方
その部分は省略し、それぞれの試算・調査結果に基づく最低限生活費の額を以下に転記しました。
1)労働総研マーケット・バスケット試算 119,310円
2)三鷹 MIS 女性 106,758円
男性 115,878円
3)主観的生活費K調査 146,000円
T調査 102,000円
4)家計調査部会試算 107,642円
5)村上試算 90,309円
※ 生活保護基準(1級地、単身世帯) 85,139円
随分金額に違い・差があります。
それぞれの算定方法を比較して、その差が生じる要因・要素を確認すべきですが、こうして比較データとして用いるからには、論外の条件設定の違いはないはず。
要するに、最低額の算定が、非常に基準化することが困難であることを示しています。
それで最終的に岩田氏はどうすべきとしているのか。
上表でわかるように、生活保護基準が最低額となっており、ここから、同氏は、複数の基準からアプローチしてその在り方、設定方法を進化していくべき、というに留めています。
当然といえば当然ですね。

【3.「資産ベース」の福祉へ ー 転換は可能か?】から
終章 生活の「最低限」をどう決める
3.「資産ベース」の福祉へ ー転換は可能か?
・資力調査か、課税資料か
・個人単位を原則に
・世帯認定と扶養問題
・人間の生活にそくした家計の見方を
・家計における「運転資金」の意味
・破産法における自由財産の考え方を参考に
・資産は「プラス思考」で
・社会扶助の効果を高めるという発想

生活保護で問題の<ミーンズテスト>は、解体再編後どうなるか
上記の構成でのこの項の主なテーマは、積み残していたもう一つ「ミーンズテスト(資力調査)」についてです。
悪名高い?生活保護の異常ともいえる捕捉率の低さの最大の原因とされる<ミーンズテスト>。
8つの扶助の解体と編み直し論を展開してきたなかで、個別の解体・再編した事項についても、やはり、資産の保有の有無・多少により、支給される・されない、の適用の違いが存在していました。
私にとっても、結局なにかしらの調査・審査が残されている、残さざるをえない岩田氏論に対しての懸念材料の一つでした。
解体し、再構築した扶助は、児童養育などを一部を除き基本的には社会扶助であるため、何らかの貧困証明が必要で、この点がベーシックインカムと異なる。
(ここで初めて<ベーシックインカム>という用語が出てきました。)
こう述べている岩田氏は、どう締めくくりの提案をおこなうでしょうか。
まずは、所得調査か、資産調査かについて。
ミーンズテストは、信憑性のある課税資料把握と非課税基準の活用による所得調査で簡易に
資産調査ではなく、このように所得調査方式を提案し、個人税の情報が地方自治体に集中していることから、個人住民税の非課税基準などによる所得把握を薦めています。
但し、行政のデジタル化が進めば、これにこだわる必要はない、とも。
その他に配慮すべき事項の提案・説明もありますが、省略します。
世帯単位から、個人単位を原則に
次は、やはり問題になる、基本を、世帯を対象とするか個人とするか、です。
ここも当然、個人単位を原則とし、これに「夫婦単位」を付加することを提案します。
子どもの<教育扶助>は、他制度に移行するため、ここでは必要ないわけです。
但し、「住宅手当」は世帯単位であることは当然です。
これまでの提案やこれらのことから、「扶養」という概念は不要としているのも当然ですね。
資産・貯蓄面から考慮すべき「家計運転資金」概念と「自由財産」概念
1ヶ月の保護費を全部使って、次の保護費で生活を営むという設計を想定した現在の生活保護は、実際の人間の生活とまったくかけ離れている。
こうした現状の制度を変えるためには、日々の生活における若干のゆとり、蓄え的な「運転資金」が必要であることを認めるべき。
その観点から参考にすべきは、破産時の差し押さえから免除する「自由財産」の考え方を参考にし、採用すべきと提案しています。
すこしでも「まともな生活」を送ることができる、社会扶助の効果を高める生活保護・生活扶助を
ここでの議論は、生活保護申請時と保護利用時の資産・蓄え、双方の観点から論じています。
そこで共通して持つべきと提案しているのが、「プラスの思考」で考えること。
すなわち「まともな」生活を送るために必要な資産という考え方で、反対の、何をもってはいけないという「マイナスの思考」ではいけない、というものです。
そして、その考え方を一歩進めれば、解体し再編した生活保護基準・生活扶助基準が、一定の資産要件を認めることで、社会扶助としての制度の効果を、個人の自由の増大の実現にも及ぼすことができるようになる。
少し私の脚色も差し挟みましたが、そんなまとめになるのではと考えます。

