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テーマ別シリーズ記事

日本国民の基本的人権に基づく生活保障のための生活基礎年金法(私案)―― 2020年時点の構想・とりまとめ版

「日本国民の基本的人権に基づく生活保障のための生活基礎年金給付に関する法律」(別称「ベーシックインカム法」)私案シリーズ|2020年9月投稿記事集約版

本稿は、過去投稿してきたベーシック・インカム関連記事を基にして、法律試案として整理し、初めてまとめた、
2020年時点における筆者の構想・論考を整理・集約した「2020年版とりまとめ案」です。
その後の社会状況の変化や議論の進展を踏まえた 2022年版の集約・再構成記事 は、別途公開予定です。

※本記事は、Webサイト、https://basicpension.jp で公開している、ベーシックインカム「生活基礎年金法(略称)」私案シリーズの12記事を、当サイト「シン・ベーシックインカム2050論」に、重複を整理しつつ一つに集約・統合・加筆修正した“改訂版”です
旧記事は、内容の重複を避けるため、順次、非公開化/リダイレクト/canonical設定などで整理します(検索エンジン向けにも重複を残さない運用を行います)。

日本国民の基本的人権に基づく生活保障制度とは —— 生活基礎年金法(ベーシックインカム法)私案総覧

ベーシックインカムを巡る議論等に関する私の現状認識

 当サイト(当時2050society.現在廃止)の運営基本方針・目的として、2050年の望ましい社会実現のための種々の提案を設定しています。
 その中で、最も重要で、不可欠なものとして、すべての日本国民が、生まれてから死を迎えるまで、安心して日々の基本的な生活を送ることができる給付金を、国から受け取ることができる、ベーシックインカム制の導入を提案していきます。
 べーシックインカムに関しては、新型コロナウイルス感染症パンデミックを契機にして、日本では、特別定額給付金の支給で、他の複数の国・地域での、実験的なものも含め、ベーシックインカム及びその性格に似た制度の導入により、注目されるようになりました。
 しかし、現状、ベーシックインカムをめぐる議論や取り組みは、多様・多面的に取り上げられ、一つに統一されるに至ってはいません。
 いずれの取り組み・活動においても、一つの制度モデル案としてまとめられてはいませんし、現実に制度として継続して運用され、定着している事例及びその報告もありません。

 日本でも、一部政党や議員選挙の立候補者レベルで、公約的に掲げられることもあり、コロナ禍で以前に増して注目を集めつつあることは確かです。
 しかし、未だ一つの方向に向かって、建設的に議論検討されるまでにも至っていません。
 SNS等を見ても、単発的な発言や、妄信的な発言、他国の導入情報紹介、信じる者同志による布教活動的発言及び会合などが散見されます。
 そして、同時にそれらに対する反論、そのまた反論、が応酬されるような、ある意味不毛な時間の消費の域から出ていないようにさえ感じます。

ベーシックインカム法案としての私案作成に向けて

 ベーシックインカムの導入は、当然、国会に法案が提案され、審議され、賛成多数で可決され、施行されるという手順・手続きを踏んで初めて実現するものです。
 従い、政治の場に持ち込まなければ話になりません。
 そこまでの戦略・戦術が必要です。
 そのためには、当然、導入するベーシックインカムについて、法律で規定し、その法律を読めば、どういう制度か、どのように導入され、どのように利用できるのかなど、その制度の詳細について法令として条文化されなければいけません。
 その法案は、国会議員か、議員の所属する政党か、内閣の首相または担当相の指示を受けた官僚・官庁が立案します。
 あるいは、一般国民や学者や研究機関などが、その原案的なものを提起し、それを目にした内閣・政党・国会議員などが、それらを参考にして、必要な活動を展開する方法もあります。
 また、内閣得意の、専門の諮問機関を設置して、議論検討し、提案を求めるのもあり、というわけです。
 いずれにしても、いろいろ議論・応酬ばかりしていても、政治の舞台に引き上げなければ、いつまで経っても画に描いた餅に過ぎないことは、だれでも分かることです。

 これまで個人的に、ベーシックインカムについて種々思うところを当サイトで書き連ねてきました。
 が、ここらで、政治過程に少しでもアプローチしやすくなるよう、わが国にベーシックインカム制を導入することとした場合、どのような法律案を作成して審議段階に持ち込むか、私的法律案、私案としてまとめることにしました。
 これを、国会において審議される段階に持ち込む、何段階か前の議論の材料にすることが目的です。
 従い、これまで投稿してきた、本稿の最後にリスト化した過去の記事は、あくまでも私論であり、今後の法律私案で掲げていく内容とは異にする、あるいは矛盾する点もあることをご了承ください。