ベーシック・ペンションにおける最低限の生活保障とミーンズテストの考え方
すでにご理解頂いているでしょうか、ベーシック・ペンション生活基礎年金の完成形の支給額は、専用デジタル通貨ですが、一人月額15万円です。
学齢15歳以下の児童と、学齢18歳以下の学生等、65歳以上の高齢者は、それぞれ設定している児童基礎年金、学生等基礎年金、高齢者基礎年金を受給します。
その15万円は、上述の<最低生活費算定>例に比べると最も高額です。
但し、一応住宅費用や医療費自己負担費用もその中から支出するものですが、先の表現を用いると、多少の余裕は、生活の仕方次第で可能な金額を想定しています。
具体的な公開されている調査や試算方法を用いてのものではありませんが。
すべての国民無条件で支給されるので、ミーンズテストなどありようもないわけです。
また、そのデジタル通貨は、使途が決められており、一定期間内(4年ないし5年以内)に利用しなければならず、譲渡や相続はできません。
但し、利用期間中は蓄えることができ、必要時にまとめて利用することができるのです。
未使用分は、発行元である日本銀行が、無償で自動的に回収するシステムを想定しています。
そして当然ですが、生活保護制度は、このベーシック・ペンションにより廃止されます。
但し、社会保障制度・社会福祉制度は、ベーシック・ペンション導入に伴い、本書で課題となった8種類の扶助及び関連する諸制度の多くが、改革・改廃されます。
生活保護解体論者によるベーシック・インカム論:『生活保護解体論』から考えるベーシック・ペンション-10(2022/1/28)
『生活保護解体論 セーフティネットを編みなおす』より-10|<終章 生活の「最低限」をどう決める>から-4
岩田正美氏著『生活保護解体論 セーフティネットを編みなおす』(2021/11/5刊:岩波書店)を参考に、当サイト提案のベーシック・ペンションを再確認し、より深堀りすることを目的としたシリーズを進めてきました。
今回は、最終章<終章 生活の「最低限」をどう決める>の2回目であり、本書の最後・まとめにも当たる <4.バーシックインカムのほうが早い?>を取り上げ、岩田氏によるベーシックインカムに関する意見と解体論のまとめを確認します。
【4. ベーシック・インカムのほうが早い ?】から
4.ベーシック・インカムのほうが早い?
・パンデミック以後のリアリティ
・所得保障は完璧な手法ではない ー方法がすべてを解決するわけではない
・公共財としての所得保障
・「共同財源」と「私の家計」をリンクさせていくことが重要
・時代は変化している
以上の構成の節ですが、私の受け止め方を元にして、その内容を整理・確認することにします。
解体論者のベーシック・インカム理解と誤解
「すべての個人に無条件で保障される基本所得」ベーシック・インカム。
新型コロナ対策で配られた10万円給付金のようなもの、と考えると理解しやすいかもしれない。
こういう書き出しで始まる岩田氏自身による生活保護解体論と比較してのベーシック・インカム(以下BIとすることがあります)論。
しかし、そもそも、1回ポッキリの、コロナ禍における、特定目的の給付でBIをイメージすることはまったく適切ではありません。
誤った見方・考え方・印象を与えてしまい、実際既に多くの人々が誤解しています。
そしてこうつなぎます。
このような構想は多様な形で展開されており、イデオロギーを問わず、またその財源についての考え方も一様ではない。
そうです。
でもあるから、BIの理解が望ましい形で進められ、広がっていかないという事情があります。
そしてこうとも言っています。
本書のようなややこしい生活保護解体などを考えずに、一挙にBIを導入すれば、おそらく個々人の働き方や社会のありかたに、革新的な変化がもたらされることは必至だろう。
私も、生活扶助部分の解体には、BIがあれば、ここにあてはまると思った。
そしてその理由も含めて、こう言います。
社会扶助では資産調査もある程度含まざるをえず、労働能力の活用や、扶養照会の問題点が指摘されるが、そうした負の側面を一挙に解決し、「選別」を行わない点で、BIはもちろん今後の重要な検討課題になる。
そこでBIについて学ぶ上で参考になる論述として、小沢修司氏の『福祉社会と社会保障改革―ベーシック・インカム構想の新地平 』、山森亨氏の『 ベーシック・インカム入門 』を取り上げています。
が、そう簡単にBIがすべてを一挙に解決するわけではなく、岩田氏解体論の作業のように、いや、より多くの面倒な制度改廃検討作業などが必要になるはずです。
小沢氏や山森氏の論は、意外にも考察が狭く浅く、それらをもってしてベーシック・インカムと理解されるのも、ある意味偏っていますし、誤解や無理解を生むことになることさえあると思うからです。
というか、やはりそこでも既に誤解を生んでいるのです。
※ちょうど、当サイトに、過去記事の集約版として、小沢氏、山森氏のBI論に関する考察・評価シリーズ記事を、1記事にして、以下の記事にしています。
ご覧頂ければ幸いです。

岩田氏のベーシック・インカム疑問・懸念論の基本:所得保障は完璧な手段ではない
「所得保障は完璧な手段ではない」
それでは、このタイトルから始まる岩田氏の反対論をみてみましょう。
そのタイトルにサブ的に「方法がすべてを解決するわけではない」とあるのも気になります。
まず自身の解体論展開に戻り、ニーズからの生活保護構造の捉え直す方向で行った取り組みと比較して論じます。
ニーズだけでなく、ニーズを充足する手段も含めて考えると、(BIという)「所得保障」手段は、無条件であれ選別であれ、ニーズ充足の完璧な手段ではなく、医療・介護・教育・保育などのニーズはどう(なるだろう)か。
住宅も特殊な財であり、葬祭扶助・出産扶助なども考えると、所得保障だけではなく、市場とは一線を画した社会サービスをどのくらい、どのように前提とするかが問題になる。
そして、前述の小沢論とその中の小沢試算を用いての意見が付されます。
1)生活扶助水準レベルの金額を想定・設定
2)機能別社会保障給付費統計から、労働災害・医療・住宅を除いた現金給付部分を合計すると1)の40%をカバー
3)不足する60%の財源として、税制改革により所得税率50%とすれば1)の確保が可能
という小沢論。
これにおいても、現金給付以外の社会保障部分は現状維持としていることから、介護保険、障害者の介助人確保、本丸の健康保険などによる現物財・サービス給付の費用をどこまで見込むか、そして保険料負担も必須。
多くのベーシック・インカム論では、ここに踏み込んでいない、というか、無視しているのか忘れているのか、無責任な、提案とは呼べないレベルにとどまっている例が多いのです。
少し専門的な表現の部分を引用すると、こうなります。
もし医療や教育をすべて市場化してしまえば、基本所得を高くせざるを得ず、それらを「脱商品化」した財として提供することへの合意が必要になる。
このように、消費財やサービスの市場/非市場の配分と基本所得との関係をどう整理するか問われる。
残念ながら、ベーシック・インカムに関しての記述は、この程度でおしまいでした。
それも已むを得ないことではあります。
小沢氏や山森氏のベーシックインカム論を対象としている限りは、その程度で話は済みます.
岩田氏自身の解体論においても、ほとんど財源問題には触れていませんし、8つの扶助は、形を変えて機能することを想定しており、一応ムリがないところでの解体再編提案ですから。
小沢論における所得税の50%改定など、論外のことになるでしょうから。
ところで、小沢修司氏著の『 福祉社会と社会保障改革―ベーシック・インカム構想の新地平』 (2002/10/30刊・高菅出版) の内容についての私の受け止め方・評価などについては、既にシリーズ化して記事にまとめています。
こちらで確認頂ければと思います。
⇒ 小沢修司氏著『福祉社会と社会保障改革 ベーシック・インカム構想の新地平』(2002年刊)を読む (2021/10/14)
また同様、山森亮氏著の『ベーシック・インカム入門』(2009/2/20刊・光文社新書)についても、こちらで見て頂けます。
⇒ ベーシック・インカムとは-1:歴史から学ぶベーシック・インカム(2020/6/2)
山森亮氏のベーシックインカム財源論(2021/4/3)
※以上のように記事内追記していますが、先述したように、両者のBI論については、当サイトに過去記事集約版としてそれぞれ1つの記事にまとめて公開しています。
是非、確認ください。

ベーシック・インカムに代わるべき「共同財源」と「私の家計」とのリンクによる社会保障を提起
そして財源問題には、岩田氏の切り札?となる考え方が一応提起されます。
それが「共同財源」論です。
こんな言い回しが目に止まります。
保険と扶助は、それぞれの手法のために存在しているのではなく、共に「共同財源」による充足の手段でしかない、というところから本書は出発し直してている。
本書のような現実主義的なみみっちい改革(それでも全部は実現しそうもないが)の繰り返しの中に、ベーシック・インカム的なものを導入しつつ、変革していくしかないとみている。
例えば、児童扶養などはすぐにでも取り組めそうなニーズ。
この解体提案も、その一里となるかもしれない。
ここで、その共同財源となる所得税の捕捉の方法について問題提起と提案が行われています。
「所得情報のリアルタイム把握」により、種々の給付を行なうことを可能にすることについてです。
その主旨・目的とシステム構築の必要性には、ベーシック・ペンション導入に伴い、併せて、すべての所得の把握と所得税納付義務付けを提案しており、そのためにも同意します。
但し、ここでの提案などについては省略します。
省略した所得税捕捉説ですが、その納付が共同財源化原資になるわけですから、筆者が用いる観念とは違うかもしれませんが、ある意味、「共同財源」と「私の家計」が繋がっている状態で、社会保障や社会扶助、社会手当などが議論される習慣を育むべき、という主張には、それなりに共感を覚えます。
本書・本論の問題意識
現行生活保護法が成立してからすでに70年以上、皆保険・皆年金体制確立からも60年が経過。
この間、生活保護は、社会扶助の性格を強くもった低所得者対策が、後者内部に中途半端に取り込まれるなど二重の社会扶助の仕掛けの中に組み込まれ、機能不全に近づいていった。
また、1990年代初めのバブル崩壊以降、社会保障制度として先に取り込まれていた「日本株式会社」仕様とその産業構造、人口構造、家族世帯構造の変化、非正規雇用の蔓延や下請構造の拡大等による若年層の長期失業化・雇用機会の喪失、貧困・格差拡大など新たな社会問題が発生・継続。
こうした危機に対し、高齢化・少子高齢社会への対応以外に抜本的改革に取り組んでこなかった。
リーマンショックへの対応も、第二のセーフティネットという、それらしいが小手先の対応に終始。
生活保護以外の短期給付や貸付、ワークフェア主義へのしつこいばかりの誘導とサポート(らしきもの)。
それもこれも生活保護を「最後のセーフティネット」という位置に抑え込んできたため。
それさえも「不正受給」などを口実に攻撃され、基準は下げられつつある。
こう問題の本質、問題意識を列記しています。
しかし、少し文句を言わせてもらえるなら、高齢化・少子高齢社会への対応など、決して評価できるものではないことも強調しておくべきでしょう。
また、上記の社会状況に合った生活保護をという意味でしょうが、「時代は変化している」と捉え、それに応じた制度改正の必要性を語ります。
しかし、根本的な問題は、社会保障や社会福祉の理念・方針について、突き詰めて考え、望ましい在り方を長期的視点と合意形成に基づき、短期・中長期的な実現計画・実行計画にまで落とし込むことを怠っていたことにあるのです。
すなわち出発点に立ち戻って、本質的には実際には変わらずに存在・顕在する貧困・困窮・格差問題に向かい合っていなかったことを認識すべきで、時代の変化は、そうした本質・根源を写照したものだからです。
それが行われてこなかったゆえに、常に小手先の対応で済ませてきたのです。
どうも岩田氏の着眼は、そこかしこで、ずれている気がした本書でした。
ただ、以下も岩田氏の根源的な意識ですので、引用しておきたいと思います。
本書の主題は、格差を是正しつつ、そこから落ちないほうがよい生活の「限界」を明確につくること。
所得情報の明確化は、格差是正ばかりでなく、その最低限および最低限より少し上の低所得基準を明らかにしていくように用いられなければならない。