「日本国民の基本的人権に基づく生活保障のための生活基礎年金給付に関する法律」(略称「生活基礎年金法」)私案構成案

前文
 
前文その1 本法制定の背景
 前文その2 本法の構成
第1章 総則
 
第1条 目的
 第2条 定義
 第3条 方針
 第4条 対象者 
 第5条 所管 
第2章 給付金の管理方式
 
第6条 給付金管理所管
 第7条 給付金形態 
 第8条 受給口座
 第9条 特例管理方式
第3章 給付金の給付・利用方式
 
第10条 基礎年金の種別
 第11条 生活基礎年金の給付方法
 第12条 児童基礎年金の給付方法
 第13条 生活基礎年金の利用方法
 第14条 児童基礎年金の利用方法
 第15条 利用先登録 
 第16条 利用先の給付金の取り扱い
 第17条 利用有効期間
 第18条 権利資格喪失時の取り扱い
 第19条 利用禁止事項
第4章 給付金の財政管理方式
 
第20条 給付金の基礎財源
 第21条 給付金の二次的財源
 第22条 給付金の予備的財源
 第23条 給付金の回収及び消却
 第24条 給付金特別会計
第5章 社会保障制度体系との関係
 
第25条 総合的社会保障制度と本法の位置付け
 第26条 厚生年金保険制度との関係 
 第27条 雇用保険制度との関係
 第28条 健康保険制度との関係
 第29条 社会福祉制度との関係
 第30条 その他の社会保障制度との関係
第6章 その他
 
第31条 罰則
 第32条 特例規定
 第33条 本法関連法令
 第34条 本法規定外関連事項の取り扱い
付則
 
1.本法施行日
 2.本法施行計画及び日程
 以降、順次必要事項付加

「生活基礎年金法」(別称「ベーシックインカム法」私案作成においてのお願い

 なお、上記体系は、現時点での構想レベルでの案です。
 当初の章建ては、サイトメニューのカテゴリー<BASIC INCOME>のサブカテゴリーの構成とほぼ一致させています。
 規定条文案を整備・作成しながら、必要に応じて、章建て・条建てを含め、追加・変更・削除などを行います。
 そのため、当初の構成が次第に変化していくことをご了承ください。
 条文案は、上記の構成順・条項順に作成するものではなく、アトランダムに作成を進めていくことも合わせてご了承ください。
 その作成においては、以下の投稿で示した方針に沿って、作業を進めていきます。
同床異夢のベーシックインカム論から共通性を見出す:BI導入シアン-22
社会保障制度の根幹として、日本独自のベーシックインカム制構築へ:BI導入シアン-23

 なお、条文だけでは理解することが難しい場合、あるいは規定としてではなく、理解するためにより詳しく説明しておくべきことなどを、書き添え、書き加えていく予定です。
 そのために、カテゴリーに、<解説・補足>という項目を設定し、活用していきます。
(中略)
 今後ともどうぞ宜しくお願いします。

当サイトにおけるこれまでのベーシックインカム私論集

(参考):<BI導入シアン>シリーズ

1.所得がある個人を別人格とみなす社会経済システム
2.現状の年金生活者もベーシック・インカム受給者のようなもの
3.中国がベーシック・インカム制を導入したら
4.公務員の給料の一部は、ベーシック・インカム性を持つ
5.働く人の格差是正と安心を目的としたベーシック・インカム
6.不測の事態に備え、機能するベーシック・インカム
7.夢のある人、夢の実現をめざす人のためのベーシック・インカム
8.高額納税者も当然の権利として受け取るベーシック・インカム
9.ベーシック・インカム制導入で国民年金制度は廃止へ
10.所得税を主財源とするベーシック・インカム制で所得税法改正へ
11.週刊エコノミスト「ベーシック・インカム入門」で終わらせないために
12.ベーシック・インカム制と同時に改革・導入する社会保障保険制度
13.ベーシック・インカム制導入に伴う厚生年金保険制度改革
14.ベーシックインカムは独自の電子通貨で支給・管理を
15.ベーシックインカムとは最低所得保障か
16.ベーシックインカムの適正額はいくらか
17.ベーシックインカム制は、大家族化・多子家族化を招くか
18.ベーシックインカム導入で予想される社会構造の変化
19.日本在住移民・外国人へのベーシックインカムをどうするか
20.ベーシックインカム導入で行なうべき雇用保険改革
21.MMT論から考えるベーシックインカム制
22.同床異夢のベーシックインカム論から共通性を見出す
23.社会保障制度の根幹として、日本独自のベーシックインカム制構築へ

(参考):2050 SOCIETY ベーシック・インカム論ラインアップ

◆ 憲法で規定された生存権と「社会保障」:全世代を対象とする社会保障システム改革-1
◆ ○○手当は○○年金!?:全世代が年金受給機会を持つ社会保障システム改革-2
◆ 所得者全員が年金保険料を!:国民年金の厚生年金統合による社会保障システム改革-3
◆ ベーシック・インカム制の導入を!
◆ ベーシック・インカム生活基礎年金の年間総額、216兆円
◆ ベーシック・インカム生活基礎年金はポイント制で
◆ ベーシック・インカム「生活基礎年金制度」続考
◆ 社会保障保険制度試論
◆ ヘリコプターマネーではなく、ファンダメンタルマネー:全国民受給のベーシック・インカム制へ
◆ 母子家庭の貧困、子育て世帯の不安、結婚し子どもを持ちたい人たち、すべてに機能するベーシック・インカム制の議論・検討を
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◆ ベーシック・インカムとは-1:歴史から学ぶベーシック・インカム
◆ ベーシック・インカムとは-2:リフレ派原田泰・前日銀政策委員会審議員から学ぶベーシック・インカム
◆ ベーシック・インカムとは-3:AIによる脱労働社会論から学ぶベーシック・インカム

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本稿は、WEBサイト 2050SOCIETY投稿記事を転載したものです。
当ベーシックインカム、ベーシック・ペンション専用サイト http://basicpension.jp は2021年1月1日に開設しました。
2020年から上記WEBサイトで、ベーシックインカムに関する考察と記事投稿を行っていました。
そこで、同年中のベーシックインカム及び同年12月から用い始めたベーシック・ペンションに関するすべての記事を、当サイトに、実際の投稿日扱いで、2023年3月から転載作業を開始。
数日間かけて、不要部分の削除を含め一部修正を加えて、転載と公開を行うこととしました。
なお、現記事中には相当数の画像を挿入していますが、当転載記事では、必要な資料画像のみそのまま活用し、他は削除しています。

「日本国民の基本的人権に基づく生活保障のための生活基礎年金給付に関する法律」(別称「ベーシックインカム法」)私案シリーズ-1

 本法「日本国民の基本的人権に基づく生活保障のための生活基礎年金給付に関する法律」(別称「ベーシックインカム法」)の制定・施行を前提とした時、そこに至る社会経済的要因・状況などさまざまな背景・経緯などを整理し、この法律の意義・合理性・重要性を理解するために、前文を以下に記します。

憲法に規定する最低限度の生活を営む権利

 日本国憲法第11条に定める「基本的人権」、第13条の「幸福追求権」、および第14条の「法の下の平等」に準じて、同第25条で、
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
二、国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

と規定しています。
 これらの条文に基づき、種々の社会保障及び社会福祉に関する制度・法律が制定され、運用されていますが、その多くにさまざまな現状の社会や社会経済にそぐわない課題が存在することを共通認識とすべきと考えています。

生活保護制度の運用と実態

 憲法第25条に規定する「最低限度の生活を営む権利」を保障する社会福祉制度の一つに、「生活保護制度」があります。
 しかし、この生活保護制度の運用について、受給要件を満たす人の多くが、受給申請手続きを行わず、実質的に生活保護受給世帯よりも困窮した生活を送っていることが問題になっています。
 いわゆる捕捉率の低い理由として、受給要件の審査段階における手続きの複雑さ、審査基準や担当官の公平性を欠く恣意性・態度などが挙げられており、法の下の平等性を欠く運用が行われている現状があります。
 また、その審査・給付などには、行政上相当の費用が支出されていることもあります。
 その行政改革も含めて、生活保護法に替わる、最低限度の生活を営むための社会保障制度を新たに導入することも視野に入れる必要性もあります。

少子化社会の要因としての結婚・出産・育児等に対する経済的不安

 2019年の合計特殊出生率が1.36を記録し、年間の出生数は87万人割れし、人口減少数も50万人超と、11年連続で減少を続けています。
 この少子高齢化と人口減少が継続して進む日本社会において、何らかの有効な手立てを打つことが不可欠な状況にあります。
 特に、非婚化及び未婚率の上昇、晩婚化による出産数の減少、平均理想子供数と平均予定子供数、そして完結出生児数の差など、少子化の直接的な要因の背景には、その営みのために必要な収入・賃金など、経済的な不安があることが指摘・認識されています。
 これも、最低限度の生活を営む権利を行使するための経済的条件が満たされない状況が、社会に大きく広がっているためと言えます。