生活扶助の配分や条件を決めるべき「私たち」とは一体誰か、どのように決めるのかを問う
いよいよ本書のクライマックスです。
貧困解決において中心的な手段は所得保障である。
日々の暮らしのお金が足りないのに、サポートや自立支援ばかり強調するのはいい加減にすべきだ。
社会扶助は、貧困解決のために、もっと使えるように、社会保険や社会手当と組み合わせて、柔軟に配置したほうがよい。
そうしてはじめて社会保障が成り立つ。
生活保護を「公助」の代表のように扱うことがおかしい。
私たちの「共同財源」から配分されるものであり、その配分や条件は、私たちが決めるべきである。
この「私たち」が曲者です。
私たちには、岩田氏が入るのは至極もっともなことですが、そこの「私」も、この「私」も入れられるのか。
どこまでの「私」が、入るのか、入れられるのか。
その「私たち」は、どうやって解体再編された社会手当としての「生活扶助」の基準や金額や対象範囲を決めるというのか。
この「私たち」責任論は、結局、だれにも責任はなく、だれもこの問題に取り組まない状態に放置することになるでしょう。
そこかしこで、議論はなされるでしょうが。
名誉教授の役割はここまでということになるのでしょうか。
提案したひとりの「私」である岩田氏は、それ以外の「私たち」すべてにその役割・責任を委ねて。
ここまでの真摯な考察・提案に対しては、大きな敬意を払うものですが、その内容とその最後には、少しばかりの落胆を感じざるをえません。
なお、蛇足ですが、上述分の中の
「日々の暮らしのお金が足りないのに、サポートや自立支援ばかり強調するのはいい加減にすべきだ。」という言葉は、左派的立場の論者の社会保障・社会福祉制度、ベーシックインカムではなくベーシックサービス、あるいはベーシックアセット提案者にそっくりそのまま伝えたいところです。
井手英策氏提唱のベーシックサービス論については、こちらで
⇒ 『ベーシックインカムを問いなおす その現実と可能性』(2019年刊)より:<ベーシックインカム書から考えるBI論>記事シリーズ-4 (2021/10/22)
宮本太郎氏に拠るベーシックアセット論については、こちらで、それぞれ確認頂ければと思います。
⇒ 『貧困・介護・育児の政治 ベーシックアセットの福祉国家へ』(2021年刊)より:<ベーシックインカム書から考えるBI論>記事シリーズ-5 (2021/10/23)
※井出氏の論考については、本稿同様、過去のシリーズ記事を1つにまとめて、当サイトで公開します。
公開しましたら、本稿で紹介します。
宮本氏の論考については、先に当サイト内記事として紹介済みです。
⇒ ベーシックアセットとは何か|宮本太郎のBI論を徹底整理と批判的考察 – シン・ベーシックインカム2050論
次回、ベーシック・ペンション提案者による岩田氏解体論総括と比較論へ
解体が適切と考えた現行制度は、生活保護法に基づき運用管理されています。
その法律の改廃は、立法府によって可能であり、国会議員数が多数を占める政党が、その活動を主導するわけです。
だれを指すのか分からない「私たち」が、念力を用いて行なうわけではありません。
そのために「私たち」は先にやらなければいけないことがあります。
解体論考は、立法府に直接の活動の場を持つ政党や政治家に伝わり、理解・賛同を得て検討されることになるか、自ら政治イシューにすべく何らかの活動を行なうなどに展開される必要があります。
「私」も含めて、種々の論者は、そこを認識した上で、何かしらのアピールや行動を実践・実行すべきことを肝に銘じる必要があるのです。
以上で直接本書の内容を用いてのシリーズは終わりました。
本書全体を通しての総括は本稿では行わず、次回、8つの扶助の解体・再編提案の整理を踏まえ、ベーシック・ペンションとの総合的な比較と組み合わせて、行なうことにします。

多くの考え方を共有できる岩田生活保護解体論とベーシック・ペンション:『生活保護解体論』から考えるベーシック・ペンション-11(2022/1/30)
『生活保護解体論 セーフティネットを編みなおす』より-11|
<『生活保護解体論』から考えるベーシック・ペンション>シリーズ
第1回:本シリーズ方針
第2回:<序章 解体でみえる、最低生活保障の新たなかたち>より
第3回:<第Ⅰ章 生活保護という不思議な世界>より
第4回:<第Ⅱ章 国民皆保険・皆年金体制のなかの「低所得者対策」>より
第5回:<第Ⅲ章 解体・編み直しの戦略と指針 ー 「原理問題」を整理する>より
第6回:<第Ⅳ章 提案 どう解体し、どう溶け込ませるか>より-1:医療制度・介護制度、住宅手当課題
第7回:<第Ⅳ章 提案 どう解体し、どう溶け込ませるか>より-2:教育制度・子ども制度、高齢者・障害者制度課題
第8回:<第Ⅳ章 提案 どう解体し、どう溶け込ませるか>より-3:失業及び就労関連課題、最低生活保障課題
第9回:<終章 生活の「最低限」をどう決める>より-1 :最低限生活課題
第10回:<終章 生活の「最低限」をどう決める>より-2:ベーシック・インカム
第11回:『生活保護制度解体論』総括評価
前回で直接本書の構成に従ってのシリーズは終わりました。
最終回の今回は、8つの扶助の解体・再編提案の整理を踏まえ、ベーシック・ペンションとの比較と組み合わせて、総括を行なうことにします。
生活保護解体・編み直しの基本方針・特徴
本書本論から、私なりに、岩田氏の解体・編み直し論をまとめるに当たっての基本方針・特徴をすべてではありませんが、主だったものを整理してみました。
1.「生活扶助」部分のみを一般的かつ共通の「生活保護制度」として、その基準を見直す。
2.目的や対象が特定のものに限られる「特定扶助」である「住宅扶助」を除く他の6つの扶助は、それぞれ関連する他の社会保障制度等に組み入れ、それそれの財源方式に拠る。
3.「住宅扶助」は、新たに「住宅手当」制度を設け、運用管理する。
4.従来、生活保護を利用できなかった(しなかった人含む)低所得者を、それぞれの解体・再編制度においてもカバーできる制度とする。
5.財源問題には深く入り込まず、現状の各制度における財源に、新たに利用する低所得者の利用に必要な財源を加算することを基本とする。
なお、解体・編み直しがなぜ必要とするか、については、ここでは省略しました。
上記記事リストの第1回から第5回までで、確認頂ければと思います。
8つの扶助、それぞれの解体・編み直し案
それでは、解体・再編対象課題とされた、8つの扶助がどうなるか、整理したものを確認ください。
1.「生活扶助」は、
・高齢者・障害者への「国民年金制度」における「年金支援給付」
・求職者への「求職者支援給付」
を除いて、一般扶助による「生計扶助」を存続・改定し、単独運用・管理
(他扶助は他制度に移管し、個々に運用管理)
1)基本方針
① 高齢者・障害者の「生活扶助」は、国民年金制度内への「年金支援給付」の組入れにより支給
② 求職者の「生活扶助」は、求職者支援給付による(後述「生業扶助」参照)
③ それ以外の一般扶助による「生計維持給付」としての「生活扶助」
に転換・再構成される。
2)「生活扶助基準」に代わる新・生活保護基準設定方式の検討と基準額設定
① 最低生活基準および生計基準の再設計を行なうべく、さまざまな方式を参考に検討し、新たな生活保護基準を設定し、その適正額を算出する。
② 資産・貯蓄面から考慮すべき「家計運転資金」概念と「自由財産」概念を採用し、すこしのゆとりを持ちうる資力・資産基準も検討する。
3)基本運用基準
① 老齢年金開始年齢以降の高齢者の収入が最低基準以下の場合に支給
② 個人単位、夫婦単位を基準とする
③ 要件(ミーンズテスト):所得調査はなるべく税制度利用とし、信憑性のある課税資料把握と非課税基準の活用で簡易に。ただし公的年金の控除額は縮小
④ 資産調査:自宅以外の住宅所有は不可、預貯金は6ヶ月分程度
⑤ 給付は、現行生活扶助水準は下回らず、できれば平均の6割に
4)「障害基礎年金」を補完する「障害年金支援給付」および「福祉手当」制の導入
障害者最低生活保障としての障害基礎年金に残る、介助等の重要な生活ニーズの反映課題としての障害者加算分対応を次とする。
① 基礎的生活費は基礎年金を基本とし、不足する分は、補足的な障害年金支援給付を設ける。
② 多様な障害への「必要即応的」な対応を組入れ
③ 介護サービスもしくはそれをあがなう介護料については、「福祉手当」を支給
④ 要件:税制度における所得調査と一定の資産価値調査。障害の程度についてはなお検討が必要
5)生活保護利用母子世帯の子の<生活扶助>部分を「ひとり親世帯等基礎年金」へ転換
生活保護利用母子世帯の子の<生活扶助>部は、遺族基礎年金の「ひとり親世帯等基礎年金」に以下のいずれかの方式で転換する。
① A型:拠出方式 遺族基礎年金と同様
② B型:無拠出方式 ひとり親あるは親以外が子どもを養育する世帯へ、現在の基礎年金給付と同水準の給付(児童扶養手当は吸収)。所得調査ありだが、税制度から簡易に