非正規労働者の増加と雇用及び経済的不安の拡大

 長く実質的な経済成長の減速・停滞が続く中、企業は、経営リスクの抑制・回避のため、非正規雇用者の比率を高め続けてきています。
 雇用の安定が、経済成長の維持・実現に寄与することから、政府も非正規雇用者の正規雇用への転換を進める施策等に取り組んできていますが、経営環境と将来予測から、企業の取り組みは大きくは改善されていません。
 そのため、非正規雇用で働く人の多くは、低賃金や長時間勤務など、自身が望む働き方とは異なる厳しい労働条件・環境で働くことを余儀なくされています。
 それは、現在と将来に対する生活への不安を増幅させるものです。
 単身者の非正規労働者はもちろん、夫婦共働き世帯において、一方または双方が非正規雇用に甘んじている場合も同様です。
 こうした社会経済構造は、婚姻率の低下、少子化、育児や介護と仕事の両立などの困難化など、さまざまな負の影響をもたらすため、対策が必要とされていますが、一朝一夕で行われるものではなく、対症療法的な方法以外の抜本的な対策も検討されるべきでしょう。

母子世帯・父子世帯の困窮支援の必要性

 先述した、生活保護受給要件を満たすけれど申請せず、困窮した生活を送っている母子世帯・父子世帯への支援も、現状十分に行われているとは言えない状況です。
 これらの世帯では、先に述べた非正規職として働かざるを得ない親も多く、当然育児と仕事の両立が困難で、現状と将来への不安を解消する目処・当てがないままの不安な生活を送っている例が非常に多く報告されています。
 子どもの数や成長段階に応じた多様かつ柔軟な支援とともに、基本的には経済的な不安を取り除く施策が求められています。

保育職・介護職等社会保障的職業の労働条件等を原因とする慢性的人材不足

 また、潜在的保育士や潜在的介護士が数多くいるにも拘らず、慢性的に人材不足となっている、保育や介護の現場があります。
 どの職業も、厳しい労働条件・労働環境での職務を余儀なくされ、離職率も高く、有効求人倍率も高いまま推移しています。
 他産業・他職種との賃金格差もなかなか縮まらず、国がその一部を補助金として支出していても大きな変化・改善はありません。
 こうした社会保障的分野の職務・職業は、本質的に高い労働生産性を求めることは難しく、法律上規定された適正要員数の配置の必要もあり、事業者にその責任を負わせることには無理があります。
 これらの公的な仕事に就く人たちの賃金は、公務員レベルに満たず、企業努力、本人の自助努力に依存することには矛盾があり、従来とは異なる公的支援を必要とする状況にあります。

子どもの貧困と幸福度を巡る評価と課題

 少子化対策とも重なり合う課題として、子どもの生活における貧困や格差、そこに起因する低い幸福度などの問題があります。
 親の収入や雇用における不安定や不安、貧困・格差は、自ずと子どもの生活にも反映されます。
 その結果、子どもが将来への希望や夢を持つことや、保育や教育を通常通り受ける機会を失うことに繋がり、成人後の生き方・働き方にも負の影響を及ぼすことになります。
 わが国の子どもにかける費用のGDP比率や、子どもが感じる幸福度、将来への希望や夢を持つ子どもの比率などにおいて、対外比でいずれも低い評価を受けている現状を無視するわけにはいきません。
 保育の無償化が実現しましたが、基本的には、親の心身両面での安心と家族の将来に希望を持つことができる諸施策の拡充がわが国に課せられた重要な課題と考えます。
 既存の児童手当では、その不安を解消するには程遠い状況も考慮し、子どものための社会保障制度の拡充が求められています。
 その施策が、社会に好循環をもたらすことは間違いないでしょう。

国民年金受給高齢者の生活基盤の不安・脆弱性

 老後の生活必要資金2000万円問題で再確認された、高齢者の老後の生活不安。
 現在の国民年金による老齢基礎年金だけでは、安心して日常生活を送ることができない多くの高齢者がいます。
 一方、この年金制度は、介護保険制度や医療保険制度と共に、現役世代の負担への不満と将来への不安として、世代間の問題として取り上げられています。
 給付サービスを受ける高齢者の自己負担率・負担額の引き上げだけでは、その解消・解決には程遠いことも明らかです。
 世代間の不公平感を解消し、高齢者世代も現役世代も、これに続く次世代も、すべてが、将来への不安と自己負担の引き上げリスクも回避できる、社会保障制度全体の改革による施策を検討する状況にあると認識すべきでしょう。