2.「医療扶助」および
3.「介護扶助」は、国民健康保険・介護保険制度の運用に組み込み
1)国民健康保険・介護保険への組入れ方法の選択肢
① 選択肢ー1:(普遍主義の)国民健康保険・介護保険の枠組みの中に位置付ける。
② 選択肢ー2:(医療も介護も、保険制度を基本とし)保険料と自己負担をまかなうための社会扶助制度を国民健康保険および介護保険の一部に設定する。
③ 選択肢ー3: 現在の医療保障のなかの公費医療対策と合体して、公費医療制度Ⅰ、Ⅱを設計
2)国民健康保険・介護保険の枠組み内への組入れ方法
国民健康保険・介護保険の
① 低所得者対策としての法定保険料軽減策と高額療養費負担額の一部に、保険料免除と自己負担ゼロの区分を組み込む
② 高額療養費の規定において低所得区分を3区分化して適用
・低所得Ⅲ:負担ゼロ
・低所得Ⅱ:「特別該当」扱い。市町村民税非課税は所得割非課税として負担を軽減
・低所得Ⅲ:(現在の医療扶助に代わる部分として)公費負担

4.「教育扶助」は、学校教育法に規定する「就学援助制度」で適用移管する
1)基本方針
以下の、学校教育法第19条「就学援助制度」規定の適用で<教育扶助>は移管・廃止する
第十九条 経済的理由によつて、就学困難と認められる学齢児童又は学齢生徒の保護者に対しては、市町村は、必要な援助を与えなければならない。
2)就学援助の対象者
① 要保護者:生活保護法第6条第2項に規定する要保護者(2000年度 約10万人)
② 準要保護者:市町村教育委員会が生活保護法第6条第2項に規定する要保護者に準ずる程度に困窮していると認める者 (同年度 約123万人) ※認定基準は各市町村が規定
3)要保護者等に係る支援
・補助の概要
市町村の行う援助のうち、要保護者への援助に対して、国は、義務教育の円滑な実施に資することを目的として、「就学困難な児童及び生徒に係る就学奨励についての国の援助に関する法律」「学校給食法」「学校保健安全法」等に基づいて必要な援助を行う。【要保護児童生徒援助費補助金】
※ 生活保護基準の見直しに伴い、できるだけその影響が及ばないよう、平成30年度当初に要保護者として就学支援を受けていた者等については、生活保護基準の見直し以降も引き続き国による補助の対象となっている。
・補助対象品目:学用品費/体育実技用具費/新入学児童生徒学用品費等/通学用品費/通学費/修学旅行費/校外活動費/医療費/学校給食費/クラブ活動費/生徒会費/PTA会費/卒業アルバム代等/オンライン学習通信費
・国庫補助率:1/2(予算の範囲内で補助)
・令和3年度予算額:約5.9億円 (令和2年度予算額 : 約6.3億円 )
4)就学援助制度転用上の課題
教育扶助では対象とならない<修学旅行費>もカバーする「就学援助制度」の一元化に伴い、以下の課題を調整。
1)その財源が市町村の一般財源
2)そのため、援助の内容や程度に地域差が大きい
3)多くの場合、学校を通して申請が行われる
国が制度・財政等一元管理するが、事務は市町村へ。

5.「住宅扶助」は、新たに、低所得者にも適用拡大可能な「住宅手当制度」を創設・運用する
1)「住宅手当」創設及び基本方針
① 生活困窮者自立支援制度の「住宅確保給付金」事業を拡張・恒久化して、低所得層までカバーする「住宅手当」として創設
② 労働政策と切り離し、純粋な住宅手当として高齢世帯も含めた全世代型の政策に
③ 生活保護における期間の制限は廃止
④ 一定の収入・資産要件を設け、持家、社宅、企業からの家賃補助がある場合は除外
⑤ 実勢家賃の定期調査から、公正家賃の水準を把握して手当額を決定
⑥ 段階的には、住宅扶助の単給化からスタートする方法も
2)住宅手当制度の所管と財源問題
① 新設制度の所管は、認定・給付行政は厚生労働省主体、家賃情報などは国土交通省責任、実施は都道府県の住宅局とする。
② 必要財源は、2019年度の実績数値から
・住宅扶助5942億円+住宅対策諸費=6000億円 ・低所得世帯を含む住宅手当必要世帯推計180万世帯 などから
総額8500億円を想定

6.「生業扶助」は、「求職者支援法」の<職業訓練受講給付金>を利用し「求職者支援給付」として支給
1)目的及び方針
<生業扶助>は、本来雇用保険の失業手当とは関係なく、自立を助長し、生業を得るため、就労活動をすることを支援する、一時的扶助。
生業扶助として規定されている技能習得費・就職支度金を、「求職者支援法(職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律)」に規定する「職業訓練受講給付金」で代替し、「求職者支援給付」として支給する。
2)支給基準及び条件
① 現行生活扶助レベルを支給
② 単身を単位として扶養家族数を加算
③ 簡易な所得調査と資産調査を実施
④ ハロートレーニングの前に一定期間のキャリア・カウンセリングを受ける
⑤ ハロートレーニングの受講費、テキスト代、受講交通費を支給
7.「出産扶助」および 8.「葬祭扶助」は、<一時扶助>として
<一時扶助>として括り、以下のように、現行一時扶助+季節扶助(冬季加算の置き換え)+入学試験等費用に
1)出産扶助:出産および周産期医療の幅広い手当に吸収
2)葬祭扶助:行旅病人死亡法などとも調整し、自治体に一元化
3)季節扶助:生活保護加算のうちの冬季加算に夏の冷房費もカバーして一時扶助に

べーシック・ペンションと岩田生活保護解体・再編論比較
このテーマには、少々事務的に、以下箇条書きで整理してみました。
<共通点>(違いの部分も含め)
1.関連社会保障制度の改正と連係化・一体化
2.住宅保障制度の新設:岩田論では「住宅手当制度」、BP論では「厚生住宅制度」または「住宅保障制度」
3.生活保護適用範囲の拡大・拡充化:岩田論では生活保護基準以外の低所得者を含む。ベーシック・ペンションは全国民
4.制度簡素化:岩田論では新・生活保護制度(または「生活扶助制度」)として。ペーシック・ペンションは、生活保護制度廃止で。
5.国民皆保険・皆年金制の確立:岩田論では無所得者は適用されないことがあるが国民皆保険・皆年金指向。ベーシック・ペンションではそれ自体無拠出の皆年金制及び岩田論援用による皆保険制
<違い>
1.岩田論は、貧困・低所得者支援政策として、ベーシック・ペンションは、基本的人権として全国民への無拠出年金制度として
2.岩田論では、資力調査(ミーンテスト)問題やスティグマ問題は、審査等を簡素化するとしているが、再編された各扶助においても残る。ベーシック・ペンションでは、厚生住宅制度の運用管理基準を除けば、なくなる。
3.生活保護<教育扶助>は、ベーシック・ペンション では、「教育基礎年金」として、すべての学齢15歳以下の児童(乳幼児含む)に、児童(扶養)手当も含めて増額・移管し、廃止される。
4.ベーシック・ペンションでは、雇用保険の求職者給付(失業手当)を改定することも考えられる。
5.ベーシック・ペンションでは、健康保険(国保・職域双方)と介護保険の統合・一体化も検討課題に。
6.ベーシック・ペンションにより、国民年金の老齢基礎年金部分が、無拠出の高齢者基礎年金に置き換えられ、厚生年金保険が賦課方式から積立方式に変更することで、保険料負担を軽減できる。
7.その一部は、健康保険・介護保険保険料に充てることで、保険財政の安定化に寄与できる。
8.岩田論では、「住宅手当」を除き、基本的に財政・財源は、現状の諸制度でのもので充当するとしている。ベーシック・ペンションでは、税・保険料及び国債に拠らない、国(日本銀行)の通貨発行権に基づく、専用デジタル通貨でまかなう。
初回は、これまでとし、以後必要に応じ、書き加えて参ります。

<『生活保護解体論』から考えるベーシック・ペンション>シリーズ、最後に
相当気合が入った、真摯に取り組まれた岩田氏の論述でした。
生活保護を本来運用すべき他の社会保障制度・労働制度への再配置と残る根源的な貧困・困窮政策としてのものとに切り分け、分かりやすく、簡素に、という意図をもった取り組みでした。
しかし、切り分けることで、分かりやすくなる面と、逆に煩わしくなる面、双方があると考えます。
現状の生活保護制度が、本来の主旨に忠実に運用管理されていれば、ワンストップ制度として機能する可能性も高かったのかもしれません。
しかし、そうではない、ひどい状況が、一層課題を大きくしていることに違いなく、解体論もやむなし、というか必然とも言えるでしょうか。
当初から貧困・困窮者のための生活保護制度を、低所得者も広くカバーすべく解体・編み直しを図ったことは十分理解できることです。
とはいうものの、提言中、平時にあっても災害やパンデミックなどのリスクを抱える人々の備えとしての、セーフティネットとしての新しい生活保護・生活支援制度の必要性を示すように、ここでの種々の議論・考察・提案は、ベーシック・ペンション提案の目的・主旨と重なる部分が多々あります。
ならば、そうした備えを、望ましい究極の一つの形、制度、文化として構築しようというのがベーシック・ペンションです。
ということで、今回の解体論で示されたいくつもの意義深い考え方・提案を参考にし、ベーシック・ペンションの未整備・不明確で、かつ懸念される課題の考察・深堀り、提案の形成・構築に結び付けていきたいと考えています。
また、本論中では、社会扶助と社会保険との関係での論述も大きな意味を持つものでした。
しかし、その考え方の根底には、現状の欠陥ばかりの社会保障制度・社会福祉制度の硬直化に直結する「税と社会保障の一体化」「財政規律主義」にがっちり固められた状況、認識があります。
その前提で語ると、どうしても、筆者も時々用い、批判的にみていた「小手先」の対策・政策に戻ってくるため、本稿ではあまり触れませんでした。
加えて、岩田論では、財政保守を基本としていることに比し、ベーシック・ペンションでは、ある意味では財政論から離れての議論・考察であることもしっかりお伝えしておく必要があります。
本件については、別稿での課題とさせて頂きます。
なお今回のシリーズでは、読み取る力のなさ、粗っぽい理解・断定などで、誤解・曲解が多々あったと思います。
すべて私の責として、そうした点のご指摘やご指導を頂ければ、今後考察の糧とさせて頂きたく存じます。
宜しくお願いします。
最後に岩田正美氏に心から感謝を!