高等教育を受ける世代の教育費負担を軽減し、学究に専念し、社会的成果・貢献を期待へ

 高校・専門学校・大学・大学院と、専門分野の知識・技術・能力の研鑽・開発に励む世代の多くが、入学金・授業料・専門図書代など教育費負担に悩んでいます。
 親の経済的要因から、進学を希望していても進学できない若者や、学費と生活費を賄うための収入を得るために多くの時間を労働に費やすことが主になっている若者が多く存在します。
 仮に奨学金を得てこの時期を乗り切ったとしても、卒業後の奨学金返済が、その後の就労状況等により、著しく困難な生活をやむなく強いられている人も多くいます。
 こうした向学心と卒業後の自己実現・社会貢献への強い意志を持つすべての次世代に、教育格差、教育を受ける不平等対策としても、奨学金に替わって、返済無用の学資・生活費の一部を支給できれば、本人の将来への寄与はもちろん、その社会的成果・対価をも大きく期待できるでしょう。

(以上、2020/9/6第1稿)
(2020/9/11 第2稿:高等教育に関する項、追記)

<前文その1 本法制定の背景(1)>はここまでとし、<前文その1 本法制定の背景(2)>に続きます。

「日本国民の基本的人権に基づく生活保障のための生活基礎年金給付に関する法律」(別称「ベーシックインカム法」)私案シリーズ-2

 ここからは、先述の<前書きその1-本法制定の背景(1)>の続きです。

新型コロナウイルス感染症パンデミック等による就労・所得機会の減少・喪失による生活基盤の脆弱化対策

 日本においては、2020年第1四半期に端を発した新型コロナウイルス感染症の全国への広がりと継続化は、日常生活と社会経済活動へ甚大な影響を与えました。
 国内全都道府県への緊急事態宣言の発令にもより、人・物等の移動が制約され、同時に経済活動の停止や抑制により、働き、収入を得る機会も奪われることになりました。
 このコロナ禍を契機として、アフターコロナにおいても、日常的にこうした疫病に対する予防や発生時の対応などを心がけるとともに、緊急時・想定外事態発生時においても、日常最低限の生活を送ることができる社会的基盤、あるいは社会保障制度を整備する必要性も感じることとなりました。

大規模自然災害被災リスクと生活基盤の脆弱化・喪失対策

 また、ここ数年来、地球温暖化等が要因とされる、想定外の大規模自然災害が多く発生し、多くの被災者を出しています。
 もちろん、東日本大震災や熊本地震などによる被災の大きさと悲しみも忘れることはできません。
 こうした災害被災時とそれ以降の、先を見通せない生活・就労不安に対する最低限度の経済的支援が、継続して保障・提供される制度の必要性・有効性も十分理解・検討すべきと言えましょう。

日常における不測・不慮の事故、ケガ、解雇等による就労不能と所得減少・喪失時への対応

 先の2項目では、非日常における厄災・災害発生時への不安対策としての社会保障ニーズを考えました。
 こうした想定外の非日常への対応ではなく、日常的に十分起こりうるリスクへの備えとして、医療保険や雇用保険、労働者災害補償保険等の社会保障制度の領域における救済・支援策が用意・提供されています。
 しかし、現状のそれらの制度で、不安の一部は軽減されるでしょうが、長期にわたる場合や重篤な場合などは、実際には、十分とは言えない問題も残っています。
 社会保障制度全体の中で改善・解決策を見出していくべき課題と言えましょう。

共働き夫婦世帯の増加と仕事と育児・介護などの両立生活基盤への不安

 核家族化が進み、夫婦共働き世帯が普通になっています。
 しかし、共働き社会においては、働き方や生活様式は多様で、それぞれに対応できる子育てや介護の社会化が十分に実現してはいません。
 就労する企業の支援制度に依存する場合も多く、やむなく、出産時の離職、子育てのための離職、介護離職などを余儀なくされる例もまだまだ多い状況です。
 仕事とそれらの両立等を可能にする社会保障制度の確立は、企業などに雇用される世帯にとってだけでなく、自営や個人事業を形態とする夫婦世帯においても求められるものです。
 雇用保険、健康保険、介護保険、労災保険、児童手当など種々の社会保障制度と合わせて、可能な施策を検討する必要があります。

高齢単身世帯、高齢夫婦世帯、中高齢家族世帯の増加と生活基盤への不安

 超高齢化が進み、単身で暮らす高齢者、夫婦とも高齢な世帯、単身中高齢者とその親で構成する世帯が増え続けています。
 その世帯構成高齢者の多くが、介護や看護を必要としており、受給する年金のみに頼った生活を送る世帯も多く、不安な日常生活を送っているでしょう。
 老老介護生活を送る高齢者夫婦世帯や親の年金収入に頼る単身中高齢親子世帯の不安もあります。
 健康保険や介護保険などの保険給付サービスは、多くを現役世代の負担で支えられ、低い自己負担額で済みますが、それでも心身の不安とともに経済的な不安も、加齢とともに増していきます。
 それは、その高齢者を介護・監護すべき家族も持つ不安でもあります。
 少なくとも、最低限の生活を送ることができる内容の社会保障制度の整備拡充も望まれている現状があります。

IT社会・AI社会進展による雇用構造・職業職種構造の変化と所得格差拡大

 高度経済成長期を経る中で、景気拡大・停滞・後退などを繰り返しつつ、産業構造が、第一次産業から第二次産業である製造業主体へ、次いで第三次産業である流通サービス業主体へ、そして第四次産業とも言うべき情報システム業の拡大など、大きく変化を遂げてきました。
 そして、情報システム技術革新の高速度化と深化がもたらすAI技術が、次の大きな経済社会構造の変革を招くと予想されています。
 先の構造変化で、企業などでの雇用労働が当たり前になり、職種も製造現場従事者が大幅に減り、流通サービスの現場で就労する人が増加し、今は拡大一方の産業であるIT関係のスキルを持つ人材が多く不足しています。
 そして、今もより深化の速度を速めているAIが、多くの職種・職業を不要とし、雇用機会を奪い、収入を得ることも困難になるという予想もあります。
 そうした分野への投資を行なう投資家にのみ不労所得による富・収入が集中する傾向が一層強まるという主張が、現実味を帯びさせるように思わせます。
 もしこれが現実になれば。
 これまでの社会経済構造の変化が、資本の拡大と集中・偏在とともに起きてきたことを思えば、やはり、想定すべきこととして、その時代・その社会に応じた社会保障制度を整備しておく必要性を感じます。

多様な生き方選択のための能力・適性・希望に応じた就労機会創造・付加価値創造を支援

 もし最低限の日常生活を送ることができる収入・所得が保障されていれば。
 自分の性格や能力・適性、希望に合わない仕事を辞めて、合う仕事、やりたい仕事を探す、調べる、研究する、創る、起業の準備をする。
 より生きがいや働きがいを求めて、自由な生き方を探して、時間を使う、人と会う、なにかを創造する。
 現状に不安や不満、息苦しさを感じたり、心身の健康に不安を感じたりした場合、一時退避し、次に備える時間と心の余裕を持つことができれば。
 そういう人も社会にいるでしょう。
 新しい事業機会や仕事を創造し、あるいは付加価値のある芸術・文化を創造する。
 それらが可能である社会も、社会保障制度の在り方で、実現できれば素晴らしいと思います。

貧富の格差をもたらす就労雇用格差、結婚格差、教育格差の抑制のための社会保障制度による所得再分配政策

 これまで見てきた、国民一人ひとりが基本的人権に基づいて生活していく上で発生し、存在しているさまざまな社会経済上の問題や課題は、種々の要因で生じる格差に起因していると理解できます。
 所得格差は、就労・雇用機会の有無や不平等、教育訓練等により能力・適性を身につける機会の有無や不平等、結婚の有無、望む相手と出会い結婚に至るまでの機会の有無などの格差に大きく起因します。
 それらの多くは、自助努力、自己責任で解決・克服できるものではありません。
 が、多くは、政治・行政の在り方を改善・変革することで可能になるものです。
 特に、冒頭述べた憲法第25条による、基本的人権と社会保障・社会福祉に基づく政策・法律の改定や制定により可能です。
 ただそれらは、当然国費を投じて行なう政策であり、その原資は、税金や保険料であり、それを負担しているのは一定以上の所得がある国民、個人個人と事業を営む法人・団体などです。
 その原資を国費として、適切な社会保障制度に配分するわけで、これがいわゆる「所得の再分配」を、国が成り代わって、国民個人個人のために行なうわけです。
 従い、資金源である税金・保険料を納付する国民一人ひとりの同意・合意があることが前提となっています。
 それは、国民が選出する国会議員による議会制民主主義と議院内閣制に基づき制定される法律が、その行為を代行していることを意味し、その法律に基づき、行政により施行されるのです。