『生活保護解体論 セーフティネットを編みなおす』 全体構成
序章 解体でみえる、最低生活保障の新たなかたち
1.パンデミックと「最後のセーフティネット」
・都内バス停にて ーホームレス女性殺人事件
・パンデミック下の生活保護利用と特別定額給付金
・「現金一律給付」と生活保護制度
2.誤解とマイナスイメージ
・社会扶助としての生活保護
・生活保護が増えると国の底が抜ける?
・高齢・単身利用者の急増
3.「必要な人」にどのくらい利用されているか
・生活保護が「必要な人」とは?
・ 生活保護は捕捉率が大事
4.もう生活保護は解体して出直したほうがいい
・近年の危機と第二のセーフティネット
・なぜ「最後のセーフティネット」であることにこだわるのか?
・生活保護の八つの扶助は、異なった生活ニーズに対応している
・「低所得者対策」と生活保護の関係を解きほぐす
5.これまでの改革案 ー 再構築の道筋
・生活保護改革案
・全国知事会・全国市長会の新たなセーフティネット案
・全国知事会・全国市長会提案と「わたしは、ダニエル・ブレイク」
・なぜ自治体は生活保護を押さえ込みたいのか
・提案にあたっての二つの原則
・カテゴリー別「制限扶助」の弊害
・ 本書の構成
第Ⅰ章 生活保護という不思議な世界
1.生活保護とはどういうものか?
・生活保護の目的と責任
・「誰」が利用できるか ー無差別平等
・必要な生活費をどう計算しているか
・資産調査(ミーンズテスト)と他の要件
・「親族扶養」はマストなのか?
・日本的特徴 ー新しい考えと古い考え
2.古い「貧困理解」と、生活保護としての不徹底
・「生活困窮者」への「全一的」保障という設計
・貧困の原因を区別する
・社会保障と社会福祉のあいだで
3.運営の二重原則
・申請保護/職権保護
・世帯単位/個人単位(世帯分離)
・ 基準表/必要即応
・非現実的な「すべて現物給付」
4.具体例で考えてみると
・A子さんの保護申請と要否の判定
・医療・介護の計上の仕方と収入充当順位
・生活保護は「差額」の支給にすぎない
・貧困の大きなファクターとしての医療費
5.いくつかの謎 ー 生活扶助の「加算」と住宅扶助基準
・生活扶助と加算
・年金・手当に連動した加算の再配置
・「特殊需要」というロジックのあいまいさ
・障害者加算の複層構造と「その場限りの需要」
・さらに不思議な住宅扶助基準
・住宅の特別な位置
6.何が社会扶助の保障機能を弱めているか
第Ⅱ章 国民皆保険・皆年金体制のなかの「低所得者対策」
1.社会保険と社会扶助
・ベヴァリッジ報告と社会保険中心主義
・奇跡か、冒険か
2.国民皆保険と「低所得者対策」
・生活保護利用者の国保「適用除外」
・国民健康保険の基本問題 ー三重の均質性の欠落
・低所得層への保険料の軽減・減免策と高齢者医療無料化
・国保加入世帯の半数以上が保険料軽減対象
・高額療養費「特例該当」と医療扶助単給
3.国民皆保険の保険料免除・軽減制度と福祉年金
・「基礎年金」は「最低生活費」を意味していない
・国民年金の低所得者対策 ー福祉年金としてのスタート
・二つの福祉年金
・国民年金の保険料免除・軽減策
・「皆保険・皆年金」内部の低所得者対策の意味
4.「皆保険・皆年金」以外の低所得者対策
・生活保護への移行を防止する「境界層措置」
・「ボーダーライン層」への貸付制度と第二のセーフティネット
5. 低所得基準と生活保護基準
・多様な「低所得者」の定義
・「基礎控除」と「非課税限度額」 ー何が違うのか?
・ 基礎控除、「非課税限度額」、生活保護基準はどのような関係にあるのか
・低所得基準は保護基準より上でなければおかしい
第Ⅲ章 解体・編み直しの戦略と指針 ー 「原理問題」を整理する
1.基礎的生活ニーズに着目して八つの扶助をグループ化する
・義務教育なのに生ずる教育費用
・社会生活の基盤としての住宅扶助と、情報インフラの重要性
・医療・介護はなぜ現物給付か
・「妊娠・分娩・産褥・新生児管理」と出産扶助
・出産期の女性を支える包括的な施策が必要
・「死後の保障」としての葬祭扶助
・増加する葬祭扶助
・自立助長のための生業扶助
・一歩手前での対応が可能な制度設計に
・日本の既存の制度体系の中に溶け込ませる
2.原理問題(1)保険と扶助の区別をどう考えるか
・社会保険と社会扶助の教科書的整理
・公助・共助・自助
・保険と扶助は共に「互恵的」なもの
・社会保険は「対価的」というより、はじめから「社会的賃金」
・保険料を税的に使う ー社会保険における支援金
・社会保険は「共助」で税による生活保障は「公助」なのか?
3.原理問題(2)普遍と選別の多様性と「選別的普遍主義」
・目標はあくまでも問題解決
・普遍主義の枠組みの中に選別政策を配置する
・「選別的普遍主義」というありかた
・国民皆保険・皆年金の低所得者対策と選別的普遍主義
4.時代の変化に対応した制度に ーその他の課題
・「多様な働き方」に中立的な社会保険の改革を
・対象は国民限定か ー国際的な相互関係のなかで
第Ⅳ章 提案 どう解体し、どう溶け込ませるか
1.医療・介護サービスニーズの「標準」保障
・生活保護費のほぼ半分は医療扶助
・医療や介護サービスはなぜ「標準化」されるのか
・二つの編みなおし案
・医療扶助と国保合体への反対論
・「無料低額診療制度」「行旅病人死亡人法」
・医療扶助と介護扶助の編みなおし 二つのイメージ
2.住宅手当の新設
・住宅手当のない国・日本
・住宅手当こそ全世代型社会保障の代表だ
・施設や宿泊所の問題
・一時的なダイレクトシェルターは必要だが、「ホームレス施設」はいらない
・英国の住宅手当と施設
・「住居確保給付金」を拡張し、恒久化する
・ 公正家賃という考え方
・国交省か厚労省か、財源をどう考えるか
・住宅手当創設の提案のイメージ
3.教育扶助の解体と子ども養育費の保障
・就学援助支援制度を発展させる
・一元化にあたっての三つの課題
・高校・大学も視野に
・子どものいる世帯の生活費への配慮 ー児童手当と児童扶養手当
・「ひとり親」による子の養育への支援に
・ 遺族基礎年金を「ひとり親世帯等基礎年金」へ
・ ひとり親世帯等基礎年金の提案のイメージ
4.高齢期・障害のあるときの生活扶助はどうするか
■ 高齢期の場合
・個人単位+夫婦(ペア)単位で設計する
・高齢世帯の資産の考え方
・高齢期における生活扶助のイメージ
■ 障害のあるとき
・障害年金で「なんとかなる」のか?
・日本の障害年金認定の特徴は
・所得保障の確立が意味すること
・障害者加算分を「福祉手当」に
・保護の決定状況からみた不足額
・障害のあるときの最低生活保障のイメージ
5.失業時の生活保障と就労支援 ー求職者支援制度の全面改定
・失業=貧困とならないために
・失業給付の中心 ー「求職者給付」の基本手当
・保護行政の「ねじれた反応」
・二つのハロトレくんと生活保護
・求職者支援法の給付金を、「求職者支援給付へ」
・求職者支援制度における求職者支援給付の提案
6.多様な方法での最低生活保障を
・「生計維持給付」としての「一般扶助」の存続と一時扶助
・利用者自身がニードを組み立て、保障を請求できる制度に
終章 生活の「最低限」をどう決める
1.生活の「最低限」の意味と保障水準
・残された問題
・妥当な「公的貧困線」として機能する制度 ー政府のMIS
・G-MISとしての生活保護
・生活扶助基準改定の「妥当性」とその変遷
・最低生活は相対的なもの
・格差縮小への合意の時代から「水準均衡」の確認へ
・「格差の時代」の扶助基準の引き下げ圧力
2.唯一正しい最低生活費算定の方法があるわけではない
・新たなマーケット・バスケット方式による算定
・日本での取り組み
・別のアプローチ ー主観的生活費の研究
・低所得単身世帯の把握と家計実態アプローチの可能性
・複数の基準から生活保護基準を検証
3.「資産ベース」の福祉へ ー転換は可能か?
・資力調査か、課税資料か
・個人単位を原則に
・世帯認定と扶養問題
・人間の生活にそくした家計の見方を
・家計における「運転資金」の意味
・破産法における自由財産の考え方を参考に
・資産は「プラス思考」で
・社会扶助の効果を高めるという発想
4.ベーシック・インカムのほうが早い?
・パンデミック以後のリアリティ
・所得保障は完璧な手法ではない ー方法がすべてを解決するわけではない
・公共財としての所得保障
・「共同財源」と「私の家計」をリンクさせていくことが重要
・時代は変化している