世代間負担の不公平・不平等対策と全世代型社会保障制度改革の必要性

 貧富の格差の原因としてのさまざまな要因とほぼ同様の問題の中に、種々の社会保障の給付サービスを受ける人と、そこにかかる費用を多く負担する人との不公平性・不平等性があります。
 老齢年金制度、医療保険制度、介護保険制度などの給付を受ける高齢者は、本人が負担する金額が、実際に受ける給付サービスの額に比べ著しく低額に抑えられています。
 一方、保険料や税金を負担する現役世代が高齢になった時に受ける給付は、それまでの負担に比べて、現在の高齢者よりも著しく低くなることが想定され、不満と不安が強くなっています。
 こうした不公平性を抑制・解消するために、全世代型社会保障制度への転換が課題となっていますが、まだ十分にその基盤や制度が整備されてはいません。
 そこには、現役世代の子どもや孫を対象とした次世代を担う子どもたちへの社会保障も必要です。
 この視点での社会保障制度改革も、希望を持つことができる安心社会の実現のためにも早期に実現すべきです。

コロナ禍で深刻さ・必要度を増した、安心安全な生活を送るための安全弁としての最小限度の経済的社会保障制度

 特別定額給付金10万円をすべての国民に無条件で支給する。
 コロナ下に行われたこの政策が、国民に、国はこうしたことができるんだ、という感想を抱かせたと考えられます。
 そして、一回だけでなく、必要に応じて、何回もやってくれてもいいのではないか、何回でもできるんじゃないか、という思いを持った人も大勢いたのではないでしょうか。
 新型コロナウイルス感染症の拡大リスクは、すべての国民が共有し、拡大防止のための緊急宣言や必要なマナーの遵守など、協調性をもって臨んだことは十分評価すべき、貴重な経験でした。
 そこで共有できたことに、こうしたリスクへの対策、協調・自粛・忍耐等への対価として、現金を全国民に条件をつけることなく支給する法律が作られ、施行された経験があります。
 ただ、自然災害を含めこうした非常時・想定外の厄災・被災時だけでなく、これまで種々見てきたように、現在存在する種々の社会経済状況と関係している諸事情や、日常起きている、あるいは、これから起こりうる種々の出来事への対応・備えとして、すべての国民が利用・享受できる給付金のような制度があれば、と思い、願うのは自然なことと考えます。

社会保障制度改革における基軸としてのベーシックインカム制導入の意義・有効性

 これまでに述べてきた、さまざまな現状と今後の生活・生き方への不安を少しでも抑制し、将来に明るい希望を持つことができる社会保障制度を整備拡充することは、すべての国民が望むものであり、国が責任感と使命感をもって実現すべき課題と考えます。
 国と国民・個人個人は、対等の社会契約関係にあるものです。
 決して一方への従属関係に基づくものではありません。
 国は、国民・個人から国民と国を安全で安心できる豊かな国と社会を創造する政治と行政の仕事を委嘱されているのです。
 国民住民はその権利を持ちますが、一方で、その権利を行使するための、最低限度の義務を負います。
 収入・所得に応じた税金や保険料などを納める義務です。
 国は、納付された税や保険料を効率的に有効に利用すべく、適切に配分するとともに、不足する財源について、種々配慮した制度・政策により調達し、活用する責任を、関連する法制の改定・新設と合わせて持っています。
 そして、その新しい社会保障制度は、すべての国民に、給付及び受給上の条件を課すことなく、平等に給付することが基本となります。
 これまで、ベーシックインカムと表現され、多少は議論検討されてきた、現金給付制度があります。
 わが国では、これまで述べ、問題提起した、現状と将来の課題の改善・解決・解消と、現役世代と次世代の人びとが、希望と夢を持ち、安心して暮らすことができる国・社会を創造するための、新しい社会保障制度を法律として制定します。
 これが本法「日本国民の基本的人権に基づく生活保障のための生活基礎年金給付に関する法律」(略称「生活基礎年金法」、別称「ベーシックインカム法」)です。

ベーシックインカム制実現に必要な配慮を法律に:社会保障財政赤字、国際社会における経済への影響を考慮

 しかし、この理想とする法律の設定・施行には、当然配慮し、組み込むべき、あるいは関連させるべき重要な条件があります。
 一つは、社会保障制度運営上問題となっている、財政赤字への対策です。
 この問題を改善・解決・克服する具体的な方法とその根拠を、本法または関連法において規定することが、本法導入の条件となります。
 二つ目は、本法の制定・施行において、同時または、先行あるいは追って、現行の種々の社会保障制度と関連する種々の法律を、廃止・改定あるいは新設する必要があることです。
 例えば、国民年金制度や児童手当制度の廃止と本法への代替条項の組み入れ、厚生年金保険法の改定、雇用保険法の改定、所得税法等税法改定、などがあります。
 もう一つは、無条件で全国民に相当額を支給することが、国際社会経済上問題を引き起こしてはならない、ということです。
 例えば、外国為替法及び取り引きに大きく影響し、自国のみに効果を及ぼす制度となってはいけないこと、日本国内在住の外国国籍者への適用問題などがあります。
 これらを含めて、多面的な検討・議論を経て、法的な手順を踏んで、本法制定に至ったことを喜びたいと思います。
 この法律の施行により、わが国の現在と未来に希望と期待をもって、世代が継承され、平和で豊かな国と社会が形成され、国際社会においても範となる社会保障制度が永続することを希求するものです。

(以上、2020/9/7 初稿)


「日本国民の基本的人権に基づく生活保障のための生活基礎年金給付に関する法律」(別称「ベーシックインカム法」)私案シリーズ-3

 「日本国民の基本的人権に基づく生活保障のための生活基礎年金給付に関する法律」(略称「生活基礎年金法」、別称「ベーシックインカム法」)の私案作りを始めています。
 まず、当法令の前文において<本法制定の背景>を、前文として前2節でまとめました。

 この前文その1を受けて、上記投稿内でも既に示しましたが、<前文その2>に<本法の構成>を以下のように設定しました。
 本法の目次に当たるものです。

「日本国民の基本的人権に基づく生活保障のための生活基礎年金給付に関する法律」(略称「生活基礎年金法」、別称「ベーシックインカム法」)前文その2 本法の構成

前文
 前文その1 本法制定の背景
 前文その2 本法の構成
  第1章 総則
   
第1条 基本方針
   第2条 定義
   第3条 目的
   第4条 対象者 
   第5条 所管 
  第2章 給付金区分及び給付金統括管理
   
第6条 給付金区分
   第7条 給付金統括管理所管 
   第8条 専用デジタル通貨による給付受給口座
   第9条 受給者および受給銀行口座
  第3章 給付金給付及び利用管理
  
 第10条 生活基礎年金の給付
   第11条 児童基礎年金の給付
   第12条 生活基礎年金の利用
   第13条 児童基礎年金の親権者等の代理利用
   第14条 児童基礎年金の利用
   第15条 市中金融機関口座開設と利用
   第16条 利用有効期間 利用先の給付金の取り扱い
   第17条 利用先登録及び受入事業所等認可
   第18条 利用受入給付金通貨の取り扱い
   第19条 権利資格喪失時の取り扱い
   第20条 譲渡及び相続の禁止
  第4章 給付金の財政管理
   
第21条 給付金の財政方針
   第22条 生活基礎年金特別会計
   第23条 給付金の基礎財源
   第24条 給付金の補助財源
   第25条 給付金主要財源の代替財源
   第26条 給付金の回収
   第27条 回収給付金通貨の消却処分
  第5章 社会保障制度体系等との関係
   
第28条 社会保障制度その他関連諸制度と本法の位置付け
   第29条 国民年金制度・厚生年金保険制度との関係 
   第30条 雇用保険制度等労働保険制度との関係
   第31条 生活保護制度、障害者福祉制度等社会福祉制度との関係
   第32条 保育、教育及び児童福祉等に関する諸制度との関係
   第33条 その他の社会保障制度等との関係
   第34条 所得税・相続税等税法との関係
  第6章 その他
   
第35条 罰則
   第36条 特例規定
   第37条 本法関連法令
   第38条 本法規定外関連事項の取り扱い
  付則
   1.本法施行日
   2.本法施行計画及び日程

 以降、順次必要事項付加

(2020年9月6日:第1次案)(同9月9日:第2次案;第1章修正)(同9月10日:第3次案;第2章修正)(同9月11日:第4次案;第3章修正)(同9月12日:第5次案;第4章修正)(同9月13日:第6次案;第5章修正)
(2020年9月14日:第7次案確認)

 なお、当構成は、本法の各条文の起案過程において、必要があれば、変更・訂正することがあります。
 次から、本法の各章に従って、条文案の作成を進めていきます。
 最初は、<第1章 総則>です。

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