「『生活保護解体論』から考えるベーシック・ペンション」シリーズ統合化を終えて
ベーシックインカム実現の壁超克シリーズの取り組みへ
当サイトは、2026年1月に開設しました。
本稿で取りあげた岩田氏の著書を基にしてのシリーズ記事は、ベーシック・ペンションという名称を用いたWEBサイトで、2022年に投稿したものです。
⇒ 日本独自のBI、ベーシック・ペンション – すべての日本国民に、生涯支給されるベーシックインカムを!
同サイトは、2023年7月を最後に、新規の記事投稿を停止。
新たに当サイトを開設し、ベーシック・ペンションを「シンBI2050」という一種のコードネームに置き換えて、当初の構想を強力に推し進めています。
その中で、2050年迄の完全導入をめ座すべく、多面的に取り組んでいます。
その取り組みについては、当サイトのメニューで確認ください。
本稿は、先の休止中のサイトに投稿した過去記事を、テーマごとに整理し、その中のシリーズ記事を1記事に集約する取り組みの一環としてのものです。
そしてこの新サイトの中軸にしているのが、【ベーシックインカム実現の壁超克】シリーズ。
全部で8つの壁を設定。
4月には、「財源・財政問題の壁」、5月に「マクロ経済問題の壁」をテーマにして投稿。
6月には、本稿も関係している「社会制度問題」に取りむ予定です。
投稿を終えましたら、本稿で、お知らせと紹介をと考えています。
8つの壁について詳しくは、こちらで確認頂けます。
参考までに、4月5月に投稿した壁シリーズリンク記事をリスト化しました。
関心をお持ち頂けましたら、ぜひ確認頂ければと思います。
【財源・財政問題の壁超克シリーズ】記事リスト
- ベーシックインカムに財源は必要か|財源問題をBI視点でシン定義する – シン・ベーシックインカム2050論
- ベーシックインカムは財政問題なのか|財政とは何かをBI視点でシン定義する – シン・ベーシックインカム2050論
- ベーシックインカムは通貨発行から成立するのか|通貨と財政構造をBI視点でシン定義する – シン・ベーシックインカム2050論
- ベーシックインカムは特別会計で成立するのか|日本の財政構造と資金の流れをBIの視点からシン定義 – シン・ベーシックインカム2050論
- ベーシックインカムはデジタル通貨で成立するのか|デジタル通貨と通貨設計をBI視点でシン定義する – シン・ベーシックインカム2050論
- 財源・財政問題の壁のシン定義|ベーシックインカムは「財源問題」ではない(シリーズ総括) – シン・ベーシックインカム2050論
【マクロ経済問題の壁超克シリーズ】記事リスト
- マクロ経済とは何か|シンBI2050が越えるべき過剰流動性問題の出発点 – シン・ベーシックインカム2050論
- マクロ経済学シン視点と過剰流動性問題戦略によるシンBI2050|過剰流動性とは何か – シン・ベーシックインカム2050論
- マクロ経済学シン視点と過剰流動性問題戦略によるシンBI2050|インフレはなぜ起きるのか – シン・ベーシックインカム2050論
- マクロ経済学シン視点と過剰流動性問題戦略によるシンBI2050|為替とは何か – シン・ベーシックインカム2050論
- マクロ経済学シン視点と過剰流動性問題戦略によるシンBI2050|シンBI2050のマクロ設計 – シン・ベーシックインカム2050論



